ETCが導入されてから早くも20年の歳月が経過しました。
その搭載率は93%に達しており、現在ではほとんどの車両にこのシステムが装備されています。
ところで、2016年の春からは「ETC2.0」という新たなシステムが導入され始めました。しかし、現時点での搭載率は全体の1割程度であり、従来のETCと比べて普及が進んでいないというのが実情です。
「従来のETCと何が違うのか?」や「導入することによるメリットは何か?」といった疑問を抱えている方も多いことでしょう。
そこで本記事では、最新の情報を基にETC2.0のメリットとデメリットを詳しく解説しますので、購入を検討している方はぜひ参考にしてください!
ETC2.0とは何か?
いわゆる次世代型のETCシステムです。
ETCは、高速道路の通行料金を無線通信を使用して支払うことができるシステムとして多くの方に知られています。
ETC2.0はこの基本機能に加えて、渋滞の迂回ルートの提案や安全運転のサポート、災害時の適切な誘導といった、より便利で多様なサービスをドライバーに提供できるようになりました。
ETC2.0の仕組み
ETC2.0が多様なサービスを提供できる理由は、全国の高速道路に設置されたITSスポットと呼ばれる通信アンテナにあります。
これらのスポットは徐々に設置されており、現在では全国に約1700ヶ所存在しているそうです。
車両がこのスポットを通過する際、ETCから道路管理会社に道路や運転状況が伝わり、その情報を基に必要な情報が車両に提供される仕組みとなっています。
このように、複数のサービスを一つのプラットフォームから提供するETC2.0の取り組みは、世界でも初の試みとされています。
また、ETC2.0の導入目的はドライバー支援だけにとどまりません。
渋滞や交通事故の削減、物流の効率向上、一般道の環境改善など、道路交通システム全体の効率化を図ることも重要な目的とされています。
ETC2.0のメリット
ここからは、ETC2.0のメリットを4つご紹介します。
①道の駅利用時に便利
これまでは、高速道路を一度降りると再度高速道路に乗る際に初乗り料金が必要でした。
しかし、ETC2.0では、高速道路走行中に対象となる道の駅を利用すると、料金所での通行料金がかからずに、高速道路への乗り降りが可能になります。
適用条件としては、3時間以内に同一インターチェンジからの再乗車が必要で、かつ順方向のみの利用が求められますが、道の駅を頻繁に利用する方にとっては非常にお得なサービスと言えるでしょう。
ただし、現在この制度は社会実験段階であり、対象となる道の駅は全国でわずか23箇所と、少ないのが難点です。
②圏央道利用時に割引がある
茅ヶ崎JCT~海老名JCT、海老名~木更津JCT、新湘南バイパスの藤沢~茅ヶ崎JCT利用時には通行料金が割引となるサービスが提供されています。
車種や走行区間によって異なりますが、約3%~20%の割引を受けることが可能です。
圏央道を利用する方にとっては非常に嬉しい情報ですね!
ただし、ETC総合情報ポータルサイトには二輪車の割引価格が掲載されていないため、二輪車で利用する際には事前に確認しておくことが重要かもしれません。
③渋滞を早く察知・回避できる
ETC2.0は1000㎞先までの情報を収集できるため、渋滞情報を迅速に察知することが可能です。
同時に渋滞を迂回できるルートの提案も行ってくれるため、家族旅行や急ぎの際に非常に役立つでしょう。
④安全運転や災害時の運転に役立つ
ETC2.0には、天候情報や路面状況、障害物、事故多発地点などを事前に通知する機能も備わっています。
カーナビやスマホと連携させている場合、その地点の状況を音声だけでなく静止画像付きで確認することが可能ですので、先を見越した安全運転を心掛けることができます。
また、地震などの災害が発生した際も迅速に情報を伝達し、災害発生状況と共に道路規制情報や走行可能なルート、避難所の情報を提供してくれます。
ETC2.0のデメリット
メリットが多く見えるETC2.0ですが、もちろんデメリットも存在します。
調査を通じて見えてきたデメリットを3つにまとめてみました。
①導入時に初期費用やセットアップが必要
ETC2.0は従来のETC車載機では使用できません。
そのため、ETC2.0対応の車載機を新たに購入するか、現在使用している車載機を再設定する必要があります。
しかし、ETC2.0対応の車載機は、従来のものに比べて本体の価格が依然として高いのが現状です。
価格を比較すると約2倍になっているものが多い印象があります。
さらに、ETC2.0の機能をフルに活用するには、システム対応のカーナビやスマホがあると便利ですが、それには追加の費用がかかることが予想されます。
新たに車を購入する際にETC2.0を検討している方にとっては、少し手が出しにくいかもしれません。
②割引適用範囲が限定的
圏央道や新湘南バイパスの割引や道の駅の利用が便利になるのは非常に魅力的ですが、対象地域圏外での利用が多い方には、現在あまりメリットを感じられないかもしれません。
各地方の主要高速道路まで割引範囲が広がってくれることを期待していますが、現時点ではそのような情報は見当たりません。
道の駅についてはまだ実験段階のようですので、今後の動向に期待したいところです。
③スマホで補える情報も多い
渋滞や災害情報はスマホでも十分に補うことができます。
ETC2.0に関する口コミを見てみると、渋滞や障害物、事故情報など、実際の走行には不要な情報も多く提供される傾向にあるようです。
スマホの方が使い慣れている方も多いため、本当に必要な情報を手に入れるにはスマホの方が便利だと感じる方が多いのではないでしょうか。
まとめ
ETC2.0は従来のETCに加え、非常に便利なサービスを多数提供しています。
しかし、その恩恵を享受できるのは限られた地域の利用時に限られるという印象は否めません。
導入にかかる初期費用や手間を考慮すると、もう少し様子を見た方が良いというのが私の正直な意見です。
2030年にはETCシステムのセキュリティ規格が変更され、新しいセキュリティ規格しか利用できなくなると言われています。
この記事を読んでETC2.0にあまりメリットを感じられなかった方は、2030年まで様子を見るのも一つの選択肢かもしれませんね。
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