「亀は万年」という言葉が示す通り、カメはその長い寿命で広く知られています。実際には万年生きるわけではありませんが、カメの平均的な寿命はおおよそ30年から50年に達することが多いです。
さて、この長寿のカメが成長すると、果たしてどれほどの大きさになるのでしょうか。
一般的に飼われているミドリガメは、体長が約30cm程度に成長します。飼育する際には、その体長の約3倍の水槽サイズが必要とされるため、最低でも90×45cmの水槽が必要です。
ところで、最近特に注目を集めている「外来生物法改正案」についてはご存じでしょうか。この法案が成立することで、ミドリガメの飼育が今後ますます難しくなる可能性が高まっています。
この記事では、ミドリガメの今後の状況や、飼いやすくおすすめのカメについて詳しく解説していきます。
ミドリガメはいつまで飼えるのか?
まずはミドリガメの現状について詳しく見ていきましょう。
政府は1日の閣議で、外来種であるアカミミガメ(通称ミドリガメ)やアメリカザリガニについて、家庭内でのペットとしての捕獲や飼育を特例として認める規定を含む外来生物法改正案を決定しました。この改正により、販売や放流、無許可での譲渡が禁止されることになります。施行は来年の夏を予定しています。
・・・中略・・・
家庭や学校で飼われているアカミミガメの数は約160万匹、アメリカザリガニは約540万匹に上ります。一律に規制をかけることで放流が増える恐れがあるため、これまで見送られてきた規制です。
改正案では、特定外来生物であってもペットとしての飼育、捕獲、無償譲渡が例外的に認められる新しい規定が設けられます。既に飼育している場合は放流しないようにとの注意喚起が行われています。
(’22.03.01)
時事ドットコムニュースより引用 (※’22.04.17時点)
このような背景がありますので、今現在飼われているミドリガメについてはそのまま飼育を続けることが可能ですが、2023年の夏以降は新たに購入することができなくなる見込みです。
特に注意が必要なのは、飼えなくなったカメが池や川に放流されて繁殖してしまう事例が実際に起きている点です。カメの成長サイズや飼育方法についてしっかりと理解した上で、安易にカメを購入しないよう心掛けましょう。
カメの種類について知ろう
カメの種類は非常に多様で、リクガメやウミガメなど、さまざまな種類が存在します。ここでは特にペットとして人気のあるカメについてご紹介します。
- ミドリガメ
- ミシシッピニオイガメ
- クサガメ
- ニホンイシガメ
- セマルハコガメ
- キボシイシガメ
- ロシアリクガメ
ミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)
・体長 15~25cm
・寿命 25~40年
このカメは現在、特に問題視されている種類です。縁日でのカメすくいなどで簡単に手に入れることができ、非常に丈夫で飼いやすいという特長があります。しかし、その入手の容易さと長寿のために、飼いきれずに放流されるケースが増えていることが問題となっています。今後、このミドリガメが飼えなくなることが予想されるため、現在飼っている方は大切に育ててあげてください。
ミシシッピニオイガメ
・体長 8~12cm
・寿命 15~30年
成長してもあまり大きくならないため、非常に飼いやすいと評判です。丸い甲羅と、体に対して大きな頭が愛らしさを引き立てます。刺激を加えられると独特の臭いを放つことがありますが、飼育されている個体は普段あまり臭わないため安心です。
クサガメ
・体長 15~30cm
・寿命 20~30年
このカメは非常に温和な性格を持ち、なつきやすいため初心者にもおすすめです。子供の時期には「ゼニガメ」と呼ばれることが多く、その特徴的な黒っぽい色合いが魅力的です。ニオイガメという名前があるため「臭いカメ」というイメージがありますが、外敵がいない環境では臭いを出すことはないので心配いりません。
ニホンイシガメ
・体長 15~20cm
・寿命 20~30年
日本に古くから生息しているカメですが、水質に対して非常に敏感であり、絶滅の危険が指摘されています。クサガメと似た外見をしていますが、首の横にある黄緑色がなく、体色も黄色味を帯びているのが特徴です。クサガメと同様におっとりした性格で慣れやすく、水質管理に気を付けることで50年ほど生きることもあると言われています。
セマルハコガメ
・体長 10~15cm
・寿命 20~30年
沖縄に生息するヤエヤマセマルハコガメをはじめ、外国に生息するチュウゴクセマルハコガメやタイワンセマルハコガメの3種類に大きく分けられます。ただし、日本固有種のヤエヤマセマルハコガメは天然記念物として保護されているため、注意が必要です。ペットショップなどで外国産のものを購入することをお勧めします。美しい黒色にオレンジの模様があり、非常に人気を集めています。
キボシイシガメ
・体長 10~14cm
・寿命 20~40年
黒い甲羅に黄色い鮮やかな水玉模様がとても愛らしいカメです。アメリカ本土では保護対象となっていますが、日本ではブリーディングされた個体が流通しているため、手に入れやすいです。おとなしく、非常に飼いやすいですが、水質の変化には敏感なため、清潔な環境を保つことが重要です。
ロシアリクガメ
・体長 15~25cm
・寿命 30~50年
このカメは「ホルスフィールドリクガメ」や「ヨツユビリクガメ」とも呼ばれるリクガメの一種で、比較的小型であるため、その飼いやすさから多くの人に人気があります。4つの大きな爪を使って地面を掘ることが得意で、じっくりと育てることで飼い主に慣れてくれることが多く、匂いが少ないため好まれる理由の一つです。
カメを飼うために必要なアイテム
これからカメを飼い始める方に向けて、必要なアイテムをまとめました。
レンガなどの陸地
フィルター
水質調整剤
エサ
(冬眠させない場合は)ヒーター
基本的には上記のアイテムを揃えることが必要ですが、セマルハコガメのように泳ぐのが得意でないカメには、陸地の面積を全体の2/3程度と多めに設ける必要があります。また、リクガメの場合は水を必要としないため、ケージにはエサ入れや水入れ、床材を設置してください。
さらに、カメの甲羅を健康に保つためには紫外線が非常に重要です。屋内で飼う場合は紫外線ライトを設置し、逆に屋外で飼う場合はシェルターなどを用意して、日光が当たりすぎないように注意を払いましょう。
カメの冬眠についての注意点
カメは爬虫類であるため、気温が15℃を下回ると冬眠を始めます。しかし、飼っているカメを冬眠させるかどうかは、初心者の方にはあまりお勧めできません。
冬眠のメリットとしては、
●自然に近い環境で飼育できる
●エサ代がかからなくなる
一方で、デメリットは以下の通りです。
●冬眠に失敗すると、そのまま死んでしまう危険がある
●若いカメや高齢のカメは衰弱死のリスクが高まる
このようにデメリットの方が大きくなりがちなので、基本的には冬眠させない方が賢明です。
・体内にエサやフンが残っていた
・水温を5℃前後に保てなかった
・夏にしっかりとエサを食べなかった
・水が蒸発してしまった
・カメが弱っていた
などが挙げられます。
可能であれば冬眠を避けた方が安心ですが、日頃からカメの様子をしっかり観察し、飼育に慣れてきたら挑戦してみるのも良いでしょう。
まとめ
カメを飼うということは、その長い人生の一部を共にすることを意味しますので、きちんと最後まで世話をする覚悟が必要です。また、思っていた以上に成長するカメも存在するため、事前にしっかりと調査し、理解を深めた上で飼うことが極めて重要です。
とはいえ、仔ガメが一生懸命に手足をバタバタさせている姿は本当に可愛らしいものです。安易に「飼っちゃった」とならないよう、長期的な視野を持ってカメを飼うことを心掛けてください。
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