副業を始めた方や最近起業した方の中には、「帳簿付けって一体どうやって実施すればいいのか」と悩んでいる方も多いかもしれません。そのような状況で、「初心者には会計ソフトを使うことをお勧めするよ」とアドバイスを受け、実際にソフトを探し始めた方も少なくないでしょう。しかし、選択をする前に確認しておくべき重要なポイントがいくつか存在します。
会計ソフトを購入する前に確認すべきこと
会計ソフトを使えば、すぐに帳簿の記入ができると考える方もいらっしゃるかもしれませんが、その前に少し立ち止まって考えてみましょう。ソフトを購入する前に確認しておくべき大切なポイントがいくつかあります。
帳簿の付け方を理解していますか？
まず最初に、帳簿の書き方やその基本的なルールについてしっかりとした知識をお持ちでしょうか。借方や貸方、さらには勘定科目の選び方が理解できていない場合は、簿記に関する入門書を手元に用意することが必要かもしれません。会計ソフトをフル活用するためには、事業を始める際の現金や資産の開始残高を入力する必要があり、一定の基礎知識が求められます。
もし経理業務が複雑に感じる場合には、会計事務所と契約して、帳簿の付け方から確定申告までを委託するという選択肢も考えられます。ただし、この方法には毎月の顧問料や申告書の作成にかかる費用が発生するため、収入が少ない場合には経済的な負担が大きくなる可能性があります。
簿記初心者に配慮された会計ソフトも存在
手書きの帳簿に慣れている方であれば、振替伝票を使って帳簿を記入するタイプの会計ソフトにとてもスムーズに対応できるでしょう。しかし、簿記の初心者の場合、操作が難しく感じることもあるかもしれません。
そこで、現在では、簿記初心者でも簡単に帳簿付けができるように工夫された会計ソフトも存在します。これらのソフトでは、対話形式でかかった費用や現金・預金の増減理由を選択することで、勘定科目のリストから選び、帳簿に入力できる仕組みが整っています。振替伝票を使ったシンプルな入力が可能なものや、お小遣い帳のような形式で現金出納帳や預金出納帳への記入ができるタイプもあります。
副業の場合は表計算ソフトも選択肢に
普段は会社で給与を得ている方で、副業から得る収入が少ない場合には、必ずしも会計ソフトを使用する必要はないかもしれません。白色申告を行う際には、所得金額をきちんと整理しておけば、簡易帳簿で十分な場合があります。
簡易帳簿は、現金や預金の入出金を日付ごとに記録する形でも問題ありません。会計ソフトを使用しなくても、日付を付けた表計算ソフトで一覧表を作成することが可能です。
クラウド型とインストール型の違い
会計ソフトは、主にクラウド型とインストール型の二つのタイプに分けられます。
- クラウド型…インターネットを通じて操作できる会計ソフトで、特定のブラウザやインターネット環境が必要です。
- インストール型…従来からあるタイプで、パソコンにソフトをインストールして使用する必要があり、使用するOSや機種に制限がある場合があります。
初心者にクラウド型が推奨される理由
無料試用期間を利用できるメリット
インストール型の会計ソフトは一度購入すると一括払いのため、事前に試用する機会が非常に限られることがあります。それに対して、クラウド型はインターネット上で利用できるため、無料試用期間中に実際の操作を試してみることが可能です。
自分自身で使いこなせる自信が持てるようになったら、本契約を結び、クレジットカードや銀行振込で使用料を支払うのが理想的です。
Windows、Macに関わらず使える利便性
クラウド型の会計ソフトはインターネット上に存在するため、サービスサイトにパスワードを入力することで簡単にアクセスが可能です。
インストール型の場合、Windows専用であることが多く、ある程度高性能なパソコンが必要です。しかし、クラウド型は指定されたブラウザとそのバージョンを守ることで、パソコンの機種に依存せずに利用できるのが大きな利点です。新たにパソコンを購入する必要がないため、コスト面でも非常に優れた選択肢となります。
銀行やクレジットカードの仕訳を自動化
仕事で使用しているネット銀行やクレジットカード、電子マネーなどのサービスがクラウド型の会計ソフトと連携している場合は非常に便利です。連携が可能であれば、インターネットを通じてデータを自動的に取り込み、取引データを使って仕訳を自動化することができます。
初心者にとって仕訳は難しい作業ですが、細かな取引を自動で行えることで、本業により集中しやすくなります。
法令や税制の変更にも柔軟に対応
税金に関する法律や制度は年度ごとに変更されることが多く、インストール型の場合は、変更が生じるたびにその都度ソフトを更新する必要があります。
一方、クラウド型ではシステムが自動的に修正を行い、提供されるため、ユーザー側で手続きを行う必要が一切ありません。
インストール型が推奨されるケース
周囲の人が使用している場合
もし周囲の人たちが会計ソフトを使っていて、特にインストール型を推奨しているのであれば、それを選ぶのも良い選択肢かもしれません。質問があればすぐに訊ねることができるため、サポートが受けやすいという利点があります。また、どのような点が優れているかを実際に確認できる点も大きなメリットです。
地元の商工会議所などで、インストール型のパソコン会計に関する講座が開かれている場合もあります。受講後にはその講座に合わせた会計ソフトの購入を勧められることが多いため、その選択肢を考えてみるのも良いでしょう。
顧問先の会計事務所からの指定があった場合
顧問先の会計事務所が経営者に対してパソコンを用いた帳簿記入を推奨している場合、特定の会計ソフトを指定されることもあります。その場合、月次決算から申告書類の作成まで、同じソフトを使うことでデータの取り込みが容易になり、エラーが起こる可能性が低くなります。
さらに、パソコンでの操作方法や帳簿の付け方に関する詳細な指導を受けられることも大きな利点です。
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