買ってはいけないローマンカモミール

カモミールは、日本では「カミツレ」という名称で広く知られ、古くから私たちの生活にさまざまな形で利用されてきました。このハーブは、香りや風味だけでなく、実用的な効果も期待できるため、多くの人々に親しまれています。

皆さんは、実はカモミールには大きく分けて二つの種類があることをご存知でしょうか?

まず一つ目は、広く利用されているジャーマンカモミールです。一般的に、カミツレと呼ばれるものの多くは、このジャーマンカモミールを指しています。

そして、もう一つの種類として知られているのが、ローマンカモミールです。

この二種類のカモミールには、どのような違いがあるのでしょうか?

ガーデニングや家庭菜園を始めたばかりの方々にとっては、似たような名前の植物を見分けるのが難しいと感じることも多いかと思います。自分が大切に育てた植物を効果的に利用するためには、それぞれの植物の名前や特徴をしっかり理解しておくことがとても重要です。

そこで、今回はカモミールについて詳しく掘り下げてお話ししたいと思います。

よく見かけるカモミールは2種類

まずは、カモミールの基本的な情報をお伝えします。

カモミールの基本情報

ジャーマンカモミールローマンカモミール
学名Matricaria chamomillaChamaemelum nobile
科名/属名キク科/シカギク属キク科/カマエメルム属
種類一年草多年草
開花時期春〜初夏初夏〜夏

この表を見れば、実際には非常に異なる特性を持つ植物であることが理解できるかと思います。園芸店やホームセンターで見かけるカモミールの苗は、ほとんどがジャーマンカモミールまたはローマンカモミールのどちらかですが、珍しいカモミールの仲間を取り扱っている店舗も存在します。

見た目は似ていますが、特に中心部の黄色い部分(花芯)が盛り上がっているのがジャーマンカモミールの特徴です。

<ジャーマンカモミール>

一方、ローマンカモミールは花芯がそれほど盛り上がっていない点が特徴です。

<ローマンカモミール>

さらに、ローマンカモミールは全体的にサイズが大きく、開花期も遅いという明確な違いがあります。後ほど詳しく説明しますが、ローマンカモミールは葉から青リンゴのような素晴らしい香りが漂ってくるのも大きな特徴です。

ハーブティーに使われているのはジャーマンカモミール

カモミールティーは、鎮静作用や鎮痛効果、心を落ち着かせる効果、さらには穏やかな睡眠を促すなど、多くの効能を持つ素晴らしい飲み物です。基本的に、このカモミールティーにはジャーマンカモミールが使用されています。

(西洋では、このジャーマンカモミールがマザーハーブとも呼ばれています)

カフェやハーブティーを扱っているお店で提供されるカモミールティーは、ほとんどの場合、このジャーマンカモミールを用いたものだと考えても問題ありません。

一方、ローマンカモミールも全く使われないわけではありませんが、ジャーマンカモミールに比べて苦味が強く、そのため心や体に対する効能も多少異なる傾向があります。

主要成分

ジャーマンカモミール
  • カマズレン
  • フラボノイド(アピゲニン、ルテオリン)
  • マトリシン
  • α-ビサボロールなど
ローマンカモミール
  • アンゲリカ酸イソブチル
  • α-ピネン
  • アンゲリカ酸メチル
  • アンゲリカ酸2-メチルブチルなど

カモミールティーは、その甘く落ち着く香りが特徴で、自宅でも常に飲みたいと考える方が多い人気のハーブです。自分のプライベートな時間や、友人を自宅に招待した際に、自分で育てたハーブを使ってハーブティーを作ることができたら、本当に素晴らしい体験になることでしょう。ハーブは観賞するだけでなく、実際に活用することでその魅力がより深まります。そのため、育てるハーブの種類を選ぶ際には慎重に決める必要があります。

カモミールティーを楽しむのであれば、基本的にはローマンカモミールよりもジャーマンカモミールを育てることをお勧めします。

ローマンカモミールの活用方法

では、ローマンカモミールには全く活用の余地がないのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。ローマンカモミールには、他の植物にはない独自の魅力が存在します。ここからは、ローマンカモミールの活用方法について詳しくお伝えします。

ローマンカモミールは、その葉から香る青リンゴのような香りが一番の特徴です。この香りを利用する簡単な方法として、カットしたローマンカモミールをそのままお部屋に飾ることで、自然な香りのルームフレグランスとして楽しむことができます。また、お風呂に入れることで、爽やかな青リンゴの香りのハーバルバスを楽しむこともできるでしょう。

お風呂に入れる際は、摘みたてのフレッシュなものでも、ドライにしたものでもどちらでも問題ありません。入浴後の掃除を楽にするためには、お茶パックなどに入れてから湯船に入れるのがおすすめです。

さらに、もう少し手間をかけたい方には、ティンクチャー(チンキ)を作るのも素晴らしい方法です。ハーブをアルコールに漬けるだけで簡単に作ることができ、保存も効くので非常に便利です。

使用したい時に手軽に使えるので、ティンクチャー(チンキ)としての利用は個人的に非常におすすめです。

また、苦味はありますがハーブティーとしても利用可能です。鎮静作用があるため、あえてローマンカモミールをハーブティーとして楽しむ方もいらっしゃいます。

※カモミールはジャーマンカモミールもローマンカモミールもキク科の植物ですので、キク科アレルギーの方は注意が必要です。

エッセンシャルオイル(精油)のカモミールも使いやすい

番外編としてお伝えしたいのは…

カモミールにはジャーマンカモミールとローマンカモミールの両方にエッセンシャルオイル(精油)が存在します。

自分でハーブを育てるのは非常に楽しいですが、活用できるまで育てるのを待てない方には、エッセンシャルオイル(精油)を利用するのも良い選択肢です。気軽に香りを楽しんだり、手作りコスメなどにも使いやすく、非常に重宝します。エッセンシャルオイルでもジャーマンカモミールとローマンカモミールでは香りや効果が異なるため、選ぶ際には自分のニーズに合ったものを選ぶことが大切です。

※エッセンシャルオイルでも(精油)キク科アレルギーの方は十分注意してください。

ローマンカモミールのまとめ

さて、今回お話ししたローマンカモミールについて、皆さんはどのように感じたでしょうか?

・カモミールティーとして楽しむ場合は、基本的にジャーマンカモミールを選ぶこと

・万が一ローマンカモミールを購入してしまったとしても、さまざまな活用法があることを知っておくこと

この2点が皆さんに伝われば嬉しいです。カモミールのそれぞれの特性を理解しながら、素晴らしいガーデニングライフを楽しんでいただけることを願っています!

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