買ってはいけない!0円物件って本当にタダ?

現在、日本国内では放置された空き家が増加し、これが深刻な社会問題として認識されています。この状況を背景に、インターネット上では「0円物件」として知られる、無料で手に入る物件を扱うサイトが次々と登場してきています。

賃貸住宅に住む場合、毎月数万円の家賃が必要になるため、住まいを無料で得られるというのは、多くの人々にとってまるで夢のように思えることでしょう。このような話は非常に魅力的で、多くの人が関心を抱くのも無理はありません。

しかし、少々待ってください。0円である理由には、必ず何らかの事情があるのです。

どうして0円なの?

総務省のデータによると、日本の65歳以上の人口は全体の28.9%に達しており、高齢化が進行しています。

ここで、いくつかの具体例を挙げてみましょう。

例えば、高齢の夫婦が長年住み続けていた家において、二人が入院したり、あるいは不幸にも亡くなった場合、その住宅は通常、子供に引き継がれることが一般的です。

しかし、もしその子供がすでに独立して自分の家を持っている場合、両親が住んでいた家は必然的に不要になることが多いのです。

そのため、家を相続した子供は、親の家を貸し出したり、売却を考えることになるでしょう。

ところが、もしその家が交通の便が悪い場所に位置していたり、古くて価値がない場合、売却は非常に難しくなります。それにもかかわらず、固定資産税は毎年支払わなければならないのです。

さらに、誰も住まない住宅は劣化が早く、放置すればするほど、修繕にかかる費用は増えていきます。

このような事情から、「タダでもいいから、誰かに引き取ってほしい」という状況に陥ることが多いのです。

家を売却したり、貸し出したりする場合には、まずその家の中のすべてを整理し、片付ける必要があります。

一軒分の整理整頓は、特に両親が長年住んでいた家の場合、非常に大変で時間がかかる作業であることは間違いありません。

0円物件の取得にかかる費用

贈与税

物件を贈与される方、つまり0円物件を手に入れる人には、国に対して支払うべき税金が発生します。この税金は物件を取得した際にのみ支払う必要があります。

不動産取得税

土地や建物を取得した際に、その取得者が国に支払わなければならない税金です。この税金もまた、物件を取得した時点で支払う必要があります。

固定資産税・都市計画税

資産を保有することに伴い、毎年発生する税金です。この税金は、物件を所有している限り、毎年支払い続けなければなりません。

その他

登記などの手続きを不動産業者や司法書士に依頼する場合、その際には当然ながら手数料が発生します。

ゴミ処理代

先に述べたように、0円物件は片付けを行う人がいないまま放置されることが多く、そのため生活用品がそのまま残されているケースがほとんどです。

他人が使用していた生活用品は、多くの場合ゴミと化してしまいますが、ゴミの処理が無料でできる時代は、とうの昔に過ぎ去りました。

家一軒分のゴミを遺品整理業者に依頼する場合、最低でも10万円前後、場合によっては50万円以上の費用がかかってしまうこともあります。

リフォーム代

ほとんどの0円物件は、リフォームや修繕が必要であることを前提に提供されています。

家の構造がしっかりしている場合には、外壁や屋根、内装の修繕で済むかもしれませんが、シロアリの被害で柱が傷んでいたり、雨漏りによって柱や壁が腐ってしまう可能性も考えられます。

さらに、水回りは特に劣化しやすく、その修繕にも多くの費用がかかります。

修繕が必要なのは住宅だけではなく、その他の施設についても考慮する必要があります。

駐車場の必要台数は確保できているのか?

塀や階段が安全に使用できる状態かどうか?

庭の石や木を撤去する必要があるのか?

など、考慮すべき点は多岐にわたります。

特に地方では、車が生活必需品となることが一般的です。子供が成人すれば車を所有するようになるでしょうし、結婚して家族が増えれば、さらなる駐車場の増設が必要になることもあります。そのためのスペースはしっかりと確保されていますか?

まとめ

上記に挙げた費用を考慮に入れた場合、これらの支出を終えた後に初めて住み始めることができるのです。

引越しにかかる費用をあわせて考えると、数百万円が簡単になくなってしまうため、果たしてお得な買い物とは言い難いのが現実です。

それでもやっぱりほしい!

それでもなお、この物件を手に入れたいと考える方には、以下の点も十分に考慮していただくことをお勧めします。

土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域に該当しないか?

国土交通省では、国民の生命を守るために、住むことが危険である区域を指定しています。

例えば、急傾斜地の崩壊や土石流のリスクが考えられる地域です。物件を購入する前には、この点を必ず確認しておくことが重要です。

ご近所付き合いの程度

都市部と地方では、ごみの処理方法から町内の集まりに至るまで、ご近所との関係性が大きく異なることがあります。

中には、村八分と呼ばれる現象が未だに存在する地域もあるため、注意が必要です。

移住支援金

多くの自治体では、移住を希望する人に対して支援金を提供する制度を設けています。「私たちの市に移住してくれたら支援金を出しますよ」といった内容の制度です。

主に、過疎化に悩む自治体が、農業や林業の後継者不足を解決するためにこのような制度を設けています。

自治体によって条件や応募資格が異なりますので、興味のある自治体があればぜひ情報を確認してみると良いでしょう。

起業支援金

移住支援金と合わせて検討したいのが「起業支援金」です。これは、「私たちの市で起業してくれたら支援金を出しますよ」といった制度です。

こちらも、条件や応募資格が設定されていますので、移住支援金と共に確認しておくことが重要です。

空き家バンク

0円というわけにはいきませんが、手頃な価格の中古物件が数多く存在します。

結局のところ、ゴミ処理やリフォームにかかる費用を考慮すると、業者が手掛けたリフォーム済みの中古物件を購入した方が、結果的にお得かもしれません。この点についてもぜひ検討してみる必要があるでしょう。

最後に

さまざまな費用や手間がかかるとはいえ、家そのものが無料で手に入るというのは、確かに非常に魅力的な選択肢だと言えます。

住宅は長い付き合いになるものですから、慎重に考え、しっかりとした決断を下したいものです。

「0円」という言葉に惑わされることなく、自分自身と家族の幸せのために何が本当に必要なのかをしっかりと話し合い、後悔のない選択を行ってください。

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