ソーラーパネルは、太陽光発電パネルとも呼ばれ、環境への配慮が高まる中で注目を集めている発電手段の一つです。また、災害時には補助電力源としての機能も期待され、さまざまな場面での利用が考えられています。
ソーラーパネルは、クリーンなイメージを持つ一方で、環境に良いという理由だけで導入を決めてしまうと、後悔する可能性があることを忘れてはいけません。したがって、導入を検討する際には、メリットとデメリットの両方をしっかりと理解し、把握しておくことが非常に重要です。
ソーラーパネルとは
ソーラーパネルは、複数のセルと呼ばれる太陽電池が組み合わさって構成されています。これらのセルをつなぎ合わせたものをモジュールと呼び、最終的にこのモジュールがソーラーパネルとして知られています。パネルの内部には半導体があり、太陽光を吸収して電気に変換する仕組みが備わっています。
ソーラーパネルには大きく分けて三つの種類が存在します。「シリコン系」「化合物系」「有機物系」の各タイプです。
「シリコン系」は、特に住宅用として広く普及しているパネルであり、その発電効率が高いのが大きな特徴です。これが家庭用として主に使われている代表的な製品です。
「化合物系」は、コストパフォーマンスに優れ、低価格での生産が可能であり、シリコン系と比較しても経年劣化が少ない点が強みと言えます。
「有機物系」は、無機物を用いない新たなソーラーパネルの形態ですが、現在はまだ研究開発の段階にあり、実用化には至っていない状況です。
ソーラーパネルのメリットとデメリット
メリット
まず最初に、ソーラーパネルを導入する際のメリットについて詳しく見ていきましょう。
電気代の削減が期待できる
ソーラーパネルを設置することで、自家発電が可能となり、結果として電気代の削減に繋がります。日中は、電力会社から購入する電気をソーラーパネルによって発電した電気で賄うことができます。ただし、ソーラーパネルを設置したからといって電気代が完全にゼロになるわけではありません。天候に依存するため、発電できない場合には電力会社から電気を購入する必要があります。
そのため、ソーラーパネルはメインの電力源ではなく、あくまで補助的な電力源として考える必要があります。
災害時の備え
万が一、災害時に停電が発生した場合でも、日中であれば電気を利用することができます。この時間を利用して冷蔵庫の食材を移動させたり、携帯電話やバッテリーの充電を行うことで、夜間の備えをすることが可能です。
さらに、蓄電池を設置しておくことで、必要なときに電気を使用することができるため、日本は地震が多い国であることから、停電への備えとしてソーラーパネルを選択肢の一つに加えるのも良いでしょう。
電気を売ることで収入を得られる
経済産業省によると、住宅用太陽光発電で生成された電気のうち、自宅で消費されるのは約3割であり、残りの7割を売電することで収入を得ることが可能です。これは太陽光発電の経済的なメリットの中で非常に重要なポイントです。
ただし、この売電収入でソーラーパネルの設置費用を回収するには、目安として約10年程度の期間を考慮する必要があります。これはあくまで目安であり、何らかの理由で回収期間が延びる可能性もあるため、注意が必要です。
環境に優しい
ソーラーパネルは発電時にほとんどCO2を排出しないため、環境に優しいとされています。火力発電や原子力発電と比較すると、環境に与える負荷が少ないことが大きな特徴の一つです。
デメリット
次に、ソーラーパネルを購入する際のデメリットについて見ていきましょう。
初期費用が高額
太陽光発電を導入する際に、最初に考慮すべき課題は初期費用です。一般家庭がソーラーパネルを導入する場合、設置費用は約100万円以上かかるとされています。
この費用は、設置するパネルの数やサイズ、1枚あたりの発電量により変動するため、注意が必要です。最近では設置費用が年々低下しているものの、それでも一般家庭が簡単に手を出せる金額ではありません。
さらに、初期費用だけでなく、維持費用も発生することを忘れないようにしましょう。
季節や天候によって発電量にばらつきがある
太陽光発電は、天候によって発電量が大きく変わります。具体的には、日射量によって発電量が決まるため、天候が悪い日にはほとんど発電が行われません。また、季節によっても発電量に変動が見られます。
一年を通じて、夏の間は日照時間が長くなる一方で、冬には日照時間が短くなり、その結果として発電量が減少する傾向があります。したがって、常に安定した電力を供給することができるわけではないことを理解しておくことが非常に重要です。
メンテナンスが必要
ソーラーパネルは、定期的なメンテナンスが必要です。実際には、ソーラーパネルの劣化や不具合に気づくことが難しく、メンテナンスを怠ってしまうことが少なくありません。
しかし、経年による劣化は確実に進行しており、パネルやシステムに不具合が発生すると発電量に悪影響を及ぼすことがあります。自分でチェックしようとするよりは、専門の業者にメンテナンスを依頼する方が確実です。
メンテナンスは、4年に1度の点検が推奨されています。ソーラーパネルの寿命は約20年とされており、その間に定期的な点検やパワーコンディショナーの交換、部品の交換などが必要であることを理解しておく必要があります。
設置に向かない立地がある
ソーラーパネルを設置するにあたって、適さない条件がいくつかあります。たとえば、自宅の周囲に高い建物があり、日射量が不足している場合などが挙げられます。特に都市部では、高層ビルが多く、日陰が生じるリスクがあります。
さらに、屋根の面積が小さくて十分な電力を発電できない場合もあります。また、デザイン性の高い屋根や複雑な形状の屋根では、ソーラーパネルを設置するスペースが限られることもあります。このため、得られるメリットよりも費用がかさむリスクを考慮しなければなりません。
また、屋根の向きが北向きの場合、反射光トラブルのリスクもあります。北面にソーラーパネルを設置すると、南からの太陽の光が近隣の家に差し込む可能性があり、北面に設置した場合は発電量が他の方向に設置するよりも少なくなる傾向があります。これにより、北面しか設置できない住宅では、太陽光発電を諦めた方が良いかもしれません。
リサイクルにかかる料金
故障や老朽化が進んだソーラーパネルは、撤去する必要がありますが、これには有害物質が含まれているため、専門業者に依頼することが安全です。業者に依頼する場合は、当然ながら費用が発生します。
設置されたパネルを撤去し、各自治体で定められた処理方法で処分する必要があり、そのためにはパネルの撤去費用や処分費用が必要となります。これらの費用はおおよそ15万円程度が目安とされています。
パワーコンディショナーの設置場所
太陽光発電を導入する際には、ソーラーパネルの設置だけでなく、パワーコンディショナーも必要です。これは、ソーラーパネルの面積や向きだけを考慮することでは不十分であることを示しています。
屋内外に設置できるタイプがありますが、屋外に設置する際には注意が必要です。それは、パワーコンディショナーが電磁波を発生させ、音を発するためです。近隣とのトラブルを避けるためにも、周囲に配慮した設置場所を選ぶことが非常に重要です。
こんな人は買ってはいけない
1. 太陽光発電のデメリットを知らない人
売電できることやクリーンなイメージだけを重視して、十分な情報を持たずに太陽光発電を導入してしまうと、予期せぬ問題に直面する可能性が非常に高くなります。
初期費用や維持費がどれほどかかるのか、設置に適した屋根や立地があるのか、万が一故障が発生した際に撤去にかかる費用を負担できるのかといった点をしっかりと検討しておかなければ、損をするのは自分自身です。
また、シミュレーションと現実が異なるケースが多いため、シミュレーション通りにいかないことを念頭に置いておくことが重要です。
2. 騙されやすい人
訪問販売の巧みな営業トークに耳を傾け、誤った判断で導入を決定する人も少なくありません。「キャンペーンを実施中」「○○代が無料」「太陽光発電に適した環境」といった魅力的な言葉で契約を促してくる業者が存在します。最悪の場合、契約した業者が倒産してしまうこともあるのです。
業者が倒産してしまった場合、設置後のサポートを受けることができなくなるため、このような業者を見極められない方は、ソーラーパネルの購入を見送るべきです。
3. 定期的なチェックが面倒な人
故障はもちろん、雨風による汚れでも発電量が減少します。そのため、パネルの掃除や定期的な点検が不可欠です。しかし、ソーラーパネルの異常は目に見えにくく、気づかないことが多いのが現実です。
可能であれば月に1回、発電量のチェックを行うことが重要ですが、それが面倒に感じる方は、ソーラーパネルの購入を見送った方が良いかもしれません。
4. 大家族の家
大家族の場合、電気の使用量が他の家庭よりも多くなるため、自然と売電収入が少なくなる傾向があります。特に昼間に電気を多く使う家庭にとっては、ソーラーパネルの導入をあまりお勧めできません。
まとめ
ソーラーパネルは良いイメージが先行しがちですが、上記に挙げた多くのデメリットを理解し、慎重に検討した上で導入を決定するべきです。売電収入や災害への備えといった利点にばかり目を向けていると、思わぬ落とし穴にはまってしまい、後悔する結果になるかもしれません。
購入後に「買わなければよかった」と後悔しないためにも、予期せぬリスクが存在することを忘れずにおきましょう。どうしてもソーラーパネルを購入したいと考える方は、十分な情報収集を行い、慎重に判断していただきたいと思います。
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