買っても使えない?買ってはいけない「カセット式ガス炊飯器」

アウトドアで味わう「白いご飯」の美味しさは、他では得られない特別なものです。自然に囲まれた環境で食べるご飯は、日常の食事とは異なる、まさに格別な体験をもたらしてくれます。

しかし、ご飯を飯ごうや炊飯鍋を用いて炊こうと試みた際に、焦げてしまったり、逆に生煮えになってしまうことがよくあります。

おいしいご飯が思うように炊けないときには、電気式やガス式の炊飯器が手元にあればいいのにと切実に思うことがあります。

ただし、電気炊飯器は電源が必要ですし、ガス炊飯器を使用する場合にはLPガスボンベが必要になるため、気軽に使うことが難しいこともあります。

そこで、アウトドアや災害時にも役立つ、持ち運びが便利なカセットボンベを燃料として利用するガス炊飯器に注目してみました。

調査を進める中で、カセットボンベを本体に直接取り付けるタイプ以外には問題があることが判明しました。

今回は、そんな避けるべき「カセット式ガス炊飯器」について、詳しく解説していきたいと思います。

カセット式ガス炊飯器とは?

一般的に炊飯器と聞いて思い浮かぶのは、やはり電気式の「IH炊飯器」や「圧力IH炊飯器」ではないでしょうか。

昔を振り返ると、ご飯を炊く際には「かまど」を使い、専用の「羽釜」と呼ばれる炊飯用の窯が主流でした。

羽釜を用いた炊飯は、米をふっくらとしたモチモチの状態に仕上げることができるため、非常に美味しいご飯が炊ける方法として広く知られています。

その中でも、かまどでの炊飯に最も近いとされているのが、高火力でご飯を炊き上げる「ガス炊飯器」です。

カセット式ガス炊飯器は、LPガスのボンベを持ち出す必要がなく、カセットボンベを用いてご飯を炊くことができる炊飯器の一種です。

なぜ炊飯器は失敗しないのか?

それは、炊飯窯内の温度変化を巧みに利用しているからです。炊飯中は水が存在するため、温度は常におおよそ100℃に維持されます。炊き上がる際には水分が蒸発し、急激に温度が上昇します。
この温度差を巧みに利用し、加熱を停止するタイミングを的確に測ることで、焦げたり生煮えになることがなく、美味しくご飯が炊き上がるのです。

カセット式ガス炊飯器は2種類

まず一つ目のタイプは、ガス炊飯器そのものが「炊飯窯」と「バーナー部」に分かれている「一体型」と呼ばれるものです。

このように分かれていることで、掃除やメンテナンスが容易になり、加えてスタイリッシュなデザインが特徴となっています。

使用されるカセットボンベは、イワタニのカセットガスが推奨されています。

燃費に関しては、カセットボンベ1本(250g)でお茶碗約2杯分(1合)のご飯を18~19回炊くことができ、約10杯分(5合)で7回の炊飯が可能です。

また、点火には単3電池が必要ですが、事前にセットしておけば持ち運びの際にかさばらず、非常に便利です。

2つ目のタイプは、炊飯専用のカセットコンロの上に羽釜を載せた形式です。

バーナー部はカセットコンロと同様の形状ですが、炊き上がった際に自動で火を止める機能が搭載されています。

専用のカバーと羽釜は取り外しが可能なため、「一体型」と同じように清掃やメンテナンスが非常に簡単です。

ただし、このタイプで使用するカセットボンベは専用のもので、120gの短いジュニアタイプのカセットボンベが必要です。

このタイプは最大2合までご飯を炊くことができ、1合であれば最短10分で炊き上げることが可能で、専用ボンベ1本で1合を10回炊くことができます。

点火方法もカセットコンロと同じ圧電点火方式を採用しているため、電池は不要でシンプルな設計となっています。

コンロなどで炊飯鍋や羽釜で炊く場合との違いは?

では、カセットコンロの上に羽釜や炊飯鍋を置いてご飯を炊くという方法はどうでしょうか?そんな風に考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、その場合には火力の調整や炊き上がりのタイミングで火を止める手間がかかります。

さらに、燃費に関しても炊飯器と比較すると効率が悪く、炊飯プロセス自体を失敗する可能性が高いため、炊飯器が重宝されているのです。

最も大きな違いは、上記の2種類のカセット式ガス炊飯器には、炊き上がると自動で火が止まる装置が付いているため、安全に自動でご飯を炊くことができる点です。

LPガス炊飯器をカセットボンベで使用することは可能?

ネット上には、カセットボンベのガス圧を調整してLPガス用の炊飯器に使用しているという情報が多く存在しています。

結論としては、都市ガス用の炊飯器は使用できませんが、LPガス用のものは使用可能です。

家庭用プロパンガスとカセットボンベの両方は「LPG」として分類されており、液化したガスを気化させて使用するという点では共通しています。

ただし、家庭用プロパンの成分はほぼ「プロパン」であり、

一方で、一般的なカセットボンベは「ブタン」が約7割、「イソブタン」が約3割と成分が異なります。

「プロパン」は-40℃でも気化するため、低温でも使用することができますが、「ブタン」は-1℃で気化しなくなります。

「イソブタン」は-11℃で気化するため、低温での使用に対応したカセットボンベが「イソブタン」の割合を増加させることで工夫されています。

ガス成分は安定して使用できるように調整されており、ガス器具は使用するガスに応じて空気量などが調整されているため、安全に使用できるよう配慮されています。

しかしながら低温時には失火や圧力の影響で火が安定しないリスクがあるため、安全とは言い切れません。

最も重要なことは、火が消えたり火力が不安定であれば、美味しく炊きたいと考えて使用するガス炊飯器の本来の目的が損なわれてしまうという点です。

大きな事故につながるリスクもあるため、器具には適切なガスを使用することを強くお勧めします。

「安全に使えること」と「使用できること」は全く異なるものであることを認識しておく必要がありますので、十分に注意を払ってください。

炊飯器と炊飯鍋では、どちらがコストパフォーマンスが良いのか?

ガス炊飯器と比較すると、炊飯鍋で炊いた場合はガス代が1.5倍から1.8倍かかると言われています。
しかし、カセットガス炊飯器は数万円以上する高価な製品であり、数千円で購入可能なカセットコンロと炊飯鍋の組み合わせの方が初期投資が安く済むでしょう。

まとめ

カセットボンベを利用してご飯を炊くことができる炊飯器には、一般的なガス炊飯器系と、炊飯に特化した専用のカセットコンロと羽釜の2つのタイプが存在します。

この2種類にはそれぞれ専用のガスボンベが必要です。

互換性のある他のカセットボンベを使用することも可能ですが、メーカーはその使用を推奨していません。

カセットボンベを使うガス器具は非常に便利ですが、大きな事故を引き起こす危険性もあるため、より安全な使用を心がけることが重要です。

ここで述べた「カセット式ガス炊飯器」は、使用可能ではありますが本来の用途とは異なるLPガス炊飯器であることには十分に注意が必要です。

最近では、LPガスボンベの詰め替えを行ってくれるガス屋さんが減少しているため、「カセットボンベの流用」が広がっていると言われています。

使用する際には「自己責任」とされることも多いですが、自分だけでなく他者にも影響を与える可能性のある「事故責任」を常に考慮することが重要だと思います。

最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。

カセット式に限らず、どの炊飯器でも炊飯前に30分以上水に浸し、炊き上がり後には15分程度蒸らすことで、さらに美味しく仕上がることをお忘れなく。

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