
新型コロナウイルス感染症の影響が広がる中で、最近ではテイクアウトやデリバリーといったサービスへの需要が急速に増加しています。
皆さんの中には、自宅で過ごす時間が増えた外出自粛期間中に、テイクアウトやデリバリーを利用した方が多いのではないかと思います。
非常に便利なテイクアウトサービスですが、実はいくつかのリスクが隠れていることをご存じでしょうか?
今回は、テイクアウトメニューに潜む2つの危険性について詳しく解説し、テイクアウトで避けるべき食品を具体的にご紹介したいと思います。
ぜひ、テイクアウトやデリバリーを利用する際の参考にしてみてください。
テイクアウトメニューの2つの危険性
自宅でお気に入りの飲食店の味を楽しめる「テイクアウト」は、外食を控えなければならないこのご時世において非常にありがたいサービスの一つです。
しかしながら、便利なテイクアウトには実際に「食中毒」や「アレルギー」などのリスクが広く認識されています。その理由について、ここで詳細に説明していきます。
食中毒
食中毒の主な原因は、細菌やウイルス、さらには寄生虫に由来しています。特に梅雨の時期(5月~6月)や夏(7月~9月)は湿度が高く、気温も上昇するため、細菌が繁殖しやすく、この時期には細菌性の食中毒が増加する傾向があります。また、冬(12月~3月)には、ノロウイルスなどによるウイルス性の食中毒も発生することがあります。

最近の急速なテイクアウトやデリバリーの需要に応えるため、普段はテイクアウトを行っていなかった飲食店も積極的にこのサービスを開始するようになっています。
しかしながら、テイクアウトの経験がない飲食店が提供する食品の中には、消費者が食べるまでに長時間経過する可能性を考慮せずに提供されているものが存在し、特に気温や湿度が高い時期には食中毒のリスクが高まることが懸念されています。
このような状況を受けて、2020年5月には厚生労働省がテイクアウトサービスを開始したばかりの飲食店向けに、「飲食店における持ち帰り・宅配食品の衛生管理等について」という注意喚起を行いました。
その中には、
・持ち帰りや宅配に適したメニューを選ぶこと(生魚や生ものの提供は避けるなど)
テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
・施設の規模に応じた提供食数を考えること
・加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱すること
・調理済みの食品は、食中毒菌が繁殖しやすい温度帯(おおよそ20℃~50℃)に置かれないよう、適切な温度管理(10℃以下または65℃以上での保存)を行うこと
(例)小分けによる迅速な冷却、持ち帰り時の保冷剤の使用、保冷・保温ボックスを利用した配達など
・消費者に対して速やかに食べるように口頭やシールなどで情報提供すること
などの注意点が記載されています。
こうした取り組みを通じて、飲食店側のテイクアウトに関する知識も深まり、現在では多くのテイクアウトメニューにおいて食中毒対策が講じられています。
それでもなお、生鮮食品を使用している場合や、加熱が不十分なメニューも存在しますので、テイクアウトやデリバリーを利用する際には、消費者自身も食中毒についての理解を深めることが求められます。
アレルギー
テイクアウトにはもう一つのリスク、すなわち「食物アレルギー」が潜んでいます。
食品表示法では、消費者に販売される食品に対して正確な食品表示が義務付けられています。
しかし、弁当や総菜を製造した店舗でのみ販売される場合や、顧客の注文に応じてその場で容器に詰める場合には、食品表示の義務が適用されないことがあります。
ですから、万が一本人や家族に食物アレルギーがある場合は、必ず店舗で原材料を確認してからテイクアウトやデリバリーを利用することが重要です。
確認することに躊躇してしまう場合には、大手の飲食店などでアレルギー対応メニューが販売されていることもありますので、そのような選択肢を考慮するのも良いでしょう。
買ってはいけないテイクアウトメニュー
ここでは、テイクアウトメニューの中でも特に食中毒のリスクが高い食品について、いくつかご紹介したいと思います。
サラダ・カットフルーツ

サラダやカットフルーツなどの生で食べる食品は、表面に食中毒の原因となる細菌が付着している可能性が非常に高いため、十分に洗浄する必要があります。また、10℃以下で保存することが求められるため、衛生管理が非常に難しい食品とされています。
そのため、特に夏場のように気温が高い時期には、購入を避ける方が賢明なメニューと言えるでしょう。これは、10℃以下での保存が難しいからです。
“半生”卵・肉類

丼物やサラダにトッピングされることが多い「生卵や半熟卵」には、サルモネラ菌という食中毒の原因となる細菌が含まれていることがあります。サルモネラ菌は加熱によって死滅します。
国内で流通している卵のサルモネラ菌の含有率は非常に低いものの、テイクアウトで使用される生卵や半熟卵は鮮度が保証されないため、食中毒を心配する方は避けるのが賢明です。
さらに、ローストビーフやレア焼きステーキなど、加熱が不十分な肉類にも、カンピロバクターや腸管出血性大腸菌といった食中毒の原因となる細菌が含まれていることがありますので、テイクアウトに限らず、加熱が不十分な肉類は食べない方が良いでしょう。
温かいものと冷たいものが一緒になった食品

例えば、果物と温かいごはんが一緒に盛り付けられたお弁当や、お刺身と揚げ物が近接して盛り付けられているお弁当など、温かい食品と冷たい食品が接触している場合、冷たい食品が傷む可能性があるため注意が必要です。
したがって、テイクアウトメニューを選ぶ際には、盛り付け方にも特に注意を払うことが重要です。
安全にテイクアウトを楽しむためには
これまでに、テイクアウトメニューに潜む危険性や注意が必要な食品についてお話ししてきましたが、安全にテイクアウトを楽しむために消費者が心掛けるべきポイントをいくつか挙げておきます。
- 長時間持ち歩かない
テイクアウトした後は、帰宅までの時間をできるだけ短くするように心掛けましょう。帰宅までに時間がかかる場合は、保冷剤をもらうなどして、食品が傷まないように気を配ることが求められます。
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