買ってはいけない?!高齢者サポートサービス

「施設への入所や入院の際に保証人が必要だと聞いたが、頼りにできる人が見当たらない・・」
「自分が亡くなった後に、葬儀や遺品整理を手伝ってくれる人が周りにいない・・」
「年齢を重ねるにつれて体が衰え、日常生活において少しのサポートが必要になりつつある・・」

このような悩みを抱える高齢者が増えているのは、高齢化社会の進展に伴う非常に顕著な現象だと言えるでしょう。

かつては、異なる世代が一緒に生活を共にし、家族の中でこうしたニーズが自然に満たされていました。しかし、最近では子どもたちが独立して別居したり、そもそも子供を持たない選択をする人が増えたりしており、緊急時に頼れる身近な人がいない状況が増加しています。

そこで注目を集めているのが「高齢者サポートサービス」という新たな業態です。このサービスは、高齢者に対して身元保証や死後の事務手続き、日常生活の支援などを提供するものであり、最近特にその需要が高まっており、業界全体が拡大を続けています。

では、この「高齢者サポートサービス」は実際に利用すべきものなのでしょうか、それとも避けるべきなのでしょうか?

高齢者サポートサービスを巡るトラブル事例

国民生活センターや消費者庁は、高齢者サポートサービスに関する相談事例を通じて、多くの注意喚起を行っています。特に代表的なトラブルケースは以下のようなものです。

(1)料金が高額

サービスを受けるために必要な費用は、業者や申し込んだサービスの内容によって異なりますが、一般的には契約金として数十万円、月会費は数千円から1万円程度、または都度の出張依頼に対して数千円という価格設定が見受けられます。

特に、保証人を引き受けるサービスの場合、高額な預託金が求められることが多く、家族にお願いする感覚で考えていると驚くことになるかもしれません。

また、日常生活の支援を受けるサービスにおいても、依頼内容に応じて追加料金が発生することがあるため注意が必要です。例えば、土日や夜間のサービスでは、1時間あたり6,000円以上の料金が設定されていることもあるため、公的な介護サービスと同じ感覚で考えていると、思わぬ高額請求に驚かされることもあるでしょう。

(2)サービス内容が理解できない

多くの事業者は詐取を目的としているわけではなく、料金を事前に明示するなどの配慮をしていますが、契約者が高齢者であるために理解力が低下してしまっていることがあり、サービス内容を十分に把握しないまま契約を結んでしまうことがあります。その結果、「料金が高い」と感じたり、「だまされているのではないか」と疑念を抱くトラブルが発生しやすくなります。

また、必要のないサービスまで契約してしまったり、逆に必要なサービスが契約内容から漏れてしまったりすることもあります。

高齢者の方々は、契約時には理解したつもりでも実際には理解できていなかったり、すぐに内容を忘れてしまったりすることが多いため、十分な注意が求められます。そういった中で、契約内容をよく理解できないまま急かすような業者は、利用を避ける方が賢明です。

(3)契約したはずのサービスが提供されない

契約時に約束した定期的な安否確認が行われなかったり、病院への送迎が多忙を理由に断られたりする事例も実際に報告されています。

さらに、事業者が倒産してしまうことで、サービスを受けられなくなる事例も実際に起こっています。契約内容をしっかり確認することはもちろん、信頼できるサービス提供者であるかどうかを事前に調査しておくことも非常に重要です。

(4)解約した際の返金がない・少ない

提供されたサービスに満足できなかったり、月々の利用料金が支払えなくなったりする理由で契約を解約することもあります。その際、返金が予想よりも少なかったり、返金はできないと言われたり、返金するとのことなのに実際には放置されたりといったトラブルも発生しています。

中途で契約を解約した場合の取り扱いについては、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

契約する前に相談した方がよい

金融商品などでは、高齢者が契約する際に家族の同席が求められることが多いですが、高齢者サポートサービスを利用しようとする方の中には、同席できる家族がいないというケースがほとんどです。

そのような場合には、地域の「地域包括支援センター」や「消費生活センター」に相談することをお勧めします。これらの機関では、相談者の状況を詳しくヒアリングした上で、以下のようなポイントを確認してくれるでしょう。
・相談者が求めているサポートの内容(不要なサービスや漏れているサービスがないか)
・利用料金の支払いに関する問題(支払い能力に対して適正な価格であるか)
・検討しているサービス提供事業者に関する問題(過去にトラブルが多かった業者ではないか)
・解約時の取り扱いについて(返金に関する規定があるかどうか)

こうした観点から何かしらの問題が見つかれば、的確に指摘してくれるはずです。

そして、契約内容を理解し納得した上で、支払いに無理がない料金であれば、そのサービスを利用することは十分に良い選択肢となるでしょう。

契約したことを身内へ伝えた方がよい

トラブルの原因となることは少ないですが、亡くなった後に高齢者サポートサービスを契約していたことが発覚するケースも存在します。

身内に負担をかけたくないという思いから、高齢者サポートサービスを検討する方が多いでしょうが、その結果として契約を内緒にしようとすることもあります。

しかし、そうなると突然の事故や不測の事態が起こった際に、せっかくの備えが無駄になってしまう可能性があります。サポートを受けていることを周囲の人々が知ることで、むしろ安心感が増すものです。高齢者サポートサービスを契約した場合は、ぜひそのことを周りの人に伝えるようにしましょう。

まとめ

本記事は以上で終了します。料金やサービス内容に関するトラブルが多い高齢者サポートサービスですが、事前に事業者の品質や契約内容、料金に問題がないと確認できた場合には、利用することが推奨されると言えるでしょう。

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