英和辞典といえば、多くの人が「ジーニアス英和辞典」を思い浮かべるのではないでしょうか。この辞典は1987年に初版が登場し、それ以来、高校の推薦辞典として非常に広く利用されてきています。また、電子辞書にも数多く採用されており、学生たちの英語学習を支える存在となっています。
しかし、果たして『ジーニアス英和辞典』は全ての高校生にとって最適な辞書なのでしょうか。
この疑問を解消するために、今回は高校生にとって英和辞典が持つ重要性について深く考えてみたいと思います。
『ジーニアス英和辞典』の歴史
『ジーニアス英和辞典』は、1987年に大修館書店から初版として登場しました。リリース当初から、文法や語法の説明が非常に充実しており、他の辞書とは明確に異なる魅力を持っていました。その後も順調に改訂が行われ、2014年には第5版が発表されています。
さらに、ジーニアスファミリーとして『ジーニアス英和大辞典』(2001年4月発行)、『アクシスジーニアス英和辞典』(2019年12月発行)、『ベーシックジーニアス英和辞典(第2版)』(2017年11月発行)など、さまざまなバリエーションも展開されています。
ジーニアスファミリーの特長
現在、ジーニアスの英和辞典は、ジーニアスファミリーとして4種類が販売されています。ここでは、それぞれの辞書の違いや特性について詳しく解説していきます。
まず、収録されている語数に注目してみましょう。
収録語数が多い辞書を順に挙げると、
・『ジーニアス英和大辞典』は約255,000語を収録
・『ジーニアス英和辞典(第5版)』は約105,000語を収録
・『アクシスジーニアス英和辞典』は約75,000語を収録
・『ベーシック英和辞典(第2版)』は約55,000語を収録
なお、『アクシスジーニアス英和辞典』と『ベーシック英和辞典(第2版)』には、英和項目とは別に小和英項目も収録されています。
次に、それぞれの辞書が持つ特徴を詳しく見ていきましょう。
・『ジーニアス英和大辞典』は、研究社の『新英和大辞典』などと同様に、大辞典としての位置付けがなされています。この辞典の特筆すべき点は、大辞典でありながら学習英和辞典の特性も併せ持っているということです。つまり、豊富な語彙を収録するだけでなく、それぞれの用法に関する説明も非常に充実しているのです。
・『ジーニアス英和辞典(第5版)』は、言うまでもなくフラッグシップモデルとしての地位を確立しています。前述の通り、語法や用法の説明が豊富であり、高校上級者用の辞書として特に適しています。
・『アクシスジーニアス英和辞典』は、高校生向けの英和辞典として、以前に発売されていた『プラクティカルジーニアス英和辞典』の後継として登場しました。この辞典は、高校生が日常的に行う英語学習に必要な情報をしっかりと網羅した中級辞典です。
・『ベーシック英和辞典(第2版)』は、中学上級から高校初級者向けの学習英和辞典となっており、効率的な学習をサポートします。
なぜ、『ジーニアス英和辞典』を買ってはいけないのか。
しばしば、『ジーニアス英和辞典』は大学受験を目指す全ての高校生に適しているとされますが、本当にその通りなのでしょうか。
ここでは、『ジーニアス英和辞典』が全ての高校生にとって適しているわけではない理由をいくつか解説していきます。
万人に向いていないポイントは、以下の3つです。
1. 特に基本語の意味の多様性が、混乱を招くことがある。
2. 例文に難解な語句が含まれていることが多く、理解が難しい。
3. 実際に『ジーニアス英和辞典』を必要とするレベルに達している高校生は、非常に限られている。
まず、英語を学ぶ高校生が辞書を引くのは、理解できない単語に出会ったときです。社会人が書籍を読む際やインターネットで情報を取得する際、さらにはビジネス文書を読むときは、さまざまなレベルの文章に遭遇し、すぐには理解できないことがしばしばあります。
しかし、高校で使用される教科書や参考書は、しっかりとレベルに応じた編集が行われており、語彙も適切にコントロールされています。そのため、初級や中級の学習段階で上級の単語や意味に遭遇することはほとんどなく、たとえ見かけたとしても語注が付いています。
初級の生徒は初級の辞書を、中級の生徒は中級の辞書を使用すれば十分です。
上級の辞書を使用しようとすると、意味が多すぎて、調べたい意味に辿り着くことが難しくなる場合があります。
次に、英語を学ぶ上で、意味だけでなく例文も参照することが非常に重要です。単語が文中でどのように使われているかを理解するためには、適切な例文を見ることが不可欠です。
しかし、上級の辞書に掲載されている例文は、使用されている語彙が非常に難解であることが多いです。初級や中級の辞書は、そのレベルに合った例文が用意されているため、理解しやすくなっています。
最後に、上級の辞書が必要とされる高校生は、一体どのくらい存在するのでしょうか。18歳の学生に対して難関大学への進学率は約10%程度です。倍率などを考慮すると、難関大学を目指している生徒の割合はおそらく20~25%程度であると推測されます。このような生徒は、『ジーニアス英和辞典』のような上級者向けの辞書を使用するべきですが、それ以外の学生は上級レベルに到達するまでは、『ジーニアス英和辞典』を購入する必要はないと考えられます。
では、どんな英和辞典を買えばよいのか。
英和辞典は、自分の学力に合ったものを選ぶことが非常に重要です。
初級の段階では初級辞典を、中級に進むにつれて中級辞典を使用することが、学力向上に最も効果的です。
具体的には、初級レベルでは収録単語数が約50,000語、中級レベルでは70,000~80,000語の範囲の辞書が適していると言えるでしょう。
各社から多様な辞書が販売されているため、実際に店頭で比較して、自分に最適な辞書を見つけることで、英語学習はより楽しいものになるでしょう。
まとめ
この記事では、学習用の英和辞典についての考察を行いました。
英和辞典は英語学習の基盤とも言えるものであり、適切な辞書を見つけ出すことができれば、学びがより充実したものとなるでしょう。
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