買っても使えない?買ってはいけないカセット式ガスストーブ


「カセット式ガスストーブ」は、屋内での使用に限らず、アウトドアでの活動や災害時の備えとしても非常に注目を集めています。

私自身もこのストーブの利点を実感しており、煩わしい給油作業が不要で、不快な匂いも発生しないため、コンセントも必要ないという点が特に魅力的です。さらに、何よりも軽量で持ち運びが容易なため、非常に便利に活用しています。

最近では、石油ストーブと同等の暖房能力を持つモデルや、ファンヒータータイプなど、選択肢が豊富に増えてきています。

今回は、使用状況の変化に伴って買い替えを検討する際に、コストパフォーマンスや使用可能時間について調査を行っていく中で、いくつかの重要なことに気づきました。

それは、一般的に言われているように便利だと思われる使える場所が実際には限られていたり、安全装置が不十分なモデルも存在するということです。

そこで今回は、そんな購入を避けるべき「カセット式ガスストーブ」に関して、詳しくお話ししていきたいと思います。

「カセットコンロ」と同じ「カセットボンベ」で使える「ガスストーブ」

「カセット式ガスストーブ」は一般的に「ポータブルガスストーブ」とも称され、多くの人々に利用されている暖房器具の一つです。

その名称が示す通り、「カセットコンロ」と同様に、携帯性に優れていて保存も容易な「カセットボンベ」を使用して暖房を行います。

カセット式のガス器具は、厳格な検査基準が設けられており、検査をクリアした製品は非常に安心して使用することができるのが特徴です。

「カセット式ガスストーブ」のメリット・デメリット

仕様によって多少の違いはありますが、以下のようなメリットやデメリットが存在します。

メリット 《 持ち運びに非常に優れています 》

簡単に手に入る燃料「カセットボンベ」

主要なメーカーが提供する「カセットボンベ」は、100円ショップやスーパーマーケット、コンビニエンスストア、さらにはホームセンターなど、さまざまな場所で手軽に入手することができます。

石油式ストーブのように、ポリタンクを使用して灯油を給油する際に、灯油をこぼしてしまったり手が汚れる心配もありません。

予備のボンベさえ用意しておけば、ボンベを交換するだけで燃料の補充が容易に行えます。

燃料や消火時のニオイが発生しない

使用する燃料はブタンガスであり、石油式ストーブとは異なり、燃料そのものや消火時に不快な匂いが発生することはありません。

使用場所を選ばない 小型で軽量で電源不要

電源コードやホースが不要で、「届く範囲」という制約がなく、また本体と燃料ボンベは小型軽量なので、移動も簡単で場所を選ぶことがありません。

賃貸物件に多い灯油禁止でも使用可能

賃貸マンションやアパートなどでよく見受けられる灯油禁止の物件でも安心して使用できるのが大きな利点です。

デメリット 《 コンパクトなため、暖房能力に限界がある 》

電気式・石油式に比べると暖房能力が劣る

カセットボンベから供給されるガスを燃料として使用しているため、その容量には限界があり、電気式や石油式に比べて暖房能力が劣ることが一般的です。

部屋全体を暖めるのではなく、足元や特定のエリアを暖めるのに適しており、使用時間が制限されるため、面積の小さいトイレや洗面所などの場所に向いています。

長時間の使用には不向き

電気式や都市・LPガス式は常にライフラインに接続されているため、災害時以外は燃料切れの心配がありません。

石油式ストーブは、タンクが大容量化されているため、給油の手間を減らすことができるのです。

しかし、カセットボンベは容量が小さく、1本のカセットボンベではおよそ2~3時間程度しか使用できないため、長時間の使用を考えると、他の方式に比べてカセットボンベの交換が必要になる回数が多くなり、これがデメリットとされます。

低温に弱いカセットボンベ

カセットボンベに含まれる「ブタンガス」は、気温が5度を下回るとほとんどガスが発生(気化)しなくなり、実質的に燃料切れの状態に近くなります。

冬の寒い時期にこそ使用したいのに、温度が低すぎると使用できないのはメイン暖房としては「使用に問題あり」と言わざるを得ません。

ランニングコストは、コストパフォーマンスが低い

カセットボンベの販売価格は、幅にばらつきがありますが、3本セットで約400円程度で購入することが可能です。

1本あたり約3時間使用できると考えると、単純計算で1時間あたり約44円ほどのコストがかかります。

1日8時間使用した場合、352円/日、月に換算すると10,560円となり、基本料金が発生する他の電気やガスに比べて高額</spanであることが明らかです。

メリットとデメリットの両方を持つ「加湿効果」

カセットボンベに使用されるブタンガスは、燃焼過程で化学反応を起こし、「水分」を発生させます。

冬季における悩みの一つである「部屋の乾燥」ですが、カセット式ガスストーブを使用することで「加湿効果」によってある程度解消することが可能です。

ただし、「高気密・高断熱住宅」では、石油式を含む燃焼機器が結露の原因となり、また換気の必要性が出てくるため、逆にデメリットとなることもあります。

どの暖房機器にもそれぞれのメリットとデメリットが存在し、それらをうまく組み合わせることで最大限の効果を引き出すことが重要だと思います。

必要なのは、「PSLPGマーク」と安全装置と換気

日本では、ガス器具の安全性に関して非常に厳しい基準が設けられている国です。

液石法と呼ばれる法律に基づき、日本国内でのカセット式ガス器具の販売には、登録された検査機関による適合性検査をクリアする必要があります。

その検査に合格した製品には「PSLPGマーク」が表示されます。以前は屋外用のカセット式ガスストーブは検査の対象外でしたが、

2020年6月以降は、安全性の観点から「PSLPGマーク」がない製品は販売できなくなっています。

ただし、このマークは検査をクリアした証であり、安全装置が備わっているかどうかを示すものではないため、購入の際には十分に注意が必要です。

あなたを守る、4つの安全装置

転倒時消化装置  本体が倒れた場合や強い衝撃を受けた際に、自動で消火が行われる装置です。

立消え安全装置  火が消えた際に自動でガスを停止する装置です。

不完全燃焼防止装置  不完全燃焼が発生した場合に自動でガスを停止する装置です。

これらの3つの装置は室内用には必須の安全装置とされています。

さらに、熱によってボンベの圧力が異常に上昇した際にガスを停止する「圧力感知安全装置」が備わっていれば、より安全性が高まります。

何か異常が発生した際に、使用者が気付かない内にガスを停止してくれる安全装置は非常に重要です。

屋外用については、安全装置の設置に関する法規制がないため、装置が備わっていないものも多く、自分自身でしっかりと確認する必要があります。

換気の重要性

窓やドアを閉め切った状態の部屋や、屋外でもテントを密閉した状態で「カセット式ガスストーブ」を使用すると非常に危険です。

酸欠状態になるだけでなく、不完全燃焼が起きた場合には一酸化炭素が発生し、大きな事故につながる危険性があります。

不完全燃焼は、燃焼器具であればガスでも石油でも起こり得るため、常に換気には十分注意を払うべきです。

とはいえ、一酸化炭素は無味無臭で気付きにくいため、「一酸化炭素警報器」を設置することが非常に効果的です。

まとめ

「ガスコンロ」から派生した「カセットコンロ」は、連続使用時間が短く、火力も弱いものの、ガスホースから解放された利便性があります。

同様に、ガスストーブも暖房能力や使用時間において劣る部分があるものの、その利便性は非常に高いといえます。

そのため、さまざまなメリットやデメリットをしっかりと理解し、効率的に利用することが大変重要だと考えます。

ここでは、購入を避けるべき「カセット式ガスストーブ」をまとめました。

1. 「PSLPGマーク」が表示されていない製品
2. 安全装置がない、あるいは少ない製品
3. 屋外専用のタイプ(室内で使用したい場合)
4. 小型で反射板が前方を温めるタイプ(部屋全体を暖めたい場合)

私自身は買い替えの際には、以前と同じタイプの「4つの安全装置」が備わったイワタニ製「マイ暖」を選びました。

屋外用のストーブはデザインも豊富でスタイリッシュなものが多いですが、法律を遵守しつつ安全性を重視することを心がけました。

最後までお読みいただき、心から感謝申し上げます。

カセット式ガスストーブは非常に便利ではありますが、同時に危険を伴うこともあるため、安全性にも十分に配慮して選択してください。

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