SNS上には、さまざまな情報があふれています。特に、様々な商品やサービスに関する「使ってみた」や「買ってみた」といった投稿は、非常に参考になることが多いです。これらの投稿は、企業による広告とは異なり、実際に利用した人の正直な評価が含まれているため、ネガティブな情報も確認でき、信頼性が高いといえます。そのため、他の人の正直な評価が良ければ、ぜひ自分も試してみたくなるものです。
しかし、そうした投稿には、仕込みやいわゆる「ステマ(ステルスマーケティング)」の可能性も潜んでいます。では、仮に自分がその仕込み側、つまりマーケティングを行う側になった場合、どのようなことが考えられるのでしょうか?例えば、「特定の商品を購入した上で、その商品についてSNS上でPRを行うことで、キャッシュバックを得られる」という話があったとします。
このような場合、購入費用はキャッシュバックで相殺され、実質的に無料で手に入るとされていますが、果たしてそのようなPRを受けた商品を購入するのは良いことなのでしょうか?それとも、購入しない方が賢明な選択なのでしょうか?
キャッシュバックが振り込まれない
国民生活センターは、「SNSで自らが購入した商品についてPRを行うことで、キャッシュバックが受けられ、実質的な負担はゼロになる」といった勧誘に対して注意を呼びかけています。
具体的な事例として、以下のようなケースが挙げられています。
- 「Wi-fiルーターを契約し、SNSでPRを行うと、月額利用料がキャッシュバックされる」との勧誘が存在した。
- その言葉を信じて契約したものの、利用料は毎月クレジットカードから引き落とされ続ける事態に。
- 自分のSNSでどれだけ商品をPRしても、キャッシュバックは一向に振り込まれないという状況に陥った。
- 事業者に問い合わせても、具体的な回答が得られないままであることが多い。
このようなケースが実際に報告されています。
このように、「実質無料」を謳いながら、先に購入費用が発生するような場合は、詐欺的な勧誘である可能性が高いと疑った方がいいでしょう。もし「実質負担がゼロではない」と気づいたとしても、一度契約してしまうと、解約の際に高額な違約金が発生したり、購入代金の残額を一括で請求される場合もあります。そのため、途中でやめたくても、解約が困難になってしまうこともあるのです。
商品が届かない、別途商品購入が条件などのケースも
前述のケース以外にも、以下のようなトラブルが報告されています。
- スマートスピーカーのPRを依頼され、実質無料だと聞かされて契約したが、料金がクレジットカードで決済されたのに、商品は一向に届かないという事態が発生した。
- オンラインセミナーをPRした際、受講は無料だと言われ参加したが、セミナー内で紹介される商品を購入することが条件になっていたということもあった。
これらの事例に共通しているのは、「(実質)無料」を前面に出して勧誘を行っている点です。
考えてみれば、フォロワーが何万人もいるインフルエンサーの場合は別ですが、一般の人がSNS上で少しPRをしたところで、期待できる宣伝効果はほとんどないでしょう。
現在は、インターネットを活用したマーケティング手法も多様化しており、広告コストを計画的に投入することで、確実な集客効果を見込むことが可能です。わざわざキャッシュバックという、個々の還元金額の計算や振込先口座の管理、振込手数料の負担などの手間をかける事業者は少ないでしょう。
したがって、キャッシュバックがあるという商品については、購入を避けるべきです。その情報は、高い確率で真実ではない可能性が非常に高いのです。
割賦販売の場合は、信用情報への影響も
このような「キャッシュバック付き」商品を分割払いで購入していた場合、問題はさらに深刻化します。月々の分割返済額が支払えなくなったり、解約時の残債を支払わない場合、信用機関の「ブラックリスト」に載ってしまうことがあり、新規のクレジットカードや各種ローンの審査が通らなくなる可能性があるのです。
そのような事態に陥った場合、無料どころか大きな損失を被ることになります。「タダより高いものはない」という言葉が示すように、十分な注意が求められます。
安易に契約せず、キャッシュバックの条件などを確認
このような勧誘は、特にSNS経由で届くことが多いです。SNSアカウントにダイレクトメッセージで、「ぜひ無料キャンペーンに参加してください」といったメッセージが送られてくることがあります。
もしその提案に興味を持った場合でも、すぐに契約や購入手続きを行うのは避けるべきです。無料やキャッシュバックを受けるための条件を、契約書や利用規約などでしっかり確認することが非常に大切です。
例えば、PRとは言っても、投稿の回数や内容、文字数、画像の使用の有無など、本当のステマであれば、明確に規定されているはずです。確認できた情報は、キャプチャやファイル保存しておくことが重要です。
当然のことながら、「無料」「キャッシュバック」「自己負担ゼロ」とするための条件が明確に確認できなかったり、曖昧であったりする場合は、軽々しく話に乗らないようにしましょう。
まとめ
以上で本記事を締めくくります。キャッシュバックによって実質無料とされる商品については、購入を避けるべき可能性が非常に高いです。自己負担がゼロとなる条件やその根拠をしっかりと確認した上で、慎重に判断することが求められます。
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