ハウスメーカーや工務店が発行する広告や公式ウェブサイトで、『ツーバイフォー』という用語を見かけたことはありませんか？
『ツーバイフォー』は、住宅を建設する際に用いられる工法の一つを指しています。
この工法の正式名称は木造枠組壁工法であり、特に注目されています。
壁や床などの面で建物全体を支える手法を採用しており、合計6つの面を利用して箱型の構造を形成し、その後に窓やその他の開口部を切り抜く形で施工が進行します。 この過程を、段ボールを組み立てる手法に例えると、より理解が深まるかもしれません。
さらに、住宅建設には『在来工法』という別の工法も存在します。
この工法の正式名称は木造軸組工法です。
梁や柱を組み合わせて骨組みを構築し、建物を支える伝統的な手法であり、日本においては古くから使用されてきました。 現在建設される木造住宅の多くは、この工法を基にしています。
現在の日本の木造住宅においては、上記の2つの工法が主流を占めているのが現状です。
私自身が家を建てる際には、『ツーバイフォー』を選ぶことに決めました。
多くの木造住宅が存在する現代日本において、在来工法ではなく、なぜツーバイフォーを選んだのか、その理由を深く掘り下げてお伝えしたいと考えています。
『在来工法』と『ツーバイフォー』それぞれの特徴
まず初めに、両工法の特徴を簡潔にまとめた表を以下にご紹介します。
| 在来工法 | ツーバイフォー | |
| 工期 | 長期 | 短期 |
| 費用 | 高い | 安い |
| 耐震強度・気密性 | 低い(ツーバイフォーと比較して) | 高い |
| リフォーム | しやすい | しづらい |
| デザインの幅 | 広い | 狭い |
工期
ツーバイフォー工法では、事前に工場で組み立てられたパネルを現場で固定するため、工期が比較的短くなる特性があります。
一方で、在来工法の場合は、梁や柱を初めからすべて組み上げていく作業が必要であり、その結果手間がかかり、工期が長くなる傾向があります。
費用
ツーバイフォー工法では、工場で大量に生産された部材（2インチ×4インチ）をマニュアルに従って組み立てるため、コストを抑えることが可能です。
加えて、材料同士を釘で留める作業が主体となるため、職人の技術に依存することが少なく、全体的に費用が安くなる傾向が見られます。
耐震強度・気密性
ツーバイフォー工法では、全ての壁が6面で家を支える構造になっているため、耐震強度が非常に高いとされています。
実際に、日本ツーバイフォー建設協会の調査によると、東日本大震災で震度6以上が観測された地域に建設されたツーバイフォー住宅20,000棟のうち、98％が大きな修理をせずに使用できる状態であったという結果が得られています。
また、気密性に関しても、パネル同士の隙間が少ないため、在来工法に比べて高い評価を得ています。 気密性が高い住宅は、換気や冷暖房の管理が非常に効率的に行えます。
リフォーム
結論として、ツーバイフォー工法で建てた住宅は、在来工法で建てた住宅に比べてリフォームが難しい場合があります。
その理由は主に2つに分けられます。
1つ目は、ツーバイフォー住宅に関するリフォームの知識を持つ業者が非常に少ないということです。
ツーバイフォーという工法は、日本では比較的新しいため、リフォームに関する熟知した業者がまだまだ少ないのが現実です。
そのため、どの業者に依頼するかが非常に重要なポイントとなります。
2つ目の理由は、様々な建築基準が存在するため、リフォームの自由度が制限されることです。
ツーバイフォー住宅のリフォームを行う際には、以下の7つのルールを守ることが求められます。
耐力壁線の真下には基礎
1階部分の耐力壁線の真下には、必ず鉄筋コンクリート製の基礎を設置しなければなりません。
耐力壁線上の開口部の巾は壁の長さの3/4以下
耐力壁を改修して耐力壁線上に開口部を設ける際、その開口部の幅は耐力壁線の長さの3/4以下でなければなりません。
耐力壁は基本的に90cm以上
構造上重要な壁であるため、通常は90cm以上の高さが求められます。
耐力壁線区画は原則40㎡以内
部屋を仕切る壁を撤去して広さを確保するリフォームを行う場合、建物の平面は原則として四角形を組み合わせる形となり、できあがった四角形の面積は40㎡以内でなければなりません。
開口部の巾は最大4m
開口部を広げる際、耐力壁線上の開口部の幅は4mを超えないようにすることが求められています。
建物の隅角部は90cm以上の壁を配置
どんな設計においても、建物の隅には必ず90cm以上の壁を設置することが基本とされています。
区画内の耐力壁の長短比は4以下
耐力壁を移動させる場合、40㎡以内で区画された空間の長短比は4以下に設定する必要があります。 ※耐力壁とは、建物にかかる横からの力を支えるための壁を指し、建物は上下からの力には強い傾向がありますが、地震による横揺れや突風には弱いとされています。
デザインの幅
ツーバイフォー住宅で使用される材料は、基本的に2インチ×4インチという規格に統一されているため、在来工法で建てられた住宅に比べてデザインの自由度が制限されています。
また、住宅を建てる際に守るべきルールも多く存在するため、特殊な形状や独特なデザインを求める方には向かないかもしれません。
もちろん、ツーバイフォー住宅でも工夫を凝らせば魅力的なデザインの家を建てることが十分に可能です！
ツーバイフォー住宅を選ぶ理由
以上で紹介したそれぞれの特徴を考慮し、ツーバイフォー住宅を推奨する理由を詳しく説明していきます。
費用が比較的安価である
ツーバイフォー住宅の坪単価は、20万円から50万円台であると広く知られています。
耐震性に優れている
前述の通り、ツーバイフォー住宅は耐震性が非常に高いことが大きな特徴です。 モノコック構造（箱型）を採用しており、面で均等に揺れを受け止め、吸収することが可能です。
広い空間が確保できる
ツーバイフォー住宅では、使用する柱の本数が在来工法で建設された家よりも少なく、結果として広い居住空間が得られます。
断熱性・遮音性・気密性が高い
面と面で構成されているツーバイフォー住宅は、在来工法に比べて隙間が少なく、断熱性、遮音性、気密性のいずれにおいても優れています。
したがって、省エネ住宅としても非常に優れた選択肢となります。
ツーバイフォー住宅は湿気に弱い！？
ツーバイフォー住宅は、モノコック構造による断熱性や遮音性といった利点がある一方で、気密性が高いため、湿気に対して弱く、カビや結露が発生しやすいとの懸念が指摘されることもあります。
では、実際にはどうなのでしょうか？
結論としては、現在のツーバイフォー住宅ではこのような問題は改善されてきています。
確かに過去には、湿気の影響で柱が腐食したという報告もありました。
しかし、2003年に改正された建築基準法により、シックハウス症候群への対策としてすべての住宅に24時間換気システムの設置が義務化されました。
そのため、2003年7月以降に建てられた住宅は、気密性が高くても適切な換気が行われているため、安心して暮らすことができると言えるでしょう。
まとめ
ツーバイフォー住宅を建てるメリットについて、さまざまな点が明らかになりました。
多くの方が耳にしたことがある『ツーバイフォー』という工法は、
これから注文住宅を考えているあなたにとっての選択肢の一つとして、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか？
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