食卓において頻繁に見かける卵は、料理の中で非常に役立つ食材として広く知られています。特に一般的に手に入る鶏卵は、主菜としてだけでなく、サイドディッシュとしても多彩に活躍し、料理のバリエーションを増やすための良い助けとなります。
最近では、卵の価格が急騰していることが気になるポイントです。特に特売や安売りを目にすると、つい手が伸びてしまうことが多いですよね。
しかしながら、卵には注意が必要な点もいくつか存在します。そこで今回は、卵の栄養価、適正な摂取量、さらには卵に潜む危険性について詳しくご紹介していきたいと思います。
卵の栄養価
鶏卵1個あたり(可食部50g)には、約70kcalのエネルギーが含まれており、タンパク質は6.2gと非常に豊富です。また、コレステロールの含有量は210mgとなっており、これが健康への影響を考える上で重要なポイントとなります。
多くの人は主菜として肉や魚を選ぶことが多いですが、卵も立派なタンパク源として食卓の中心に位置することができる食材です。実際、卵は必須アミノ酸のバランスを示す「アミノ酸スコア」が100という非常に優れた数値を持っており、栄養バランスが良好な食品であることがわかります。
ここで、アミノ酸スコアについてもう少し詳しく説明いたします。
アミノ酸スコア
アミノ酸スコアは、必須アミノ酸のバランスを示す指標であり、必須アミノ酸とは体内で合成できないため、食事から摂取しなければならないアミノ酸のことを指します。
具体的には、以下の9つのアミノ酸が必須アミノ酸に該当します。
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
- フェニルアラニン
- メチオニン
- ヒスチジン
- トリプトファン
- スレオニン
- リジン
特に、バリン、ロイシン、イソロイシンは、筋トレを行う方々にはお馴染みのアミノ酸ではないでしょうか。これらは「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」と呼ばれるものでもあり、実際には必須アミノ酸でもあります。
鶏卵はアミノ酸スコアが100であり、これは高品質なタンパク質源であることを示しています。タンパク質は複数のアミノ酸から構成されており、そのバランスが整った卵は非常に栄養価の高い食品であることが理解できるでしょう。
卵の適正量
結論として、卵の適正な摂取量は1日1個までが理想的とされています。しかし、一方で卵は1日に何個でも食べても問題ないと考えている方も多いことでしょう。
かつては、成人男性のコレステロールの一日の摂取上限が750mg未満、成人女性は600mg未満とされていました。しかし、2015年に改定された食事摂取基準によれば、血中コレステロールの値への影響は個人差が大きく、根拠がないとされ、摂取量の上限が撤廃されました。これにより、卵は1日1個までという以前の考え方から、何個でも食べて良いという認識に変わってきたのです。
とはいえ、卵1個あたりのコレステロール量は200mgと多いのも事実です。そのため、2020年からは目標量として1日200mgという基準が設定されました。この目標量は、「生活習慣病の発症予防のために、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量」として定められており、上限はないものの、生活習慣病を予防する観点から、卵は1日1個が適正とされるのです。
卵の危険性
卵には以下の2つの危険性が存在します。
- 高コレステロール
- 食中毒
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
高コレステロール
これまでお話ししてきた通り、卵は多くのコレステロールを含んでいます。個人によってコレステロールの代謝には差があり、卵を何個食べても血中に影響を与えない人もいれば、食生活に関係なく遺伝的にコレステロール値が高い方も存在します。このような方々は、卵の過剰摂取に注意が必要です。
具体的に、コレステロールの過剰摂取が体にどのような影響を及ぼすのかというと、以下のような疾患のリスクを高めることが知られています。
- 高血圧
- 動脈硬化
- 脳血管疾患
これらの疾患はすべて高血圧と密接に関わっています。高血圧は塩分の過剰摂取によって引き起こされるイメージが強いですが、実際にはコレステロールが血管に蓄積されることによっても血圧が上昇することがあります。
食中毒
普段から何気なく食べている卵でも、食中毒を引き起こす可能性があることを忘れてはいけません。卵による食中毒は「サルモネラ」という細菌によるものが一般的です。
サルモネラの潜伏期間は6~48時間とされており、発症までに少し時間がかかることが特徴です。主な原因となる食品は鶏卵であり、生の鶏肉でも感染の危険があります。主な症状としては、下痢、発熱、腹痛、嘔吐などが見られます。特に下痢の症状はほとんどの場合に見られ、水溶便が多く出ることが一般的です。
また、加熱することで感染を防ぐことができることは周知の事実ですが、卵の殻には細菌が付着している可能性もあるため、取り扱いには細心の注意が求められます。
日本においては、比較的安全に生卵を食べることができる環境が整っているため、生卵を危険視する人は少ないかもしれませんが、それは日本の鶏舎の衛生状態や、賞味期限が生食を前提に設定されていることが大きな要因です。実際、海外では卵を生で食べる習慣がほとんどないため、海外で卵を食べる際には、日本の感覚で食べない方が良いでしょう。
まとめ
今回は卵の危険性について詳しくご紹介してきました。栄養価が高くバランスの良い卵ですが、食べ過ぎるとコレステロールが過剰になるリスクが伴います。特に生活習慣病を予防したい方は、1日1個程度の摂取が望ましいと考えられます。また、生で食べることが多い卵ですが、食中毒のリスクがあることも十分に認識しておくことが大切です。