オフィスでの長時間の勤務は、知らず知らずのうちに喉の渇きを引き起こすものです。
職場で持ち込み可能な飲み物については、会社によってさまざまなルールがあります。中には「水やお茶は持ち込みOK」というところも見受けられます。
そんな場面で嬉しいのが、ペットボトルに入った甘いフレーバーウォーターです。
仕事のストレスや疲労を感じた際にこれを飲むと、果物の香りや甘みが心をリラックスさせてくれます。多彩なフレーバーが用意されており、桃や梨、みかんなど、様々な種類があるため、毎日飲んでも飽きることがありません。
無色透明なため、ミネラルウォーターと見分けがつかず、堂々と職場に持ち込むことができるのも魅力です。
水分補給のために欠かせない存在だと感じている方も、多くいらっしゃることでしょう。
しかし、無色透明であるからといって、甘いフレーバーウォーターは「清涼飲料水」であり、決してミネラルウォーターではありません。
甘いフレーバーウォーターの糖質
甘いフレーバーウォーターは、さまざまなメーカーから販売されています。
それぞれの製品の成分表を見てみると、記載されている原材料は製品ごとに異なりますが、共通しているのは糖質の存在です。
そこで、ペットボトル1本あたりに含まれる糖質量を製品ごとに比較してみました。
(小数点第1位以下は四捨五入しています)
「い・ろ・は・す」
日本コカ・コーラ株式会社の製品で、1本の容量は555mlです。
カロリー | 炭水化物 | |
みかん | 100kcal | 26g |
なし・もも | 105kcal | 27g |
「サントリー天然水」
サントリーフーズ株式会社の製品で、1本の容量は540mlです。
カロリー | 炭水化物 | |
朝摘みオレンジ | 124kcal | 31g |
ヨーグリーナ | 130kcal | 33g |
「晴れと水」
キリンビバレッジ株式会社の製品で、1本の容量は550mlです。
カロリー | 炭水化物 | |
手摘みレモン | 121kcal | 30g |
「ミウ」
ダイドードリンコ株式会社の製品で、1本の容量は550mlです。
カロリー | 炭水化物 | |
レモン&オレンジ | 99kcal | 24g |
カロリーの内訳
甘いフレーバーウォーターには、1本あたり99kcalから130kcalのカロリーと、約24gから33gの炭水化物が含まれています。
炭水化物には糖質と食物繊維が存在しますが、カロリーを生み出すのは糖質で、1gあたり4kcalとなっています。
この数値から逆算すると、含まれているカロリーの大部分は糖質から来ていることが分かります。
さらに、一般的な角砂糖の重さは4gですので、最も少ない「ミウ レモン&オレンジ」でさえ、角砂糖6個分の糖質が含まれている計算になります。
このように甘いものを、水のように飲み続けることは本当に大丈夫なのでしょうか?
ペットボトル症候群の甘い罠
甘いものを飲むことで、人間の血糖値は急上昇します。
そして血糖値が上がった体は、「喉が渇いた」という信号を発し、水分補給を要求してきます。
この時に甘いフレーバーウォーターを飲むと、再び血糖値が上昇します。これが引き起こすのは、甘いものを飲む→再度喉が渇く→さらに高血糖に陥るという無限の悪循環です。
この状態に陥ると、高血糖に耐えられなくなった体は、もうやめてくれと悲鳴を上げることになります。
それは、ひどい喉の渇きや多尿、倦怠感、吐き気、イライラ感として現れます。さらに、状態が悪化すると、意識の低下や昏睡状態に至ることもあるのです。
これが「ペットボトル症候群」と呼ばれる代謝異常の状態で、糖尿病と同様です。
砂糖依存症の甘い罠
実際、糖質には強い依存性があることが知られています。いわゆる砂糖依存症と呼ばれるものです。
糖質を摂取すると、脳内ではドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなど、幸福感をもたらす物質が放出されます。このこと自体は無害ですが、この幸福感が癖になると、脳は次々と糖質を求めるようになってしまいます。
たとえば、オフィスでストレスを感じた際、甘いフレーバーウォーターを飲みたくなるのはそのためです。
この砂糖依存症が引き起こす病気は、糖尿病のみに留まりません。
体内に糖質があふれると、本来健康を維持するために必要な栄養素が、糖質の処理に使われてしまいます。
その結果、体の各部位が栄養不足の状態になってしまうのです。これでは、健やかに過ごすことは難しいでしょう。
砂糖依存症によって引き起こされる病気には、うつ病やアルツハイマー、骨粗しょう症などがあります。一見、糖質とは関係がないように思えるかもしれませんが、実はそうではないのです。
甘いフレーバーウォーターは水感覚で買ってはいけない
甘いフレーバーウォーターは、その見た目からどうしても水を飲んでいる感覚になりがちです。
しかし、実際にはこれは水ではなく、30g前後の糖質を含むジュースなのです。さらに、カロリーのほぼ全てが糖質から成り立っているため、血糖値を急激に上昇させる飲み物と言えるでしょう。
オフィスで甘いフレーバーウォーターを飲んだ時に、ほっと心が和むのは、脳内での化学反応が関与しています。
これからは、水分補給のためにはミネラルウォーターかお茶を選ぶことを推奨します。
甘いフレーバーウォーターは、特に頑張った日の自分へのささやかなご褒美として楽しむべきです。
ペットボトル症候群や砂糖依存症を防ぐだけでなく、嬉しいダイエット効果も期待できます。
(スポーツドリンクにも大量の糖質が含まれているため、注意が必要です)
健康は人生を楽しむための重要な宝物です。病気を引き起こすリスクを回避しながら、糖質と上手に付き合っていくことが大切です。
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