買ってはいけない新築ワンルームマンション(不動産投資)

給料の向上が見込めず、退職金に期待できず、さらには老後の生活に対する不安がつきまとっているという現状は、多くの人々が直面するお金に関する悩みの一部です。これらの問題は、私たちが日々の生活を送る中で、非常に普遍的な悩みと言えるでしょう。

かつての「終身雇用のもとで会社に勤め上げ、退職金を受け取り、住宅ローンを完済し、年金で安定した老後を迎える」という理想的なライフスタイルは、今や非常に厳しい状況にあります。そのため、貯蓄だけに頼らず、投資や資産運用、つまり資産形成を真剣に考える人が増えているのです。

特に首都圏では、毎日のように様々なセミナーが開催され、ネット広告や雑誌においても不動産投資(不動産賃貸業)が頻繁に取り上げられるようになっています。そのため、資産形成の手段として不動産投資を選ぶ人々が増加している傾向が見られます。

不動産投資によって大きな成功を収めた方や、着実に資産を増やしている人も少なくありませんが、投資という性質上、すべての不動産を購入したからといって必ずしも利益が得られるわけではありません。

そこで、今回は不動産投資を行う際に特に注意が必要な物件として「新築ワンルームマンション」に焦点を当て、そのリスクについて詳しく解説していきたいと思います。

不動産投資(不動産賃貸業)とは

不動産投資とは、物件を購入し、賃貸することで得られる家賃収入を得るか、購入した不動産を売却してその売却益を得るという投資手法を指します。要するに、オーナーとしての立場を持つことになります。

「大家」という言葉を聞くと、多くの人はお金持ちや相続によって不動産を所有する特権を持つ人々だけができる仕事だと考えがちですが、最近では特別な資産を持たない一般のサラリーマンでも不動産投資に挑戦するようになっています。

これは、マイホームや自動車を購入する際に利用する住宅ローンやマイカーローンと同様に、不動産投資ローンが利用可能になったことが一因です。このようにして、より多くの人々が不動産投資に挑むことができるようになりました。

特に、日本の長引くデフレが影響し、融資先を見つけることが難しくなった金融機関が、サラリーマン向けの不動産投資ローンを提供するようになったことも大きな要因として挙げられます。

不動産投資のメリット

不動産投資のメリットは、主に以下のような点が挙げられます。

 

・ローンを活用することで、手元にある資金以上の物件を購入することが可能です。

・ローンを組む際に団体信用生命保険に加入することで、万が一の事態において生命保険としての機能を果たします。

・他人の資金(家賃)を利用してローンの返済を行いながら、資産形成を進めることができます。

・減価償却費などを活用して、節税効果を得ることが可能です。

・ローンを完済すれば、その物件は自分の資産となり、家賃収入が全て自分のものになります。

 

これらのメリットは、不動産投資を推進する営業担当者が特に強調するポイントでもあります。

 

これだけの利点があれば、不動産投資を行わない理由がないと思われるかもしれません。しかし、ローンを利用する際には、入居者がいない場合(つまり、家賃収入が得られない場合)でも返済を続けなければならないというリスクが存在します(空室リスク)。また、経年劣化による不動産価格や家賃の下落リスクに加え、地震や台風などの自然災害によるリスクも考慮しなければなりません。

このようなリスクを十分に理解し、自身の投資判断を行うことが非常に重要です。

新築ワンルームマンションのデメリット

 

不動産投資物件には多様な種類が存在しますが、以下のようなものが挙げられます。

 

・一棟建てマンション・アパート

・一戸建て住宅

・新築ワンルームマンション

・中古ワンルームマンション など

 

その中でも特に利益を得にくく、資産形成には向かないのが「新築ワンルームマンション」と言えるでしょう。その理由について詳しく見ていきます。

販売価格が割高

新築ワンルームマンションの販売価格には、物件価格に加え、人件費や広告費が含まれています。

 

実際、人件費と広告費が販売価格の約30%を占めることが多く、もし購入した物件をすぐに売却しようとした場合、販売価格の約70%程度でしか売却できないことが一般的です。このため、運良く売却益を得ることができても、それには長い時間がかかる場合が多く、逆に売却損を抱えるリスクも高まるのです。

想定家賃が割高

 

販売価格が高く設定されるため、家賃もそれに比例して高く設定されます。高い家賃を設定しなければ、採算が合わなくなってしまうからです。

新築の場合は高い家賃でも入居希望者が多いかもしれませんが、5年や10年と経過した後に、新築時と同じ家賃で入居したい人がどれだけいるでしょうか。

基本的に、経年劣化に伴い家賃を下げる必要が生じるため、最初に設定した家賃のままで長期間にわたって安定した利益を上げ続けることは非常に困難です。

ローン返済後のマンションの不動産価値

 

住宅ローンと同様に、不動産投資ローンの期間も一般的には30年から35年です。

 

そのため、新築から30~35年が経過したマンションにどれほどの価値が残っているかを十分に考慮する必要があります。経年劣化による修繕コストなども考慮に入れなければならず、こうした要素を見落とすと投資が行き詰まる可能性が高くなるのです。

まとめ

 

以上のように、新築ワンルームマンションを購入することに対する懸念点を説明してきました。

 

最近では、首都圏の不動産価格が上昇しており、10~20年前に首都圏のマンションを購入した方は、新築時よりも物件価格が上昇している場合も見受けられます。

 

しかし、現在の高騰している物件価格に加え、さらに割高な新築を購入することが、どれほど利益を得ることが難しいかは容易に想像できるはずです。

不動産投資は購入する物件やそのタイミングによって大きく影響を受けるため、投資対象物件の選定においては慎重に行動し、計画的に進めることが重要です。

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