寝る際に困難を感じたり、夜中に目が覚めてしまう「不眠」に苦しんでいる方は、実際には非常に多く存在しています。
睡眠の質を向上させるための手段はいくつか考えられますが、その中でも特に注目されているのが「チョコレート」です。チョコレートを摂取することで、睡眠に好影響を与える可能性があるという話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
最近では、スーパーマーケットなどでも「睡眠改善チョコレート」といった商品を目にする機会が増えています。
しかし、チョコレートに含まれる成分の中には、逆に「睡眠を妨げる」要因となってしまうものもあると指摘されています。
この記事では、チョコレートと睡眠の関係性について詳しく考察し、さらに睡眠の質を向上させるための効果的な摂取方法についてもお伝えしていきます。
チョコレートは睡眠の質を高める効果がある⁉
もしチョコレートが睡眠改善に寄与するのであれば、楽しみながら安眠を促進できるという非常に嬉しいニュースですね。
チョコレートの主要成分はカカオマス、砂糖、ココアバター、粉乳などですが、特にカカオマスには睡眠に良い影響を与える成分が豊富に含まれています。
チョコレートに含まれる栄養素が睡眠に役立つ
チョコレートに含まれる栄養素の中で、特に睡眠にプラスの影響を与える成分について詳しく見てみましょう。
- GABA
GABAはアミノ酪酸というアミノ酸の一種であり、不安やストレスを軽減する効果があり、加えて睡眠調節や体内時計の調整にも関与しています。
GABAを摂取することでリラックス時に優位になる副交感神経が活性化し、結果的に睡眠の質を向上させる効果が期待できるのです。
また、「GABA for sleep」は「ɤ‐アミノ酸」を豊富に含んでいるため、さらなる睡眠の質向上が期待できる製品として、購入時の参考にすると良いでしょう。
- テオブロミン(カカオポリフェノール)
チョコレートに含まれるテオブロミン(カカオポリフェノール)は、強力な抗酸化作用を持つとされています。
さらに、テオブロミンは筋トレなどの激しい運動後に増加する体内の活性酸素を除去し、酸化ストレスを軽減する効果も期待されます。
酸化ストレスが多いと睡眠の質が低下するため、テオブロミンは睡眠の質を改善する働きもあります。
加えて、テオブロミンには気分を向上させたりリラックス効果もあるため、これが睡眠の質を高める要因となります。
- トリプトファン
必須アミノ酸の一つであるトリプトファンは、メラトニンを生成するために欠かせない役割を果たします。
メラトニンと睡眠の関係は、セロトニンという幸せホルモンと密接に関連しており、トリプトファンを基に作られるセロトニンは、夜になるとメラトニンに変換され、睡眠ホルモンとしての働きを持ちます。
このセロトニンは朝に合成が活発になるため、朝食にトリプトファンを多く含む食材を取り入れることで、夜間のメラトニンの量を増加させ、睡眠の質を向上させる効果が期待されます。
- マグネシウム
チョコレートから摂取できるマグネシウムも睡眠の質を向上させる重要な要素です。
マグネシウムは神経伝達物質と深い関係があり、もしもマグネシウムが不足すると体内時計が狂ったり、睡眠ホルモンであるメラトニンが減少し、睡眠障害を引き起こす可能性があると言われています。
さらに、チョコレートなどからマグネシウムを毎日500mg程度摂取したグループと摂取しなかったグループを比較した研究では、摂取したグループが「眠りにつく時間が早くなった」や「安眠できた」という効果を得られたことが示されています。
チョコレートに含まれる成分は不眠も引き起こす⁉
チョコレートに含まれる成分が睡眠の質を向上させる一方で、逆に眠気を覚まさせる「カフェイン」も含まれています。
食品に含まれるカフェインと言えば多くの人がコーヒーを思い浮かべるかもしれませんが、実際にはチョコレートにもカフェインが含まれ、眠気を覚ます効果や体を活発にする働きがあります。
適度なカフェインの摂取は集中力を高めたり注意力を向上させる効果があるとされていますが、過剰に摂取すると以下のような不調を引き起こすことがあります。
- 心拍数の増加
- 不安や興奮状態になる
- 消化管を刺激して下痢や便秘を引き起こす
- 不眠症
カフェインの効果を感じる程度には個人差が大きいため、1日の摂取量に関する明確な基準は存在しませんが、他国では健康な成人の1日のカフェイン摂取量を最大400mgまでに抑えるよう注意されている地域もあります。
自分自身の体調を考慮しつつ、適切な量を摂取することが非常に重要です。
チョコレートに含まれるカフェイン量
目を覚ます効果があるカフェインですが、チョコレートには実際にどれくらい含まれているのでしょうか。
カフェインはチョコレートの原料であるカカオ豆に含まれているため、チョコレートの種類によってその含有量は異なります。
たとえば、100gのチョコレートに含まれるカフェイン量を比較すると、ミルクチョコレートには約30mg、高カカオチョコレートには約68~120mgとされています。
睡眠の質を上げるチョコレートの食べ方とは
カフェインの効果には個人差があるため、1日に食べる適量はどのくらいが理想なのでしょうか?また、睡眠の質を高めるためには、いつ食べるのが良いのでしょうか?これらはとても気になるポイントです。
睡眠の質を高めるチョコレートの適量
先に述べたように、カカオ分70%以上の高カカオチョコレートには睡眠に役立つ栄養素が豊富に含まれていますが、同時にカフェイン量もミルクチョコレートより多くなります。
また、チョコレートは比較的カロリーが高い食品であるため、生活習慣病のリスクも考慮しなければなりません。
そのため、健康的に良質な睡眠を得るための1日の摂取量として、高カカオチョコレートの場合、1枚あたり5g程度の個包装タイプのチョコでは3枚程度、板チョコでは1/4枚程度が適切とされています。
ミルクチョコレートは、高カカオチョコレートに比べてカフェインが少ないものの、乳脂肪分や糖分が多く含まれているため、食べる量に留意する必要があります。
睡眠の質を高めるチョコレートの食べ方
カフェインを含むため、個人差がありますが、夜にチョコレートを食べることで眠れなくなるという方も存在します。
カフェインが体内に入ると、30分から2時間程度で血中濃度が最大に達し、その半分の量になるまでに2時間から8時間程度かかるとされています。
このことから、朝に食べたチョコに含まれるカフェインは、夜には影響を及ぼさなくなることが理解できます。
さらに、睡眠の質を向上させるセロトニンは朝に合成が活発になるため、夜に食べるナイトチョコレートではなく、朝(就寝前8時間までに)チョコレートを摂取して、睡眠の質を高める栄養素を効果的に摂ることが推奨されます。
まとめ
高カカオチョコレートには睡眠の質を向上させる栄養素が豊富に含まれていますが、カフェインも含まれているため、寝る前の8時間以内に摂取することと、適量を守ることが非常に重要です。
一口食べることでリラックスできるチョコレートには、気分を和らげる効果や幸せホルモンとして知られるセロトニンが含まれているため、不眠に悩む方への贈り物や自分自身へのご褒美としても理想的です。
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