ペットボトル飲料は、私たちの日常において非常に身近で欠かせない存在となっており、飲んだことがない、あるいは購入したことがないという人はほとんどいないのではないでしょうか。その軽量さ、持ち運びのしやすさ、さらにキャップをしっかりと閉めておくことで中身がこぼれる心配がないという点は、多くの人々にとって非常に魅力的な特徴となっています。
ミネラルウォーターやお茶、炭酸飲料、さらにはコーヒーまで、ペットボトル飲料には実に多様な種類と内容量が存在します。外出時にはもちろん、自宅での飲用シーンでも愛用される方が多いのではないでしょうか。しかし、この便利さの裏側には、私たちの生活や健康に対して悪影響を及ぼす可能性が潜んでいるという事実をご存知でしょうか。
手軽でリサイクル可能なペットボトルの背後には、一体どのようなリスクが存在しているのか、詳しく見ていきましょう。
ペットボトルはリサイクルの優等生?
日本におけるペットボトルの回収率は驚異的な93%に達しており、リサイクル率も85.8%という世界的に見てもトップクラスの数字を誇っています。ペットボトルは単一素材で作られているため、ボトルからボトルへのリサイクルが可能で、原料レベルまで戻して新たなペットボトルとして再利用できるシステムが確立されています。この再利用の仕組みを活用することで、新たにペットボトルを生産する際のCO2排出量を56~63%も削減することができるのです。
しかしながら、2019年度のボトルからボトルへのリサイクル比率はわずか12.5%にとどまっています。全国清涼飲料連合会は、2030年までにこの比率を50%に引き上げることを目指しているものの、85.8%というリサイクル率はすでに頭打ちの状態にあり、目標達成は容易ではないとされています。
その背景には、ペットボトルの包装フィルムやキャップがそのままであったり、飲み残しが残っていること、さらには自動販売機の近くに設置されているリサイクルボックスが誤ってごみ箱と認識されて、ペットボトル以外のゴミが捨てられてしまうという状況があるのです。このような状況が、ペットボトルが汚れてしまう要因となっています。ペットボトルのリサイクル率を向上させるためには、まずペットボトルを清潔な状態で回収することが非常に重要です。
リサイクルされないペットボトルの行方
ペットボトルは他の資源ごみと比べると高いリサイクル率を誇りますが、それでもなお約15%はリサイクルされずに廃棄されているという現実があります。この状況は、海洋プラスチック問題をさらに深刻化させています。
日本の各地で、河川敷などにペットボトルがポイ捨てされている光景は決して珍しくありません。また、走行中の車からポイ捨てされたペットボトルが道路脇に転がっていることもしばしば見かけます。これらのペットボトルは、豪雨などによって河川から流れ出し、最終的には海にたどり着いてしまうのです。
世界の海にはすでに1億5000万トンものプラスチックごみが存在し、毎年新たに800万トンのプラスチックが流れ込んでいると推定されています。このようにして海に流出した大量のごみは、海洋生態系に深刻な影響を与えています。今後もこの問題はますます深刻化していくことでしょう。
環境問題を解決するためには、リサイクル率の向上だけでなく、ペットボトルの使用量を減らすための取り組みが不可欠です。
ペットボトルは無駄遣い?
外出時に喉が渇いたとき、目の前にコンビニがあれば、つい飲み物を購入してしまうことがよくあります。その価格はおおよそ100円程度で、オリジナル商品であれば100円未満で手に入ることもあります。
もし毎日ペットボトル飲料を購入した場合、仮に1本100円だとすると、1か月で3000円、1年で36000円もの出費になってしまいます。一度の出費は少額でも、長期的に考えるとかなりの金額になるのです。
マイボトルにお茶やコーヒーを入れて持参すれば、マイボトルの購入費用はかかるものの、毎日ペットボトルを買うよりも経済的に抑えることができるでしょう。たとえば、麦茶のパックは1L用が50パック500円程度で手に入ります。この計算で見ると、500mlのペットボトルを100本購入できる計算になります。
コーヒーに関しても、インスタントであれば1杯あたり10円程度、ドリップ式であれば1杯20円程度で楽しむことができます。
マイボトルのメリット
マイボトルを使用する利点は、飲料費を削減できることに加え、優れた保温・保冷性能を持つため、飲み頃の温度を長時間維持できる点です。また、飲み終えた後は洗浄して繰り返し使用することができるため、環境保護にも大いに寄与します。
マイボトルのデメリット
一方で、マイボトルのデメリットとしては、見た目のサイズがペットボトルよりも少ないため、飲み終わった後のマイボトル自体の重さが気になることがあるかもしれません。しかし、「大容量」や「軽量」といった使いやすさを考慮したマイボトルも市販されています。
また、毎回洗浄する手間が面倒に感じる方もいるかもしれませんが、実際にはペットボトルを捨てる際には包装フィルムを剥がし、中身が汚れている場合は洗浄して綺麗にしなければならないため、手間は実質的には同様であると言えるでしょう。
ペットボトルで食中毒?
ペットボトル飲料を一度に飲み切れず、そのまま保存しておくことは一般的によくあることですが、ペットボトルに直接口をつけて飲むことで、口腔内に存在する細菌がボトル内に入り込む可能性があります。
口腔内には約500種類の細菌が存在しており、これらが口をつけて飲むことでペットボトル内に移行してしまったり、開封されたペットボトルの飲料が外気に触れることで空気中の微生物が入り込み、腐敗を引き起こす可能性があります。菌は25~35度の環境で最も増殖し、24時間後の麦茶の中では500倍にも増えることがあります。
食中毒の原因となる細菌数の目安は1gあたり100万以上とされていますので、飲みかけのペットボトル飲料を数時間後に飲むことによって食中毒になる可能性は低いものの、不衛生であることには変わりません。口をつけて飲む行為は、マイボトルでも同様です。ただし、保冷機能を備えたステンレス製のボトルであれば、菌の繁殖をある程度抑制することができるとされています。
最も安全な飲み方としては、コップに移し替えて飲むことが推奨され、残った分は冷蔵庫で保管するのが理想です。それでも、翌日には飲み切ることを心がけることが大切です。
なくすのではなく減らす努力を!
いかがでしたでしょうか?ペットボトルが私たちの生活や健康に悪影響を及ぼす可能性があることについて、少しでも理解していただけたのではないかと思います。
もちろん、手頃な価格で購入できるペットボトル飲料は美味しく、どこでも手軽に入手できる便利な存在です。特に、暑い日に冷たい炭酸飲料を楽しむのは最高のひとときであり、寒い日には温かい飲み物が心まで温めてくれる感覚は格別です。
ペットボトルとマイボトルを上手に使い分け、無駄なペットボトル飲料の購入や在庫を減らしていくことが、環境や健康、そして私たちの財布にも優しい生活を実現するための重要な鍵となるでしょう。
最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。
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