重曹は、掃除や料理に非常に重宝されるアイテムとして広く知られていますが、実際にはその正しい用法を理解しないまま購入することは避けるべき場合も存在します。この記事では、重曹について詳しく解説し、その特性や利用方法を見ていきましょう。
重曹について
重曹は「重炭酸曹達(曹達:ソーダ)」の略称であり、その特性や効果についてはあまり知られていない方も多いかもしれません。
- 見た目:白くて細かい粒子状で、非常に軽やかな質感を持っています。
- 性質:弱アルカリ性を持ち、お湯と混ぜることで発泡し、強アルカリ性へと変化します。この変化により、洗浄力が大きく向上します。
- 期待できる効果:酸性の汚れや不快な匂いを中和する力があり、粒子が柔らかいため、表面を傷つけることが少ないです。また、軟水を作り出し、湿気を吸収することも可能です。さらに、さまざまな食品をふくらませる役割も果たします。
- 注意点:金属製品に使用した後は、水分をきちんと取り除かないと錆が発生する可能性があるため、注意が必要です。また、使用量が多すぎると肌に刺激を与え、荒れを引き起こす恐れがあるため、適量を守ることが重要です。水に溶けにくく、入れすぎると苦味が出ることもあります。
重曹は何に使えるのか
洗剤の代わり
重曹は、洗剤の代用としても非常に便利に使われています。
重曹に触れたり加熱することで強いアルカリ性を帯びるため、手荒れを防ぐために、ゴム手袋やポリ手袋を着用することをお勧めします。
粉のままクレンザーのように使う
- 鍋の焦げ付きを取り除く:少量の重曹と水を鍋に入れ、沸騰させた後に冷まします。
- 茶渋などの汚れを落とす:スポンジに重曹を付けて、気になる部分を優しくこすり落とします。
- 頑固な汚れを取り除く(ガスレンジ・魚焼きグリルなど):ブラシに重曹を直接つけてこすります。
水に溶かしてスプレーする
重曹と水は混ざりにくいため、スプレーする直前にしっかりと振って混ぜることが大切です。
- 冷蔵庫内の汚れを取り除く:スプレー後、拭き取った後は乾拭きして水分を完全に取り除きます。
- 床や壁の黒ずみやカビを取り除く:スプレーした後、しっかりと拭き取ります。
お湯に溶かして頑固な汚れを取る
- 排水口の詰まりを解消する:お湯に重曹を溶かし、勢いよく流し込みます。
食品に使う
- 山菜やたけのこのアク抜き:重曹を加えることで、アルカリ性の水となり、シュウ酸を主成分とするアクが抜けやすくなります。
- タンパク質の食材の下処理:エビやイカ、煮豆などの下処理に重曹を使うことで、食材が柔らかく仕上がり、風味が増します。
- ふくらし粉:まんじゅうやソーダブレッド、蒸しパン、カルメ焼きなどの菓子をふくらませる際に少量加えると良いでしょう。
※ ふくらし粉として使用する際は、入れすぎると苦味が出るため注意が必要です。
※ 重曹を加えると生地が黄みがかるため、濃い色の生地に使用すると色が目立たず、仕上がりが美しくなります。
消臭剤・湿気取り
- 靴箱や押入れなどの消臭と湿気取り:口の広い瓶に重曹を入れて置くことで、効果的に消臭や湿度調整が行えます。
- 香り付きの消臭剤:瓶に重曹を入れ、アロマオイルを数滴混ぜることで、香りも楽しめる消臭剤として利用できます。
※ 香りが薄くなった場合、古くなった重曹はトイレ掃除などに再利用できます。
美容
- 入浴剤:お風呂に少量の重曹を加えることで、お湯が柔らかくなり、血行が良くなる効果があります。
※ 強アルカリ性になると肌荒れを引き起こす可能性があるため、入れすぎには注意が必要です。
重曹をむやみに買ってはいけない?
掃除、料理、さらには美容にも幅広く利用できる重曹は、家庭に常備しておくと非常に便利なアイテムです。しかし、安易に購入することには注意が必要です。その理由は何でしょうか。
重曹にはグレードがある
重曹には、使用目的によって異なるグレードが存在します。それぞれの特性について詳しく見ていきましょう。
医薬品用
医薬品用の重曹は、純度が非常に高く、粒子が細かい特徴を持っています。そのため、ダマになりにくい特性があります。
これは第三類医薬品として分類されており、薬局やドラッグストアで購入することができます。胃薬などに使用されることもあるため、特に信頼性が高いです。
食品用
食品用の重曹は、ドラッグストアだけでなく、スーパーマーケットや一部の100円ショップでも手に入れることができます。
パッケージには食品添加物と明記されており、医薬品用よりも粒子が大きく、時間が経つと固まってダマになることもあります。口にしても問題ないため、食品に使用したり、調理器具の洗浄、さらには入浴剤としても幅広く活用できます。
家庭での使用においては、こちらのグレードを選ぶと便利です。
農工業用
農工業用の重曹には不純物が含まれているため、食べ物には使用できません。家庭での利用は掃除程度に限られ、あまり使用する場面は多くないでしょう。
ホームセンターなどで販売されていますが、注意が必要です。
入浴用の重曹
このグレードには含まれていませんが、インターネット上では化粧品用として入浴用の重曹が販売されています。エッセンシャルアロマオイルを数滴加えて香りを楽しむことも可能です。
ただし、食用には適しておらず、掃除や消臭用としての使用が推奨されています。
重曹とベーキングパウダーの違い
重曹とベーキングパウダーは、見た目は似ているものの、その用途や特性には明確な違いがあります。どちらを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。
ベーキングパウダーは焼き菓子や蒸し菓子、ホットケーキなど、ふんわりとしたお菓子を作る際に使用される膨張剤で、重曹を基にし、クエン酸やコーンスターチなどの他の膨らませやすい材料が混合されています。
お菓子の色を薄くしたい場合や、じっくりと加熱して調理する時に使用されることが一般的です。なお、ベーキングパウダーは掃除や入浴剤としては使用できず、あくまでお菓子をふくらませるための専用の材料です。
ベーキングパウダーは、スーパーマーケットの菓子材料売り場や製菓材料専門店で購入可能で、健康を考慮してアルミニウムフリー(アルミニウムを含まない)のベーキングパウダーを選ぶこともできます。
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