異なる価格帯で販売されている2種類の絆創膏を目にして、どちらを選ぶべきか迷った経験はありませんか?高価格帯に位置する絆創膏は、モイストヒーリング(湿潤療法)を目的としたハイドロコロイド絆創膏です。それに対して、低価格帯の絆創膏は、かさぶたを形成し、傷を治すことを目指すドライヒーリング(乾燥療法)を取り入れた従来型の絆創膏です。この2つの絆創膏は、治療のプロセスにおいて根本的に異なる特性を持ちます。絆創膏を選ぶ際には、価格の違いだけでなく、実際の効果に関する情報が店頭で十分に提示されていないことも多く、そのために安価な製品に手を出してしまうことがよくあります。そこで、価格だけでなくその機能や治療効果の観点から、ハイドロコロイド絆創膏の使用方法や注意点を詳しく調査してみました。
絆創膏の種類と特徴
絆創膏の特徴を比較した結果を以下の表にまとめましたので、ぜひご覧ください。
種類 | 価格 | 治療方法 | 痛み | 治療期間 | 瘢痕(きっぽ) |
従来の絆創膏 | 安い | ドライヒーリング | なかなかひかない | 長い | できる |
ハイドロコロイド絆創膏 | 高い | モイストヒーリング | 早くおさまる | 短い | できにくい |
価格の安い絆創膏(従来の絆創膏)
このタイプの絆創膏は、粘着テープの上に不織布が施されており、傷を守るための基本的な機能が備わっています。従来の治療手法であるドライヒーリング(乾燥療法)では、傷口を乾燥させてかさぶたを作り、その後傷を癒すという方法を取ります。従来の絆創膏を使用した場合、かさぶたができると多くの人はついつい絆創膏を剥がしてしまいがちです。かさぶたが形成されることで、周囲の皮膚が再生を始め、瘢痕が残るリスクが増加します。
価格の高い絆創膏(ハイドロコロイド絆創膏)
この絆創膏には、ハイドロコロイドという特別な素材が使用されており、滑らかな表面を持っています。これはモイストヒーリングのために特別に設計された絆創膏です。ハイドロコロイドは、傷口をしっかりと密閉し、傷から出る体液を吸収し保持します。この体液には、傷の回復に必要な成分が含まれており、傷の再生を促進する重要な役割を果たします。さらに、傷口を密閉することで空気に触れない環境を作り出し、かさぶたの形成を防ぐことができるのです。また、ハイドロコロイド絆創膏は、人工皮膚に近い働きを持つため、痛みが迅速に軽減されるのも大きな特徴です。モイストヒーリングの過程ではかさぶたが形成されないため、皮膚のターンオーバーが正常に行われ、傷全体が下から上へと再生されるため、美しく治癒し、瘢痕が残りにくい治療方法といえるでしょう。
ハイドロコロイド絆創膏の使い方
ハイドロコロイド絆創膏を使用する際には、特に感染症への注意が必要です。正しい使用方法を守ることで、傷の回復を促し、綺麗に癒すことができます。しかし、不適切な使い方をすると感染症が発生し、傷が悪化し、治癒までの時間が延びる可能性があるため、注意が必要です。正しい使用方法を以下に詳しく説明します。
ハイドロコロイド絆創膏の適応
擦り傷や切り傷、靴擦れ、あかぎれ、さかむけといった浅い傷に適しています。従来の絆創膏と適応に大きな違いはありません。
使い方の4ステップ
ハイドロコロイド絆創膏の使用は、以下の4つのステップからなります。具体的な手順については、下記の表をご参照ください。
ステップ | やること |
1.水道水で傷口を洗う(感染防止) | 傷口に付着した細菌や異物(砂やほこりなど)をしっかりと洗い流します。この際、異物が残っていると感染の原因となるため、十分に取り除くことが重要です。消毒は特に必要ありません。 |
2.傷口の観察(止血) | 傷口の大きさや深さを確認し、出血がある場合は止血処置を行います。止血には、出血している部分を圧迫することが最も効果的であり、清潔なハンカチやティッシュを使用して圧迫してください。圧迫は長くても約5分程度で、出血が止まります。 |
3.絆創膏の貼付(湿潤状態を保つ) | 傷口を絆創膏でしっかりと密封できるよう、傷口の周囲よりも大きめのサイズの絆創膏を選ぶことが重要です。可能であれば、傷口から1cm程度大きなものを使用することをお勧めします。ただし、指先の傷のように大きな絆創膏を使用できない場合はこの限りではありません。絆創膏の粘着力を高めるために、貼った後1分ほど手で圧迫してください。 |
4.経過の観察(感染防止) | 感染の有無や治療の進行状況を観察することが重要です。適切に貼られていると、徐々に傷の痛みは気にならなくなります。感染がある場合は、痛みが持続することがあります。その他の感染に伴う症状については以下で説明します。傷口から出る体液をハイドロコロイドが吸収し、ゲル状になります。ゲル化すると白く変色し、膨らむことがありますが、これは正常な反応です。 |
ハイドロコロイド絆創膏の交換のタイミング
もし絆創膏の端から体液が滲み出てきた場合、それは細菌が侵入する危険が高まっているサインです。このような状況では、新しい絆創膏に交換することが非常に重要です。さらに、痛みが長引く場合は、絆創膏を剥がして病院を受診することをお勧めします。感染や異物が残っている可能性が考えられます。
ハイドロコロイド絆創膏の使用時の注意点(感染防止について)
モイストヒーリングを行う際には、絆創膏で傷口を密閉します。この過程で、もし感染がある場合には、傷口で細菌が増殖し、傷が悪化してしまうリスクが高まるため、注意が必要です。したがって、せっかくハイドロコロイド絆創膏を使用していても、傷口が逆に深くなってしまうことがあるのです。このように感染が進行すると、モイストヒーリングを続けることが困難になり、ドライヒーリングに切り替えざるを得ない場合があります。
感染をしているか見極めるポイント
感染の有無を判断するためには「痛みの有無」「発赤」「腫れ」「熱感」の4つのポイントを確認することが非常に重要です。感染があると「痛み」が感じられ、さらに感染が進行すると傷口が炎症を起こし、赤く腫れて周囲が熱を持つこともあります。自分の傷の場合、「痛み」の有無で感染を判断しやすいですが、小さなお子さんなど自分の状態を上手く表現できない場合には、痛み以外の「発赤」「腫れ」「熱感」での判断が重要となります。
感染防止の方法
感染予防の基本は、水道水を使った洗浄です。怪我をした際には、できるだけ早く傷口に付着した細菌や異物を洗い流すことが大切です。これにより、傷口に存在する細菌の数を減少させることができます。細菌の数が減少することで、免疫システムがより迅速に細菌を排除でき、感染を防ぐことが可能となります。消毒は特に必要ありません。傷口を密閉するため、消毒液が残ると逆に傷の回復を遅らせることがあるため注意が必要です。
病院受診したほうが良いケース
感染が疑われる場合は、すぐにハイドロコロイド絆創膏を剥がし、病院で診察を受けることを強くお勧めします。また、止血処置を行っても5分以上出血が止まらない場合は、大きな血管や動脈が損傷している可能性があるため注意が必要です。さらに、2週間以上傷が治癒しない場合も病院を受診することが必要です。
ハイドロコロイド絆創膏の使用終了のタイミング
傷が回復し、薄い皮膚が形成されると、体液の分泌が止まります。この薄皮が形成された際に紫外線にさらされると色素沈着が起こり、シミのように黒くなるリスクが高くなるため注意が必要です。体液の分泌が止まった後も、しばらく絆創膏を貼り続けることが推奨されます。周囲の皮膚が周りと同じような状態になってきたことを確認してから、絆創膏を外すことをお勧めします。
まとめ
従来のドライヒーリングに比べて、モイストヒーリングでは、傷をより早く、そして美しく治癒させることが可能です。また、ハイドロコロイド絆創膏を使用することで、痛みも迅速に軽減されるという利点があります。絆創膏の価格は高めではありますが、その分多くのメリットがあるので、価格だけでなく、その効果の違いを十分に考慮して絆創膏を選んでみてはいかがでしょうか。
コメント