
あなたはお刺身を好んで食べることが多いでしょうか?

毎日肉料理ばかり食べていると、次第に飽きてしまうことがありますよね。そのため、さっぱりとした料理が恋しくなることもあるのではないでしょうか!
そんな時には、スーパーなどで手軽に入手できるお刺身を楽しむ方も多いのではないでしょうか。
日本には魚を生で食べる文化が根付いており、市販のお刺身に対して安全だと考えている方が多いと思いますが、実際にはお刺身が原因で発生する食中毒が非常に多く発生していることをご存知ですか?
今回は、お刺身が原因で引き起こされる食中毒について詳しく解説し、特に市販のお刺身の中で食中毒のリスクが高いものを3種類ご紹介したいと思います。
食中毒の件数

以下の表は、令和4年(2022年10月7日現在)の食中毒に関する統計資料から集計したデータです。
参考:食中毒 – 統計資料, 厚生労働省 (mhlw.go.jp)
病因物質 | 件数 |
寄生虫-アニサキス | 289 |
カンピロバクター | 74 |
ウイルス-ノロウイルス | 40 |
その他 | 64 |
この表から見て取れるように、全国で報告されている食中毒の件数は467件あり、その中の半数以上が「寄生虫-アニサキス」による食中毒であることがわかります。
では、この「寄生虫-アニサキス」とは一体どのような生物なのでしょうか。
アニサキスとは?
アニサキスは寄生虫の一種であり、その幼虫の大きさは約2〜3センチメートルほどで、白い糸のような形をしています。

アニサキスは、主にサバやアジ、サンマ、カツオ、イワシ、イカなどの魚介類の内臓の表面に寄生しています。魚が生きている間は内臓付近に留まりますが、死後しばらく経つと筋肉の方に移動することが確認されています。つまり、内臓を取り除いただけでは、可食部にもアニサキスが付着している可能性があるということです。
万が一、アニサキスを誤って食べてしまった場合、食後数時間から十数時間後に、みぞおちの激しい痛みや嘔吐を引き起こす「急性胃アニサキス症」という食中毒を発症することになります。
さらに、アニサキスが腸に達すると、食後十数時間から数日後に、激しい下腹部痛や腹膜炎の症状を引き起こす「急性腸アニサキス症」が発症することもあります。
食中毒にかかった場合には、嘔吐や下痢による脱水症状を防ぐため、十分な水分を摂取し、安静に過ごすことが非常に重要です。もし水分が摂れないほど症状が悪化した場合、すぐに病院での診察を受けることが必要です。食中毒が回復するまでの期間には個人差がありますが、通常は数日から二週間ほどかかることが多いとされています。
買ってはいけない?食中毒の危険のあるお刺身
ここでは、先ほどの食中毒統計資料に基づき、アニサキスが原因の食中毒に関する食品の中で、特にどれが多く報告されているのかを見てみましょう。
参考:食中毒 – 統計資料, 厚生労働省 (mhlw.go.jp)
原因食品 | 件数 |
サバ(しめ鯖) | 87 |
イワシ | 30 |
アジ | 29 |
カツオ | 15 |
イカ | 12 |
その他(原因不明を含む) | 116 |
この表を見て明らかなように、特にサバ、イワシ、アジの件数が目立っているため、購入する際には十分な注意が必要です。
え?しめ鯖も食中毒の原因になるの?と驚かれる方もいるかもしれません。しめ鯖は酢でしめるため、酢の殺菌効果で細菌が死滅すると思われがちですが、アニサキスは酢では死なないのです。また、居酒屋などで提供される「炙りしめ鯖」は、バーナーで焼かれているため安全に見えるかもしれませんが、実際には皮の表面に焼き目をつけているだけで、アニサキスを完全に死滅させることはできないのです。
ただし、アニサキスは寒さに対して脆弱な特性があるため、マイナス20℃で24時間以上の凍結を行うことにより死滅させることが可能です。このため、冷凍で仕入れたサバを使用してしめ鯖を作る場合には、その安全性が確保されていると言えるでしょう。
また、サバと同様に、「なめろう」や「たたき」といった形で生食することが多いアジやイワシに関しても、十分に注意を払う必要があります。
食中毒の対策

アニサキスによる食中毒を防ぐためには、加熱調理が最も効果的ですが、お刺身として楽しむ場合には、マイナス20℃で24時間以上、中心部まで完全に凍結することが求められます。これによってアニサキスは死滅します。
通常の料理で使う程度の少量のワサビや醤油、酢などでは、アニサキスを殺すことはできません。
また、魚介類を生で食べる際には、新鮮なものを選び、早めに内臓を取り除き、4℃以下の低温で保存することが食中毒の予防につながります。
新鮮な魚介類の選び方としては、「ドリップが出ていないか」や「変色していないか」という点に注意することが非常に重要です。
鮮度が落ちた魚や肉からは、赤い液体が出てくることがあり、これを「ドリップ」と呼びます。これは食材のタンパク質や旨みが水分と共に流れ出ていることを示しており、風味が低下している証拠です。
さらに、食品は空気に触れることで酸化し、鮮度が失われるため、変色している部分は酸化が進んでおり、鮮度が悪化していることを示しています。手間を省きたい方は、お刺身を購入するのではなく、切身を購入して自分でカットする方が、より新鮮な状態で楽しむことができるでしょう。
もしお刺身を購入してから二日以上が経過してしまった場合には、必ず加熱調理をしてから食べるようにしましょう。バターで焼いてソテーにするのも良いですし、衣をつけて揚げると意外にも美味しくいただけることでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
美味しい食事を楽しむはずが、食中毒にかかることになるなんて本当に恐ろしいことです。
皆さんがお刺身を購入する際には、ぜひ鮮度を確認し、慎重に選ぶことを心掛けてください。
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