動物をペットショップで買ってはいけない理由とは

「約2万6千匹」

この驚くべき数字は、あなたに何を意味しているかご存知ですか?

実は、この数字は繁殖業者やペットショップでの販売過程において命を失った犬や猫の数を示しているのです。

2018年度において、国内で繁殖された犬や猫の中で、約2万6千匹が繁殖業者やペットショップで亡くなったことが、朝日新聞の調査によって明らかになりました。

近年、ペットブームの影響で、ペットショップで犬や猫を購入した経験を持つ人々が増えているのではないかと感じています。

しかし、その裏側には数多くの小さな命が失われているという厳しい現実が潜んでいるのです。

この記事では、繁殖業者やペットショップを一方的に非難する意図はなく、またペットショップでの犬や猫の購入を避けるべきだと強制するつもりもありません。

むしろ、ペットショップでの購入に伴うリスクや、他の選択肢について詳しく考察していきますので、ぜひ最後までお付き合いいただければ幸いです。

この記事の内容
・ペットショップで動物を購入することのリスク
・どのような場所で購入すればよいか

ペットショップで動物を購入することのリスク

社会性を学ぶ機会が不足している場合がある

子犬や子猫は、生まれてからの遊びや母親、兄弟との交流を通じて、力加減や社会性を学んでいくものです。

この非常に重要な学習プロセスは、一般的に約60日間とされています。

そのため、この期間内に動物を販売することは動物愛護法によって禁止されていますが、実際にはその規制が厳格に守られていないのが現状です。

多くのブリーダーは、この60日間のうちに動物を販売してしまうことが多く、その背景にはどのような理由があるのでしょうか。

なぜ、60日前に親元から引き離すのか

この問題には、大きく分けて二つの理由が存在します。

・仲介業者とのやり取りに時間がかかるため
・生後間もない子犬や子猫の方が販売しやすいため

一つ目の理由は、ブリーダーからペットショップへの直接販売が非常に少ないため、仲介業者を介する必要があるのです。

■□動物がペットショップに販売されるまでの流れ□■
1.ブリーダー

2.仲介業者

3.ペットショップ
このように、一度仲介業者を通してからペットショップに販売されるため、その過程に時間がかかります。そのため、動物は早めに母親や兄弟から引き離されなければならないのです。

生後間もない子が売れやすい理由

この点が、販売において最も大きな理由と言えるでしょう。

先ほども述べたように、仲介業者とのやり取りには時間がかかるため、その期間内に成長してしまうと、ペットショップで売れ残るリスクが高くなるのです。

特に子犬は、生後6週から8週が最もかわいらしい時期とされています。このため、ブリーダーはその貴重な時期を逃さずにペットショップで販売したいと考えるのです。

仲介業者との手続きを考慮すると、60日前には親元から離れざるを得ないという判断が下され、その結果、社会性を十分に学ぶことができないまま販売されることがあるのです。

社会性を学ぶことができなかった動物たちはどうなるのか

社会性を学ぶ機会を失った動物たちは、
・トイレトレーニングが難しくなる
・吠え癖や噛み癖が悪化する
・精神的に不安定になりやすい
といった、しつけを行う上でさまざまな困難を抱えることになるのです。
また、動物たちの心にも多大なストレスがかかることが少なくありません。
したがって、早期に親元から引き離された動物は、購入を避けることが望ましいのです。

親の情報が不足している

二つ目の理由は、親の情報が全くない、あるいは非常に少ないペットショップでの購入は避けるべきであるということです。

なぜ親の情報が欠如していると、購入を避けるべきなのかというと、

・遺伝性の病気や気質が不明であるため
・育てられた環境についても不明であるため

これらの理由があるからです。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

遺伝性の病気や気質がわからない

親の情報が欠けている場合、

・病気にかかった場合、それが遺伝によるものなのか
・性格は親からの影響なのか

といった判断が非常に難しくなります。

人間と同様に、動物にも親から遺伝する病気が存在します。病気にかかった際に、それが遺伝性なのか、環境要因によるものなのかで、対処方法が異なるのです。

また、性格に関しても、常に吠えている親の元で育つと、その子も吠えやすい傾向があると言われています。

判断材料が不足しているということは、

・治療方針を誤る可能性がある
・しつけの方針を間違えてしまう可能性がある

といった、動物たちの生活に大きな影響を与える判断ミスが起こりやすくなるため、こうしたペットは購入を避けるべきです。

ペットショップで購入すべきではない理由
・早期に親元から離されているため社会性を学べていない
・親の情報がないため、どんな性格や特性を持つのか理解できない場合がある

ペットはどこで購入すればよいのか

ペットショップでの購入を避けるべき理由についてお話ししてきましたが、ではどのような場所でペットを購入すればよいのでしょうか。

譲渡会やアニマルシェルター


まず最初に思い浮かぶのは、譲渡会やアニマルシェルターといった保護施設です。

譲渡会とは、さまざまな事情で動物愛護団体に保護された犬や猫を、里親になってくれる家庭に譲渡するためのイベントのことです。

保護される動物には成犬や成猫も含まれますが、子犬や子猫から飼わなければ懐かないということはありませんので、その点については安心してください。

アニマルシェルターは、飼い主による飼育放棄や繁殖のために利用され、役目を終えた動物たち、さらには多頭飼いによる飼育崩壊など、人間の事情で行き場を失った動物たちが保護される場所です。

アニマルシェルターでは、保護された動物たちを一時的に預かり、適切なケアを施した後、

・譲渡会に参加する
・里親希望者に連絡

といった形で里親探しにも力を入れています。

ペットを家庭に迎え入れたいと考えている方は、ぜひこうした選択肢を考慮に入れてみてください。

血統書付きのペットショップでの購入

血統書付きのペットショップでの購入も、検討する価値のある選択肢としてお勧めできます。血統書は人間における戸籍謄本に類似しており、動物の血統に関する情報が記されています。
血統書を持つことで、
・母親や父親の血統図がわかる
・ブリーダーがどのような人物であるかが明らかになる
・出産頭数に関する情報が得られる
といった重要な情報が得られます。
「ペットショップでの購入を考えている」という方は、血統書付きのペットショップを選択肢に加えるのも良いのではないでしょうか。

まとめ:さまざまな選択肢を持ち動物との素晴らしい出会いを

さて、最後にこの記事の内容を簡潔にまとめてみたいと思います。

ペットショップで購入すべきではない理由
・早期に親元から離されているため社会性を学べていない
・親の情報がないため、どんな性格や特性を持つのか理解できない場合がある
【どのような場所で購入すればよいのか】
・譲渡会
・アニマルシェルター
・血統書付きのペットショップ
ペットとの出会いは、私たちの人生を豊かに彩ってくれる存在です。
だからこそ、動物たちの人生にも真剣に向き合うことが、私たち飼い主にとっての大切な使命であると言えるでしょう。
この使命は、家庭にペットを迎え入れる瞬間から始まっているのです。
そのためにも、まずは正しい知識を身につけ、ご家庭とペットの双方が幸せになれる素晴らしい出会いを実現していただければと願っています。

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