
リスは、ペットとしての人気が非常に高い、愛らしい小動物です。特に、ほっぺにたくさんの餌を詰め込んでいる姿は、見ているだけで心がほっこりと温まりますね。
ペットとして飼われているリスの中で、最も一般的な種はシマリスです。この名前は多くの人々にとって非常に馴染み深いものではないでしょうか。シマリスの特徴的な点は、背中に走る縦のストライプ模様であり、動物園などでも頻繁にその姿を見ることができます。
しかし、犬や猫とは異なり、リスをペットとして飼うことにはさまざまな課題が存在するという話もよく耳にします。
果たしてシマリスは、本当に飼うことができるのでしょうか。
この記事では、シマリスについての詳細をしっかりとお伝えしていきます。

シマリスについての解説
リスには多くの種類が存在しますが、特にペットとして広く飼われているのは「シマリス」と呼ばれる種です。シマリスは野生では北海道にのみ生息しており、ペットショップで見かけるシマリスは、実際には主に外国から輸入された個体です。
シマリスの特徴には、ふさふさとした長い尻尾と、背中にある美しい縞模様が挙げられます。また、ハムスターのように頬袋を持っており、多くの餌を自分の巣に運ぶ習性もあります。
自然界におけるシマリスの平均的な寿命は約5年ですが、ペットとしてしっかりと飼育される場合には、10年ほど生きることもあるようです。
性格は個体によって異なり、臆病で内気な性格の子もいれば、やんちゃでいたずら好きな子、人懐っこい子も存在します。
■シマリスの基本情報■
- 体長:12~15㎝(尻尾を除く)
- 尻尾の長さ:10~12㎝
- 体重:約100g
- 平均寿命:5~10年
シマリスは昼行性であり、基本的には単独で生活しています。通常は木の上で過ごしていますが、地下や岩場に巣を作ることもしばしばあります。木登りが得意で、非常に俊敏に動き回るため、追いかけるのは非常に難しいです。そのため、万が一飼育中に外に脱走してしまった場合、捕まえることはほぼ不可能だと考えた方が良いでしょう。
飼ってはいけない理由
動物園では頻繁に目にするシマリス。見た目がとても可愛らしく、チョロチョロと動き回る様子を眺めていると、心が癒やされますよね。
しかし、実際に飼おうとすると話は異なります。
では、シマリスを飼ってはいけない理由とは、いったい何なのでしょうか。
シマリスは外来種である
シマリスは日本にも存在していますが、その生息地は北海道に限られています。
このエゾシマリスは捕獲が禁止されており、日本各地のペットショップで販売されている個体は、すべて外国から輸入された外来種となります。
ペットとして多くのシマリスが販売されていますが、脱走や飼えなくなったという理由で外に放たれるケースが増加しています。そのため、放たれたシマリスがその地域に定着し、在来の生物相に影響を与える可能性が懸念されています。
シマリスは特定外来生物に指定されてはいませんが、「要注意外来生物」としてリストに挙げられています。
また、在来種のリスとの交配の危険性もあり、農作物への被害も確認されています。
外来種のリスを飼う場合には、しっかりと管理し、野外へ逃げ出さないように万全の注意を払う必要があるため、軽率な気持ちで飼うことは避けるべきです。
シマリスは人になつくのか?
シマリスは臆病な性格を持っているため、飼い主に対していつまでも懐かない可能性があります。
人の手に乗ったり、肩に乗って遊んでいる様子の動画を見かけることもありますが、それはほんの一部のリスに過ぎません。
シマリスの中には、野生的な性質が色濃く残っている個体も数多く、大きな人間に対して常に恐怖心を抱いていることがあります。幼い頃から優しく接してコミュニケーションを取ることで、懐いてくれる場合もありますが、リスが嫌がることをしてしまうと、飼い主に対して恐怖心を抱くようになり、懐かなくなってしまいます。まずは人間が危険な存在ではないと理解してもらう必要があります。
小さい頃から丁寧に優しくお世話をしてあげることで、懐いてくれる可能性が広がりますので、愛情を持って育てることが非常に大切です。
いたずら好きな性格のリスに対しては、広い心を持って接することが重要ですね。
飼育が難しい理由
小さくて飼いやすそうな印象がありますが、実のところリスの飼育は非常に難しい面を持っています。
犬や猫とは異なり、リスはペットとしての歴史が比較的浅いため、野生の本能が色濃く残っています。
シマリスの本来の生息環境は、高木が茂る森の中ですので、これを再現することは非常に難しく、環境を整えるだけでストレスの原因になり得ます。したがって、十分な広さと高さを持ったゲージが必要となります。
また、リスは噛むことが好きな動物であるため、かじるためのおもちゃや登るための木、巣箱、回し車など、さまざまなアイテムを用意する必要があります。
少しのストレスでもリスの健康に悪影響を及ぼし、病気になってしまうことがあるため、できる限り快適な環境を整えることが非常に重要です。
また、万が一病気になった場合に診察を受けられる動物病院を事前に調べておくことも非常に重要です。野生動物を診療する病院は少ないため、怪我や病気の際に適切な対処ができず、命を落とす可能性もあります。
毎日の健康状態を確認することも飼育の一環ですので、家を空けることが多い方や、世話に時間をかけられない方は飼うことを再考した方が良いでしょう。
このように、野生動物を飼うことは非常に大変なことです。飼い主にかかる負担は大きいことを理解し、できるだけ快適な環境で育てるために工夫する姿勢が必要です。
シマリスを飼う前には、物理的に自分がリスを飼うことが可能かどうか、十分に検討することが重要です。
リスのタイガー期について
タイガー期とは、シマリスが特に攻撃的になる時期を指します。
シマリスは冬に備え、餌をたくさん貯蓄する習性があります。縄張り意識が強く、単独生活をするシマリスにとって、貯めた餌や縄張りに近づくものは敵とみなされます。
この時期に急に攻撃的になることがあるため、飼い主も驚くことがあるかもしれませんが、これは野生の本能が残っている証拠でもあります。威嚇行動や、飼い主の手に噛みつく行為が見られることがありますが、これは自分の命を守るための防衛反応だと考えられます。
このような行動に対して、なだめようとするあまり余計に接触を持とうとするのは逆効果です。普段は人懐っこいからといって、むやみに手を出すと痛い目に遭う可能性が高いので、注意が必要です。特に小さなお子さんがいる家庭では、近づくことを避けた方が良いでしょう。
それでも可愛いシマリス
さて、いかがでしたでしょうか?
とはいえ、シマリスは本当に愛らしい存在であることは間違いありません。
触れ合いたいという気持ちも、非常に理解できます。
全ての人がシマリスを飼うべきではないというわけではなく、ペットとして素晴らしい関係を築いている方々もたくさんいます。
リスは野生的で自立心が強く、臆病でありながらも活発で…人間の言うことを簡単には聞いてくれません。
それでも、「飼う側」が我慢することよりも、「飼われる側」の我慢を考えてあげることが非常に大切です。ペットもまた、大切な命を持っています。
飼い主が愛情と責任をしっかりと持ち、丁寧に育てることが最も重要です。
「可愛いから」「飼いやすそう」といった安易な理由で、すぐに決断して飼うのは避けるべきです。もしも飼えなくなった場合、野に放つような行動につながるかもしれません。
シマリスも、自らの意思で販売されているわけではありません。そのため、リスが幸せな一生を送れるように努めることが飼い主の責任であり、楽しんで飼育してほしいと思います。
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