大学生にとって、就職活動は社会人としての最初の一歩を踏み出すための非常に重要なプロセスです。この時期にうまくいかないと、焦りや不安が高まり、内定がなかなか得られない場合は、自分自身の価値が否定されているかのように感じることもあるでしょう。
そのような状況下で、「この教材を買えば、あなたも憧れている大企業に必ず就職できる」といった甘美な言葉を耳にしたら、あなたはどのように感じるでしょうか。このような就活生向けの教材は、本当に購入する価値があるのでしょうか、それとも避けた方が良いのでしょうか。
無料セミナーでの集客手法
このような教材は、就活生向けの無料セミナーでしばしば紹介されることが多いです。セミナーでは、就職に失敗した場合の人生の不安定さを強調するような動画が流され、参加した大学生の不安を煽る手法が巧妙に用いられます。セミナーが終了した後には、個別面談に誘導され、参加者は一人ひとり別の部屋に連れられ、「自己流の就活対策では、理想の企業に就職することは非常に難しい」といった言葉で脅かされ、就職活動に役立つとされるビジネス教材を購入するように促されます。
これらの教材は、多くの場合、数十万円という高額な価格で提供されます。そのため、簡単に手を出せる金額ではありませんが、「そんな優柔不断では就職は難しい」「企業が求めるのは決断力や行動力であり、借金をしてでもこの教材を買う覚悟が必要だ」といった言葉で、強引に購入を迫られることがしばしばあります。「親に相談したい」と言おうものなら、「そんな独立心のない学生は企業に採用されることはない」といった脅し文句が返ってくることも少なくありません。
結果として、断りきれずに購入してしまった教材は、実際には安価で市販されているハウツー本と大差ない内容であり、高額な価格に見合う価値があるとは到底思えないのです。
このように、就活生向けの教材は、学生が抱える不安を巧みに利用して販売されるインチキなものがほとんどであり、高額なものであればあるほど、購入は避けるべきだと言えるでしょう。
就活塾への入塾を勧められることも
教材だけではなく、就活塾への入塾を勧められることもあります。その手口は教材の場合と非常に似ており、セミナー後に個別面談へ誘導され、高額な入塾料や受講料を支払うよう急かされることが多いです。
その塾で教えられる内容は、一般的なビジネスマナーや、塾生同士によるエントリーシートの添削といったものであり、教材と同様に高額な費用に見合うものではありません。このようなインチキな就活塾には、決して入るべきではありません。
アンケートを装った個人情報の取得
就活生向けの無料セミナーは、大学の就職相談会や企業の会社説明会の際に、会場の近くで「就職活動に関する意識調査」として、電話番号やメールアドレスなどの個人情報を聞き出すことが頻繁にあります。そして、こうした情報をもとに勧誘が行われる場合もあります。
このようなアンケートや調査には、うかつに個人情報を記入しないよう、十分な注意が必要です。もし連絡先を教えてしまった場合、その後セミナーの案内が来ても、軽い気持ちで参加することは避けるべきです。参加前には、その事業者が信頼できるかどうかをしっかりと確認することが非常に重要です。そもそも、こうした手法で接触を試みる時点で、いかがわしい事業者である可能性が高いと言えます。
就職相談が投資セミナーの勧誘に変わる事例
時には、「就職時に金融の知識があると役立つ」「就職後も給料だけでは贅沢はできないので、学生のうちから投資を始めると良い」といったトークが展開され、就職に関する相談がいつの間にか投資セミナーへの誘いに変わってしまうこともあります。
こうした勧誘は、サークルやアルバイト先の先輩、あるいは就活生用の交流サイトなどを通じて行われることが多いです。就活に関する悩みを聞いてほしい、良いアドバイスが欲しいという依存心を巧みに利用して、投資セミナーへの参加を持ちかけられます。
そして、参加を断りきれずに投資セミナーに行くことになれば、「実際の投資運用を始める前に正式な入会が必要」と言われ、数十万円もする入会費や受講料を支払うよう強要されることがほとんどです。このような投資セミナーがまともな内容でないことは明白であり、適切な資産運用が学べるわけでもありません。ましてや、就活にも何の役にも立たないのです。
このように、就活相談を装ってターゲットに声をかける学生は、投資セミナーの運営側から「営業の社会勉強」として、参加者を一人確保するごとに報酬が支払われるため、大した罪の意識を持たずに集客に協力していることもあります。
増加する就活関連の詐欺
国民生活センターなどに寄せられる、就職活動に関連した商法に関する相談件数は年々増加の一途を辿っています。就職活動は通常、約1年間の期間で終了するため、詐欺商法を行う業者にとっては、毎年新たなターゲットが生まれることになります。このため、被害が減少することはありません。就活生を子どもに持つ親などは、特に注意が必要です。
まとめ
この記事では、高額な就活生向けの教材について、その内容が価格に見合わないため、絶対に購入してはいけないことをお伝えしました。また、就活生を狙った詐欺的な商法がさまざまに存在するため、十分に注意を怠らないようにしましょう。
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