近年、健康への関心が高まっている現代社会において、さまざまな健康関連の情報が溢れています。さて、あなたは煙草を吸っていますか。
喫煙者のための居場所が次第に減少している今の時代において、それでもなお煙草を吸いたいと思う理由は一体何なのでしょうか。確かに、年々喫煙者は減少傾向にあるとされていますが、その一方で「煙草を辞められない」という声も非常に多く聞かれるのが現実です。
この記事では、煙草が人間の体に及ぼす悪影響について詳しく解説していきます。そして、喫煙者の方々には、今の生活スタイルが本当に良いのかを考えるきっかけになればと願っています。
煙草が与える影響
煙草が体に悪影響を及ぼすことは広く知られていますが、具体的にどのような悪影響があるのかを説明できる人はどれほどいるでしょうか。
煙草の煙には、喫煙者が直接吸引する「主流煙」と、煙草の先端から発生する「副流煙」が存在し、実に約4000種類もの化学物質が含まれています。
主流煙に対して、副流煙はより多くの有害物質を含んでおり、その中にはダイオキシンといった有害物質が約200種類、そして発がん性物質が50種類以上も存在しています。
特に重要なのは、ニコチン、タール、一酸化炭素という三大有害物質です。
ニコチンは血管を収縮させる作用があり、結果的に血液の流れが悪化します。これにより、心拍数が上昇したり、血圧が高くなるといった影響が現れます。
そのため、大量に摂取することは非常に危険であり、ニコチンは強い中毒性を持つため、多くの人々がニコチン依存症に苦しんでいるのです。
体が煙草を吸いたいという状態になると、我慢している間に吸いたいという衝動が生じ、注意が散漫になったり、イライラしたりすることが原因で、喫煙が習慣化してしまいます。
タールは多くの発がん性物質を含んでおり、がんの発生を促進する要因となります。さらに、タールは細胞に付着し、体内に蓄積されていく特性があります。
一酸化炭素は、体全体に酸素が行き渡るのを妨げるため、酸素が不足する状態になりやすく、結果として心臓病や動脈硬化を引き起こすリスクが高まります。
煙草を吸った際に気分が悪くなったり、吐き気を感じたりするのは、この一酸化炭素が大きな要因であると言えるでしょう。
煙草を吸うデメリット
・ガンのリスク
先に述べたように、煙草の煙の中には約50種類以上の発がん性物質が存在します。
これらの有害物質は肺や胃、腸に取り込まれ、細胞に吸収されて全身に運ばれます。そのため、有害物質に接触する機会が多い部位はガンになりやすくなります。
例えば、口腔ガンや咽頭ガン、肺ガンなどはその代表的な例であり、これだけに留まらず、全身に行き渡った有害物質はDNAを損傷し、さまざまな臓器に悪影響を及ぼすことになります。
したがって、煙草の煙に直接触れない部位でもガンになるリスクは存在します。食道ガンやすい臓ガン、子宮頸ガン、膀胱ガンなどは、喫煙との関連が指摘されている病気の一部です。
さらに、喫煙を続けることで新たにガンが発生したり、既に存在するガンが転移する可能性もあることを忘れてはいけません。
・多くの病気の原因になる
喫煙が引き起こす病気は、ガンだけにとどまらず多岐にわたります。喫煙三大疾患と呼ばれる病気には、ガンに加え、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や虚血性心疾患が含まれています。
慢性閉塞性肺疾患は、呼吸機能の低下や慢性気管支炎、さらには結核などを引き起こすリスクがある呼吸器系疾患で、別名「たばこ病(COPD)」とも称されています。
この病気は、酸素を取り込む肺胞にダメージを与え、咳や痰を伴う状態が続き、やがて慢性化してしまいます。症状が進行すると、酸素吸入が必要になる場合もあり、最悪の場合には命に関わることもあります。
虚血性心疾患は循環器系の重大な病気です。
前述の通り、煙草には血圧を上昇させる作用があり、動脈硬化が進むことで心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中を引き起こすリスクが高まります。
さらに、喫煙は歯周病の原因となることもあります。歯が黄色く変色したり、最悪の場合には歯を失うこともあるからです。
血流が低下し、酸素が十分に供給されなくなると、歯肉が炎症を起こす原因となります。しかも、痛みをほとんど感じずに進行することが多いため、気づいた時には手遅れということも考えられます。
その他にも、糖尿病や免疫機能の低下、骨密度の減少、視覚障害、早産など、体に多くの悪影響を及ぼす要因となります。
・ニコチン依存症
煙草に含まれる有害物質として特に有名なのがニコチンです。ニコチンを摂取すると、脳からドーパミンが放出され、気分が安定し、やる気や満足感を得ることが可能になります。
そのため、煙草をやめようとすると、イライラや不安を感じ、結局再び吸ってしまうという悪循環に陥ることが多いのです。
これがニコチン依存症と呼ばれる状態です。心理的にニコチンに依存し、喫煙が習慣化してしまう要因となります。ニコチン依存症には治療法も存在するため、ぜひお近くの禁煙外来に相談してみることをお勧めします。
・スモーカーフェイス
喫煙はしわやシミなど、皮膚に対しても悪影響を与えます。つまり、煙草を吸う人は、吸わない人に比べて老化が進行しやすくなるという現実があります。
これは特に女性にとって深刻な問題ではないでしょうか。
なぜ肌に悪影響が出るのでしょうか。
喫煙を行うことで体内に活性酸素が生成されます。この活性酸素は細胞を破壊し、体の老化を促進する元凶となるのです。
この活性酸素を処理するためには、タンパク質やビタミンが必要ですが、これらは同時に肌の若さを保つために不可欠な栄養素でもあります。
タンパク質やビタミンが活性酸素の処理に使われてしまうと、肌にはしわや乾燥、たるみなどの悪影響が現れることとなります。
禁煙することで得られるメリット
禁煙することによって、どのようなメリットが得られるのかをいくつかご紹介していきたいと思います。
・体の変化
煙草を止めることで、体にいくつかのポジティブな変化が訪れます。まず、嗅覚や味覚が正常に戻っていくことが期待されます。
禁煙によって「ご飯が以前より美味しく感じる」と感じる人も多いのではないでしょうか。また、血中の酸素濃度が正常に戻るため、少しの運動でも息切れしなくなることが期待できます。
さらに、ニコチン依存症から解放されることで、イライラやストレスから解放され、より快適な生活を送ることができるようになるでしょう。
加えて、眠りの質が向上し、肌の張りや艶も改善されていくのです。
・病気のリスク低下
禁煙を続けることで、病気のリスクは確実に減少します。喫煙は、ガンや肺、心臓、血液の病気など、あらゆる病気の原因となります。
喫煙を続けている人と禁煙した人とでは、寿命においても約10年の差があると言われています。
禁煙から5年経つと、肺がんや脳卒中、虚血性心疾患などのリスクが低下し、さらに10年後にはさまざまな病気にかかるリスクが禁煙者と同じ程度まで減少することが科学的に示されています。
時間はかかりますが、禁煙によってあらゆる病気のリスクを減少させ、健康な状態へと回復することが可能なのです。
・周りの人への影響
自分の家族や友人に受動喫煙を強いることもなくなり、周囲に迷惑をかける心配がなくなります。煙草の煙や匂いに不快感を示す方は少なくありません。
禁煙すれば、自分の口臭や体臭を気にすることもなくなり、異性からの印象も良くなり、自信に繋がるでしょう。
・時間とお金
煙草を購入するためのコストや、喫煙に費やす時間を考えると、かなりの金額や時間がかかっていることが明らかになります。
煙草は高価な嗜好品です。禁煙することでその購入費を節約し、他のことにお金を使う余裕が生まれるようになります。
また、1本あたり5~7分程度で済む時間だと考えがちですが、年単位で計算すると、1日数本吸う方であれば、1年で何百時間も煙草を吸うために費やしていることになります。
このような時間があれば、他の有意義な活動に充てることができるのではないでしょうか。
まとめ
ここまで煙草に関する情報をお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
中には「自分は誰にも迷惑をかけず、好きで吸っているから問題ない」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、もしあなたに家族がいるのであれば、自分が病気になったときに彼らに心配をかけることを忘れてはいけません。
この記事を通じて、煙草のデメリットや禁煙のメリットについて考える機会になれば非常に嬉しく思います。
コメント