世の中全体でエコへの意識が高まりつつある今、クリーンエネルギーが大きな注目を集めています。その中でも特に、家庭に設置可能な太陽光発電システムは、一戸建てのオーナーならば一度は導入を真剣に考えたことがあるのではないでしょうか。
太陽光発電システムを導入する価値はあるのか、それとも避けた方が良いのか、様々な視点から検討する必要があります。
訪問販売によるトラブルが増えている
太陽光発電システムに関しては、信頼性について疑問を抱く方が少なからず存在するかもしれません。この背景には、「太陽光発電システムの訪問販売でトラブルが発生した」という事例が多く聞かれることが影響しています。トラブルには以下のようなパターンが見受けられます。
(1)相場より高い価格で買わされた
特に、「今なら特別価格で設置します」「この地域限定の特別割引です」といったキャッチフレーズで訪問してくる場合、実際には市場価格よりも高額になっていることが多いので、十分な注意を払うことが求められます。
(2)必ず儲かると言われたが、実際には儲からない
太陽光発電によって生成された電力は、売電という形で電力会社に買い取ってもらえる仕組みですが、業者によっては「売電を行えば必ず利益が得られて、設置費用はすぐに回収できる」といった営業トークをすることがあります。しかし、実際には必ずしも十分な発電量が得られなかったり、発電システムのメンテナンスに予想以上のコストがかかることもあるため、軽々しく「必ず儲かる」とは言い切れないのが現実です。
(3)設置工事がずさんだった
太陽光パネルが十分に日射を受けるためには、適切な設置工事が不可欠です。しかし、悪質な業者による工事では、屋根を損傷させたり、不適切な設置方法により十分な日照が得られなかったり、さらには太陽光パネルの反射光で近隣に迷惑をかけるような事態が発生することもあります。後にこれらの問題を修復しようとすれば、追加的な費用が発生し、結果的に設置しなかった方が良かったという状況になる恐れもあります。
誠実な訪問販売業者も存在するかもしれませんが、それを見分けるのは非常に困難なため、飛び込みで訪問してきた販売業者からは、太陽光発電システムを購入することは控えた方が賢明です。
購入を検討する際には、太陽光発電システムを製造している信頼できるメーカーに直接問い合わせて、信頼できる設置業者を紹介してもらうことが良いアプローチです。
実際に導入してメリットはあるのか?
では、信頼できる業者に設置してもらえるのであれば、太陽光発電システムを導入することに実際にメリットがあるのかという疑問が浮かび上がります。
残念ながら、これは「ケースバイケース」としか言いようがなく、設置状況により異なりますが、一般的には売電による収益で設置コストを回収するまでに約10年程度かかると言われています。予想以上に発電力が高く、もっと早く元を取れる場合もありますが、その期間中に台風などの自然災害による故障や修理が発生し、追加的な費用がかかる可能性も考えられます。また、数年ごとに専門業者による点検も必要となるため、維持管理の手間も考慮すべきです。
このように、一定の時間が経過しないと収益のメリットやデメリットを正確に評価することができないため、太陽光発電システムの購入に対して賛否が分かれる理由の一つとなっています。
設置には100万円から200万円程度の費用がかかるため、「絶対に収益が出ないと困る」と切羽詰まった家計状況であれば、購入を控えた方が良いでしょう。
その他、購入しても良いケースと購入すべきでないケースについて以下にまとめてみました。前者は良いと考えられ、後者は避けるべきとされる場合です。
・購入費用に無理がない/相当な無理がある
・家の日照条件や屋根の形状などが、良い設置条件に適合している/適合していない
・緻密な収益シミュレーションが行われている/実施されていない
・収益への過剰な期待をしない/している
損得だけでなく、災害対策メインとして考えることも
収益面だけを重視すると、購入をためらう要因になってしまいます。しかし、太陽光発電システムには、災害などによる停電時の備えという側面も持っています。
いつ停電しても安心できるように考えると、蓄電池が必要となります。蓄電池の設置または交換には一定のコストがかかるため、蓄電池を導入した場合、収益的にはマイナスになることが多いのです。
したがって、「停電時の安心を購入している」と割り切り、収益面での多少のデメリットには目をつぶるという考え方が必要になることもあります。
環境対策として考えることも
エコロジーの観点から太陽光発電システムを導入しようと考える人もいます。これは、収益面ではなく、「地球に優しいエネルギー」としての側面に注目しているからです。
前述したように、家計の損得だけを考慮すると、電気料金への影響や売電状況、初期投資、メンテナンス費用が気になるのですが、「自分にできる環境対策をしている」という気持ちになることで、それらのリスクに対してもある程度の寛容さを持つことができるでしょう。
まとめ
以上で本記事は終了します。設置条件によって収益が変動するため、メリットとデメリットの評価が難しい太陽光発電システムですが、飛び込みの訪問販売業者からの購入は避け、信頼できる業者から十分なシミュレーションを行った上で購入するように心がけることが大切です。
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