めんつゆは、単に麺類を食べる際の必需品としてだけではなく、多くの料理においてもその味を引き立てるために非常に役立つ調味料です。この一本を冷蔵庫に常備しておくことで、様々なレシピにスムーズに活用できるため、非常に便利な存在と言えます。
ただし、市販のめんつゆには、私たちが注意深く考慮すべき安全性に関わる原材料が含まれていることも事実です。
市販のめんつゆに含まれているもの
一般的に市販されている濃縮めんつゆの原材料名には、以下のような成分が記載されています。
| しょうゆ（小麦、大豆を含む）（国内製造）、果糖ぶどう糖液糖、食塩、砂糖、かつおぶし（粗砕、粉砕）、醸造酢、魚介エキス、たんぱく加水分解物、こんぶエキス、濃縮だし、酵母エキス ／アルコール、調味料（アミノ酸） |
食品表示法に基づき、原材料名の「／（スラッシュ）」の前の部分は原材料、後ろの部分は添加物として分類されています。一般的に見慣れない名称が並んでいる印象がありますが、スラッシュ以降にはわずか2つの成分しか記載されていないため、安全性に問題がないと考えがちです。しかし実際には、添加物として明示されていない成分の中にも、安全性に懸念が持たれる原材料が含まれている場合があるのです。
果糖ぶどう糖液糖
この成分は、でんぷんを加水分解することによって得られるブドウ糖と、一部のブドウ糖を果糖に「異性化」したものが組み合わさって形成される糖の一種です。その甘みは砂糖よりも強く、清涼飲料水など多くの加工品に幅広く利用されています。
果糖ぶどう糖液糖は、砂糖に比べて体内での吸収速度が非常に速く、結果として血糖値が急激に上昇するリスクが高まります。このため、糖尿病のリスクを増加させる可能性があるのです。また、砂糖に比べて中性脂肪として体内に蓄積されるスピードも速いため、体重が増加しやすいという特性もあります。確かに、清涼飲料水は頻繁に飲むことがあるかもしれませんが、めんつゆを大量に摂取することはあまりないものの、やはり過剰摂取には十分に注意が必要です。
魚介エキス、こんぶエキス
これらの成分は、魚介や昆布を煮てその成分を抽出し、さらに濃縮したものです。この製造過程において、保存料や化学調味料が使用されることがあるのですが、その量が微量であれば効果がないとされ、表示義務が免除されることもあります。
たんぱく加水分解物
この成分は、大豆、トウモロコシ、小麦などのタンパク質を酸や酵素によって加水分解し、旨味やコクを引き出すために用いられます。タンパク質の加水分解の過程で発がん性物質であるクロロプロパノールが生成される可能性が指摘されていますが、1日の摂取量に基づいて健康に悪影響を及ぼすことはないとされています。
もちろん、過剰摂取しなければ問題がないとはいえ、「発がん性の疑い」と聞くとどうしても不安を抱くことになってしまいます。
酵母エキス
こちらも旨味を加えるために使用される成分です。酵母という微生物から抽出された成分を濃縮して作られたエキスで、製造方法はたんぱく加水分解物と類似しています。稀にアレルギー反応を引き起こすことがあるとの報告も存在します。
以下は、添加物として含まれている成分です。
アルコール
日持ちを良くするために添加されており、腐敗を防ぐ役割を果たしています。製造過程でアルコール成分は揮発するため、最終的にアルコールを摂取する心配はないとされています。
調味料
こちらは旨味やコクを追加するために使用されます。昆布やかつおぶしなどに含まれる旨味成分を科学的に合成したり、抽出したものです。成分の種類によっては、
・アミノ酸
・核酸
・有機酸
・無機塩
の4つのグループに分類され、調味料の後ろにはかっこ書きでそのグループ名が表示されています。
アミノ酸に分類されるグルタミン酸ナトリウムは発がん性物質を生成するとされているものの、明確な1日の摂取許容量は設定されていません。
化学的なうま味に慣れてしまう恐ろしさ
ここまで、市販のめんつゆに含まれている成分について詳しく確認してきましたが、その中には魚介エキス、たんぱく加水分解物、こんぶエキス、酵母エキス、そして調味料といった、料理の味を一層引き立てるために加えられた成分が数多く存在することがわかります。
これらの成分は非常に強い旨味を持っており、美味しさを感じやすいため、ついつい食べ過ぎてしまうことが多くなります。もっと食べたいと感じる欲求に駆られ、癖になりやすいのです。
このような明確な旨味に慣れてしまうと、自然の食材が持つ繊細な旨味を感じ取ることが難しくなってしまいます。もし自然の旨味を「薄い」と感じるようになると、料理に塩や醤油、タレを追加したくなることが多くなり、結果として過剰な塩分や糖分を摂取してしまう危険性も生じるのです。
安全なめんつゆを選ぶポイント
めんつゆは、基本的に醤油、みりん、砂糖などから作られた「かえし」を鰹節などから取った「だし」で割って作られます。
安全なめんつゆを選ぶ際には、原材料に余分な成分が含まれていないこと、さらにはシンプルで自然な材料で作られていることが重要なポイントです。
商品名に「化学調味料無添加」と記載されていても、前述の通り、果糖ぶどう糖液糖やたんぱく加水分解物など、添加物に分類されない成分が含まれていることがありますので、原材料名をしっかりと確認することが非常に重要です。
原材料がシンプルで、安心して使用できるおすすめのめんつゆを2つご紹介します。
無添加めんつゆ・五代目 本田商店有機めんつゆ
このめんつゆは、砂糖や着色料、合成調味料を一切使用しておらず、砂糖を使わなくても自然な甘さをしっかりと感じることができるそうです。
ポチップ佐々長醸造 老舗の味 つゆ
このめんつゆは、復興庁が選定した「世界にも通用する究極のお土産10選」にも選ばれた逸品であり、贈り物としても非常に適した選択肢となっています。
ポチップ手作りもできる
実は、めんつゆは家庭で簡単に手作りすることが可能なのです！基本的な作り方をご紹介しますので、ぜひ挑戦してみてください。必要な材料は以下の通りです。
用意するもの
・水 500ml
・だしパック 1つ
・醤油 50cc
・みりん 50cc
この材料を見てみると、最初に紹介した市販のめんつゆに含まれている成分の多さに驚かされるかもしれませんが、本来、これらの材料だけでめんつゆは作成可能です。
昆布やかつおぶしを使ってだしを取ることも可能ですが、だしパックを利用すれば工程が簡素化され、手間も省けます。ただし、だしパックにも塩分や化学調味料が含まれている場合があるため、選ぶ際にはその表示を確認することが大切です。
つくりかた
1. 水にだしパックを入れ、火を入れます。
2. 沸騰したら5分ほど煮出し、火を止めてからだしパックを取り出します。
3. 醤油とみりんを加え、再度1分ほど煮たら完成です。
この自家製めんつゆは冷蔵庫で3～4日程度保存可能ですが、市販のめんつゆと比べると鮮度の観点から少し短めですので、毎回作るのは手間に感じるかもしれません。
それでも、シンプルな材料で手作りしためんつゆは格別の美味しさを誇ります。この味に慣れてしまうと、もう市販のめんつゆには戻れなくなってしまうかもしれません。
まとめ
市販のめんつゆは非常に便利で美味しいですが、その手軽さや美味しさ、さらには安価であることにはそれなりの理由が存在しています。本来、めんつゆはシンプルな材料で作ることができ、化学調味料の強い旨味に慣れ過ぎないようにするためにも、たまには手作りを試みて「素材本来の旨味」を忘れないようにしたいですね。
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