私たちの日常生活で非常に多く使用されているプラスチック製品ですが、その便利さの裏には危険性を考慮する必要があります。あなたはこれまで、プラスチックの安全性について考えたことがありますか?
プラスチックは、環境問題や海洋汚染といった多様な視点から懸念が示されていますが、その原材料自体にも多くの影響が潜んでいます。
この記事では、特にどのような物質が危険視されているのか、またどのプラスチックを選ぶことがより安全かを詳しく掘り下げていきます。
さらに、プラスチックの代替品として利用できる製品のおすすめもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
危険な物質
プラスチックに含まれる危険とされる物質は主に3つの種類があります。
これらの物質が危険視される理由は、人体に有害な影響を及ぼす可能性があるためです。
ビスフェノールA(BPA)
缶詰のコーティング剤としてよく使用されるBPAは、プラスチック製品とも密接に関わっています。
BPAは、ポリカーボネートやエポキシ樹脂の製造に利用される化学物質です。
具体的には、ポリカーボネートは電子機器や自動車部品に用いられ、エポキシ樹脂は金属の防蝕塗装や電気部品、さらには接着剤などに使用されています。
また、私たちが日常的に使うプラスチック製の食器や保存容器、さらには缶詰にも広く含まれています。
特に注意が必要なのは、赤ちゃんが使用する哺乳瓶や食器、おむつにBPAが含まれている可能性があるという点です。
人体への影響
- 神経や行動に対する影響
- 乳腺や前立腺に関連する影響
- 代謝能力が低い胎児や乳幼児への影響
研究によれば、影響がないとされる摂取量以下でも動物の胎児や子供に対して影響が確認されています。(厚生労働省)
BPAは、大人に比べて代謝能力が低い胎児や子供に特に悪影響を及ぼすことが明らかになっているため、妊娠中の女性や小さな子供がBPAを摂取することは非常に危険だとされています。
また、電子レンジで加熱したり、使用している際に細かい傷がつくことで、そこからBPAが溶け出すリスクが高まります。このため、加熱を避けたり、定期的に製品を交換することが推奨されています。
海外では規制が進展していますが、日本でもおむつの製造において禁止化学物質として指定されており、BPAフリーの製品やガラス製品への移行が進められています。
フタル酸エステル類
フタル酸エステル類は、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックを柔らかくし、加工しやすくするために添加される化学物質です。
この物質は、床材や壁紙などの建材、包装フィルム・シート、塩ビ製のおもちゃ、食品の包装容器、化粧品など、非常に幅広い製品に使用されています。
特に注意が必要なフタル酸エステル類には、以下の4種類があります。
- フタル酸ジエチル(DEP)
- フタル酸ジイソノニル(DINP)
- フタル酸ジ-n-ブチル(DBP)
- フタル酸ジ-2-エチルへキシル(DEHP)
中には毒性が低いとされる物質も存在しますが、特に下の2つのDBPとDEHPは特に危険視されています。
フタル酸エステル類は、接触した物質に移行する特性を持ち、食品やおもちゃからの経口摂取や加熱による吸引摂取が懸念されています。
人体への影響
- 呼吸器系への悪影響
- 喘鳴、鼻炎、湿疹の引き起こし
- 生殖機能への影響
- 妊娠合併症のリスク
フタル酸エステル類を体内に取り込むことで、アレルギーの原因となったり、女性にとっては早産のリスクを引き起こす可能性があります。
また、ポリ塩化ビニル製の床材やフローリングは、埃に吸着することでDEHPの濃度が高まるという研究結果も報告されています。(科学的根拠に基づくシックハウス症候群による相談マニュアル)
埃は定期的に掃除することで減少させることが可能ですが、同時にポリ塩化ビニルを使用した製品を避けることやプラスチック製品の使用を減らすことも重要です。
残留性有機汚染物質(POPs)
POPsとは、難分解性、高蓄積性、長距離移動性、有害性(人間の健康や生態系への影響)を持つ物質を指します。
簡単に言うと、環境中で分解されにくく、油に溶けやすい特性を持つため、動物や人の体内に蓄積されやすいという性質があります。
これらの物質は分解されることなく空気中や体内を移動し、広範囲にわたって影響を与えることが知られています。
また、これらの物質が動物の体内に蓄積されることで、食物連鎖を通じて次に食べる動物や人にもPOPsが蓄積されることになります。
主に農薬や防虫剤、変圧器や安定器、さらにプラスチック製品の難燃剤としても使用されています。
人体への影響(環境省)
- 生殖器の異常や人体の奇形
- 免疫系や神経系への悪影響
2004年5月には、POPsによる地球規模の汚染が懸念され、残留性の高い物質の削減や廃絶を目指した「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)が制定されました。
しかし、プラスチック製品がすでに製造されている場合、禁止物質の特定が非常に難しく、リサイクルされて再利用されると特定がほぼ不可能になります。
使用しているプラスチック製品については、リサイクル資源を使用しているかどうかを確認したり、製造国や製造年の記載を確認することが一つの有効な対策となります。
安全なプラスチック
危険なプラスチックが存在する一方で、安全性の高いプラスチックも確かに存在します。
- ポリエチレンテレフタレート(PET)
- 高密度ポリエチレン(HDPE)
- 低密度ポリエチレン(LDPE)
- ポリプロピレン(PP)
上記の4つは、比較的安全であると認識されています。
ただし、食品の保存に使用する際には、再利用を避けることや熱を加えないことが非常に重要です。
PPは唯一再利用が認められていますが、使い続けることはあまり推奨されません。
また、ペットボトルなどによく使用されるPETは、高温の車内に長時間放置することにも注意が必要です。
一般的に使用されるポリ塩化ビニル(PVC)は、フタル酸エステル類が含まれていたり、発がん性物質が含まれる可能性があるため、使用を避けることを強くお勧めします。
プラスチック以外の製品
現代の生活においては、プラスチック製品を完全に避けることは非常に難しいですが、少しずつでも代替品を取り入れることは十分可能です。
たとえば、プラスチック製のおもちゃを木製に切り替えたり、食器や哺乳瓶をガラス製に変更することなどが考えられます。
ここでは、特に取り入れやすいキッチングッズのおすすめを3つご紹介します。
耐熱ガラスの保存容器
保存容器としてプラスチック製を使用している方も多いと思いますが、その便利さは高い一方で、プラスチックの加熱は最も懸念されるポイントです。
そこでおすすめしたいのが、耐熱ガラスの保存容器です。
耐熱ガラスはプラスチックに比べると重いですが、匂いや色移りがなく、透明性が高いため、内容物の確認が容易です。
さらに、中には電子レンジだけでなくオーブンや冷凍、食洗機にも対応した商品もあります。
オーブン料理をした後の余りを保存する際にも、蓋をすれば便利に保管できるため、非常に実用的です。

シリコンの保存容器
シリコンは、ゴム素材の一種であり、−100°から250°という広範囲で特性が変わらず、繰り返し利用できる素材です。
柔らかいゴム製であるため、中に入れた食材を揉んで混ぜることもできるという特性があります。
冷凍や電子レンジでの使用も可能で、自立する形状のものが多いため、野菜の下処理を行った後、水切りやそのまま味付けをすることもできます。
バッグ型の形状のものもあり、冷蔵庫内の収納をすっきりさせることができるでしょう。


シリコンラップ
ラップの原料もプラスチックですが、使用時に過熱しすぎると、お皿とラップが密着した状態で加熱され、ラップが溶け出すことがあります。
有害な物質を放出することはないとされていますが、心配な方にはシリコンラップが良い選択肢です。
シリコンラップも保存容器と同様に、洗って繰り返し使用することができ、電子レンジや食洗機に対応している製品もあります。
食器だけでなく、切った野菜やフルーツに使用するとしっかりと密着し、ラップよりも長持ちする可能性があります。
ただし、木製やザラザラした食器にはくっつかないため、使用する食器を事前に確認することが重要です。
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まとめ
便利なプラスチック製品は多くありますが、過剰に使用したり加熱することによって危険性が伴うことが明らかになりました。
とはいえ、すべてのプラスチック製品が有害であると決めつけるのではなく、何を受け入れ、何を改善していくかの判断が求められます。
即座に健康に影響が出るわけではありませんが、少なからず影響があるという事実を理解した上で、賢くプラスチック製品を活用していくことが大切です。
この記事を参考にして、自分にとって使いやすく、安全な製品を選んでみてください。
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