
ヒョウモントカゲモドキは、飼育が比較的容易であると広く認識されている爬虫類の一種です。この生き物は、爬虫類の中でも特に入門者向きとされており、初心者でも扱いやすいため、ここ数年の間にその人気は急激に高まっています。
このヒョウモントカゲモドキは、性格が非常に温和で、動作がゆっくりとしているため、親しみやすく、愛らしい存在として多くの人々に愛されています。そのため、ペットとして選ばれることが多いのです。
しかし、小さなサイズで飼いやすいからといって、軽い気持ちで飼うことは決して正しい選択とは言えません。生き物を飼うということは、その命に対して責任を持つことが求められます。
そこで、ヒョウモントカゲモドキを飼育する際に注意すべきポイントについて、詳しく解説していきたいと思います。
ヒョウモントカゲモドキとは

・ヒョウモントカゲモドキ:英名→レオパードゲッコー
・寿命:10~15年
・全長:20~25㎝
・夜行性
・生息地:パキスタン、アフガニスタンなどの砂漠地帯
・ヤモリの仲間ですが、壁に張り付くことはできません。
ヒョウモントカゲモドキは何を食べるの?
ヒョウモントカゲモドキは主に昆虫を食べる習性があります。最近では、人工餌や冷凍のコオロギが販売されていますが、個体によってはこれらに対する食いつきが良くないこともあります。そのため、場合によっては生きたコオロギを与える方が、より良い結果を得られることがあります。
コオロギをエサとして与える際には、コオロギ自体にもエサを与えて育てる必要があります。このため、昆虫が苦手な方にとっては、虫を育てたり、ピンセットでつかんで餌を与える行為に対して、抵抗感を抱くかもしれません。
エサを与える頻度については、赤ちゃんのヒョウモントカゲモドキの場合は1日から2日に1回、1歳を過ぎると1週間に1~3回が目安となります。個体差があるため、しっかりと観察しながらエサの量を調整することが非常に重要です。
簡単じゃない?ヒョウモントカゲモドキ飼育の注意点

ヒョウモントカゲモドキは、飼育が簡単だと言われる一方で、飼育環境によっては病気にかかりやすいという側面も持っています。そのため、飼育にあたっての注意点をしっかり確認しておくことが求められます。
特に重要なのは、温度と湿度の管理です。飼育環境の温度は25~30度くらいに保つ必要があり、この温度帯は意外にも高めです。ヒョウモントカゲモドキは「外温動物」であるため、自ら体温を調整することができません。外の気温が低すぎると、動けなくなってしまうことがあります。外部温度が低下すると代謝が落ち、消化器官の働きが鈍くなり、エサを食べなくなるだけでなく、免疫力も低下してしまいます。そのため、温度計を設置し、定期的に確認することが非常に重要です。
理想的な環境は、エアコンを使用して24時間温度管理を行うことですが、電気代を気にされる方には少し負担に感じるかもしれません。爬虫類用のパネルヒーターも販売されており、飼育ケースの下に設置して使用することが一般的です。パネルヒーターを設置する際は、低温やけどを防ぐための注意が必要です。
パネルヒーターは飼育ケース全体に敷くのではなく、ケースの半分だけに敷くことで、ヒョウモントカゲモドキが暖かい場所と冷たい場所を自由に行き来できる環境を整えることが望ましいです。
さらに、ヒョウモントカゲモドキの湿度管理も重要です。湿度は約50%程度を維持するよう心掛けましょう。湿度が適切に管理されていないと、ヒョウモントカゲモドキは「脱皮不全」に陥る可能性があります。脱皮不全とは、うまく脱皮できずに皮が残ってしまう状態であり、残った皮が乾燥することで体を締め付け、その部分が壊死する危険性もあるため、十分に注意が必要です。高温多湿な梅雨の時期は問題ありませんが、乾燥した冬の時期には特に気をつけるべきです。
床材の選択にも注意が必要です。床材としてはキッチンペーパーをおすすめします。砂の材質のものを推奨するペットショップも多いですが、誤って食べてしまう危険があるため、特に注意が必要です。砂を誤飲すると腸閉塞の原因となり、手術が必要になる場合もあります。
カルシウム不足についても留意が必要です。ヒョウモントカゲモドキはカルシウムが不足すると、元気がなくなり、骨折しやすくなるだけでなく、骨が変形してしまったり、重症化すると痙攣を起こすこともあるのです。カルシウムはエサにまぶして与えると摂取しやすくなります。また、カルシウムにビタミンDが含まれているものを選ぶと吸収率が向上するため、特に妊娠中や成長期のヒョウモントカゲモドキには非常に効果的です。
さらに、ヒョウモントカゲモドキを診察してくれる動物病院を事前に探しておくことも非常に重要です。犬や猫を診察する動物病院は多く存在しますが、爬虫類を扱う病院は非常に少ないのが現状です。飼う前に必ず診察可能な医療機関を確認しておくことが求められます。
最後に

ヒョウモントカゲモドキは飼いやすいと評判ですが、実際には飼育にあたっての注意点が多く存在します。簡単に飼えると聞いたからといって、しっかりと調べずに飼い始めると、後々後悔する可能性も出てきます。これこそが、安易に飼ってはいけない理由です。
どんなに小さな生き物であっても、そこには大切な命が宿っています。飼育には手間や時間、そして費用がかかることを理解しておく必要があります。生き物を飼うことは決して簡単なことではないのです。
それでも飼いたいと考えるのであれば、このような手間を面倒だと思わず、最後まで責任を持って世話をしてあげてください。飼い主さんとペットが共に幸せな生活を送れることを心より願っています。



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