パグやフレンチブルドッグ、シーズーなどの犬たちは、特徴的な低い鼻と愛らしい見た目で多くの人々に愛されています。これらの犬種は、一般的に「短頭種」として知られています。
最近のペットブームに伴い、短頭種を新たな家族として迎え入れたいと考える方々が増えているのではないでしょうか。私自身も、パグとフレンチブルドッグを家族に迎えてから、すでに3年が経過しました。この3年間は、彼らとの生活がどれだけ楽しいものであったかを実感しています。
今回は、そんな魅力に溢れた短頭種について、さらに詳しくお話ししていきたいと思います。
短頭種とは、どんな犬?
短頭種とは、頭の形に対して鼻の長さ、つまりマズルが短い犬種のことを指します。これらの犬種には、パグやフレンチブルドッグ、シーズー、ブルドッグ、ボストンテリア、ボクサー、ペキニーズ、チャウチャウなどが含まれており、それぞれが独自の魅力を持っています。
短頭種の特徴について
犬の皮膚には汗腺が存在しないため、体温を調節する手段が限られています。人間は、暑くなると汗をかいて体温を下げる仕組みがありますが、犬は汗腺が欠如しているため、ハァハァと舌を出して呼吸することで体温を発散させています。
しかし、短頭種は鼻が短く、口腔内のスペースも狭いため、呼吸による体温調節が他の犬種と比べて難しいのです。このため、短頭種は熱中症のリスクが高く、特に注意を払う必要があります。例えば、車の中に犬を置いておくことは絶対に避けるべきであり、家庭内でも夏の暑さが厳しい時期にはエアコンを使用することが必須となります。
また、日中に散歩を行う場合は、特に冬場が適していると考えるべきです。春が近づくにつれて気温が上昇し、散歩中に呼吸が苦しそうに見えることが多くなるため、そういった点にも配慮が必要です。
さらに、短頭種の犬は顔や鼻、口周りに皮膚のたるみが目立つため、そこに汚れが溜まりやすく、皮膚炎を引き起こすリスクも高まります。日常的に拭いてあげるなど、定期的な清掃とケアが非常に重要です。
短頭種の犬たちは、可愛らしいクリクリとした目をしていますが、眼球が突出しているため、瞬きがしづらくなっています。さらに、鼻が短いことから、眼球に傷がつきやすいというリスクが増大します。
かかりやすい病気
短頭種で特に注意が必要なのは、呼吸器系の病気です。鼻孔が狭かったり、気管の入り口が狭い場合、変形が生じることがあります。こうした上気道に異常がある状態を「短頭種気道症候群」と呼びます。「ガーガー」や「ゼーゼー」といった特徴的な呼吸音が聞こえる場合、上気道が塞がれている可能性があります。また、「軟口蓋過長症」や「気管虚脱」といった病気も、この症候群に関連しています。
次に、露出性角膜炎という病気にも注意が必要です。眼球が突出しているため、遊びや喧嘩の際に眼球が傷つきやすく、さらに瞬きがしにくいために眼球が乾燥しやすくなる状況が生じます。その結果、眼球の傷や乾燥から角膜炎を引き起こすことがあるのです。
さらに、皮膚炎も多く見られます。顔周りのしわに汚れが溜まることで皮膚炎が発生することがあるほか、遺伝的な要因から短頭種は皮膚疾患のコントロールが難しいとされています。アトピー性皮膚炎や感染性の皮膚疾患もその一例です。
短頭種を飼うときの注意点
短頭種を飼う際に最も重要なポイントは、熱中症対策です。特に夏場は、24時間エアコンを稼働させる必要があるため、十分な対策を講じることが求められます。また、他の犬種と同じように散歩をすることは、夏の厳しい暑さでは熱中症の原因となることがあるため、注意が必要です。
散歩は、早朝の涼しい時間帯や、夕方にアスファルトの熱が冷めた後に行うことが推奨されます。これにより、犬が快適に散歩できる環境を整えることができます。
また、車の使用に関しても見逃せない点があります。屋外に駐車している車は非常に高温になり、エンジンをかけてからエアコンが効くまでにはしばらく時間がかかります。人間はその間、我慢することができますが、短頭種にとってはそのわずかな時間でも熱中症にかかる危険性があるのです。
熱中症の症状としては、多量のよだれや呼吸困難、ふらつき、ぐったりするなどの初期症状が現れ、重症化すると命に関わる事態になることもあります。したがって、熱中症が疑われる場合には、すぐに獣医師に相談できるように、普段からかかりつけ医の診療時間を確認しておくことがとても大切です。
また、皮膚トラブルが多いため、顔周りのしわをこまめに拭き取り、常に清潔を保つよう心がけることが重要です。定期的にシャンプーを行い、皮膚の健康を維持することも大切なケアとなります。
まとめ
短頭種を迎え入れることを考えている方へ。短頭種を飼うことで、あなたが「飼ってはいけない飼い主」の一員にならないよう、もう一度しっかりと考えてみてください。
短頭種は、熱中症対策として夏場には常にエアコンを稼働させる必要があります。また、他の犬種よりも病院に通う頻度が高くなる傾向があります。短頭種気道症候群が重症化した場合には手術が必要になることもあり、経済的な余裕も求められます。
散歩のタイミングも、夏場は早朝や夜に調整する必要があるため、飼い主としての責任を考えることが重要です。
私の家にいるパグも、獣医さんのお世話になることが多いです。(フレンチブルドッグはそれほどではありませんが)それでも、どれだけお金がかかろうとも、パグとフレンチブルドッグを家族に迎え入れて全く後悔はしていません。彼らの愛らしい仕草や寝顔、さらにはイビキに至るまで、癒される日々を楽しんでいます。
もし、飼ってはいけないデメリットを理解した上でそれでもなお短頭種を迎え入れたいと思っているのであれば、あなたにとって最高の鼻ペチャパートナーに出会えることを、心より願っています。
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