ディズニーアニメーションといえば、最近では『アナと雪の女王』のような3Dアニメーションが主なトレンドとなっており、多くの人々がそのような作品を思い浮かべることでしょう。
しかし、2000年代以前に青春を過ごした世代の方々にとっては、やはり2Dのセルアニメーションが持つ独特の魅力や懐かしさが心に響くのではないでしょうか。また、平成時代のディズニーアニメーションは、3Dアニメーションへの移行が始まる前のセルアニメーションの技術の集大成とも言える作品群が揃っているのです。
大人になった今、ディズニーの作品を再び観ることに少し躊躇いを感じている方々に特におすすめしたい、むしろ今こそ観るべき平成の長編ディズニーアニメーションを3つ厳選してご紹介します。
1.美女と野獣
この作品は、フランスの民話『美女と野獣』(J・L・ド・ボーモン夫人版)を原作としており、ゲーリー・トゥルースデイルとカーク・ワイズの2人の監督によって、1992年9月23日にアニメーション映画として公開されました。多くの方がご存知かもしれませんが、2017年には実写化もされており、いまだに非常に高い人気を誇るディズニーアニメーションの代表作の一つです。
物語は、主人公ベルが野獣の住む城に捕らえられるという典型的な悲劇から幕を開けます。しかし、ベルは野獣が実は呪いを受けた人間であることに気づき、恐れられている野獣との交流を始めるのです。このあらすじを読んで、「あれ?いつもと違うな」と感じた方もいるかもしれません。
そう、ベルは王子様に頼ることなく、自らの意志で行動を起こすのです。多くのディズニーアニメーションに登場するプリンセスたちは、悲劇の中心にいることが多く、問題を自ら解決しようとするヒロインはこの時代にはあまり見受けられませんでした。そのため、眠りの森の美女や白雪姫のように、素敵な王子様が助けに来る展開が一般的だったのです。
しかし、ベルはその聡明さと内面的な美しさによって、野獣の心を解きほぐし、愛に目覚めさせていきます。実写版を観たからもういいやと思っている方も、観ないことで後悔するかもしれません。魅力は、作画の素晴らしさや色使いの細部へのこだわり、声優陣の美しい声など、多岐にわたります。ディズニーのファンでなくとも、自信を持っておすすめできる作品の一つです。
2.ポカホンタス
この作品は、実在したインディアンの女性ポカホンタスの伝説や逸話を基にした物語です。監督はマイク・ガブリエルとエリック・ゴールドバーグが務め、ウォルト・ディズニー・フューチャーアニメーションが製作を行いました。本作は、ブエナ・ビスタ・ピクチャーズによってアメリカのいくつかの映画館で短編映画『A Close Shave』と共に上映されました。
物語の舞台は17世紀初頭のアメリカで、ポカホンタスの村の近くに、イギリスからの植民者たちが金や土地を求めてやってくることから物語が始まります。この物語の最大の見どころは、インディアンのポカホンタスとイギリス人のウィル・スミスとの異人種間の恋愛です。
言葉が通じなくとも、互いに理解し合える姿や、自然や風の囁きを共に感じる場面など、開拓前のアメリカの美しい自然景観がアニメーションで見事に表現されています。ただし、この作品にはインディアン側から見た事実と異なる点があるという批判も存在しますが、エンターテイメントとしては非常に魅力的で美しい作品です。
ノートルダムの鐘
この作品は、ヴィクトル・ユーゴーの名作『ノートルダムのせむし男(パリのノートルダム)』をアニメーションとして再現したものです。ゲイリー・トルースデールが監督を務め、1996年に公開されましたが、他のディズニーアニメーションとは異なり、子供に見せるにはやや重いテーマが扱われています。
物語は、15世紀のパリを舞台に、最高判事フロローが赤ん坊を抱えた女性を殺すところから始まります。その女性が抱いていた赤ん坊は非常に醜い容姿をしており、フロローはその子を井戸に捨てようとしますが、その罪を司祭に咎められ、育てることになります。その赤ん坊は「カジモト(できそこない)」と名付けられ、教会の鐘つきとして隠されるように育っていくのです。
心優しい青年へと成長したカジモトは、外の世界への憧れを抱くようになり、道化祭りで人々にいじめられているところをエスメラルダに助けられ、彼女に恋をするのです。この物語の見どころは、それぞれの視点によって異なるでしょう。
フロローの内面的な葛藤やカジモトの成長、エスメラルダの容姿だけではない美しさ、そして火災前の美しいノートルダム大聖堂の景観をアニメーションで楽しむことができる点など、多彩な魅力を持っています。音楽やストーリー、作画の面でも高い芸術性を兼ね備えており、目の肥えた大人たちでも感動を覚えることができる作品です。
まとめ
ここで紹介した作品の中には、まだ知らないものも多いかもしれません。ディズニー映画は多様なバリエーションを持ち、ここに挙げていない素晴らしい作品もたくさん存在します。大人になってから観ることで、また異なる視点から楽しむことができる作品も多いでしょう。
少し騙されたと思って、ぜひ再度見返してみるのも良いのではないでしょうか。
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