買ってはいけない？レバー

レバーは好まれていますか？

焼き鳥屋や居酒屋に足を運ぶと、レバーを楽しむ機会が多くなる方もいらっしゃることでしょう。レバーは、その低カロリー特性から健康志向の方々にとって非常に人気の高い食材の一つとなっています。また、全国のスーパーマーケットでは、手頃な価格で手に入るため、経済的な面でも非常に助かる食材と言えるでしょう。

しかし、レバーを食べ過ぎることはありませんか？実は、レバーは過剰に摂取すると、非常に危険な食品になる可能性があります。低カロリーだからといって、無制限に食べて良いわけではない理由があるのです。今回は、レバーに含まれる栄養価や潜在的なリスク、さらに適切な摂取量について詳しくお話ししていきます。

レバーとは
レバーの危険性
正しい食べ方
1. しっかり加熱する
2. 食べる量は少なめに
まとめ

レバーとは

レバーとは、一般的に家畜の肝臓を指し、鶏レバーや豚レバー、牛レバー、さらに馬レバーなど、さまざまな種類が存在します。

もも肉やロース肉と比べると、レバーは脂肪が少なく、鉄分、ビタミンA、葉酸、ビタミンB12といった重要な栄養素が豊富に含まれているのが特徴です。肉質は非常に柔らかく、その濃厚な風味を堪能することができます。ダイエットに適しているとされる理由は、低脂質でありながら、ダイエット中に不足しがちな栄養素を効率的に補えるからです。

次に、レバーに含まれる栄養素についてさらに詳しく見ていきましょう。

鉄

レバーは鉄分を多く含んでいます。見た目や味からも、鉄分が豊富であることが想像できるかもしれません。鉄は体内で赤血球を形成し、酸素を運ぶ重要な役割を果たしています。体内の鉄分が不足すると、鉄欠乏性貧血を引き起こすリスクが高まります。しかし、過剰な摂取が続くと、鉄過剰症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

ビタミンA

ビタミンAは、レバーやうなぎ、卵黄などの動物性食品に豊富に含まれています。この栄養素は、目や皮膚の健康を保つために欠かせないものであり、ビタミンAが不足すると、暗い場所や夜間に視力が低下する「夜盲症」のリスクが高まることがあります。ただし、過剰摂取には注意が必要で、過剰症を引き起こす可能性もあるため、摂取量には気を付ける必要があります。

葉酸

葉酸は水溶性ビタミンの一種で、主に野菜やレバーに豊富に含まれています。この栄養素は赤血球の生成や、遺伝子情報を担う核酸の合成に関与しています。葉酸が不足すると、巨赤芽球性貧血や神経障害を引き起こす恐れがあり、特に妊娠中の女性やアルコール依存症の方には葉酸の欠乏が見られることがあります。水溶性ビタミンであるため、過剰に摂取しても尿として排出されるため、過剰症に陥りにくいですが、妊婦の場合はサプリメントでの補充が一般的です。

ビタミンB12

ビタミンB12はビタミンB群の中で唯一、植物性食品にはほとんど含まれていない重要な栄養素です。貝類やレバー、牛乳などの動物性食品に豊富に含まれています。このビタミンが不足すると、悪性貧血を引き起こす可能性があります。水溶性ビタミンであるため、通常は過剰症が心配されることはほとんどありません。

このように、栄養価が高いレバーですが、食べ方を誤ると非常に危険な食品となることがあります。

レバーの危険性

レバーには主に3つの危険性が存在します。

レバーの生食
痛風
ビタミンA過剰症

レバーの生食

鶏レバー、豚レバー、牛レバーなどが存在しますが、現代の日本ではこれらを生で食べることが法律で禁止されています。腸管出血性大腸菌O157に関する事件を記憶している方も多いでしょう。平成23年には飲食チェーン店で提供されたユッケが原因で、181名が腸管出血性大腸菌による食中毒を発症し、その中で5名が命を失いました。レバーもこの腸管出血性大腸菌に感染する危険性があり、感染が起これば、激しい腹痛や下痢、血便といった厄介な症状が現れます。まれに溶血性尿毒症症候群（HUS）という重篤な合併症を引き起こすこともあります。重症化すると命に関わることもあるため、レバーを生で食べたり、生焼けの状態で摂取することは非常に危険です。なお、日本では馬レバーのみが生で食べることを許可されています。馬は他の反芻動物と比べて体温が高く、細菌が繁殖しにくいことが生食が許可されている理由です。

痛風

痛風という病名を耳にしたことがある方も多いでしょう。レバーにはプリン体が豊富に含まれており、これが体内で尿酸に変化します。プリン体を過剰に摂取すると、高尿酸血症という疾患にかかるリスクが増加します。尿酸が体内に蓄積されると、関節に痛みを引き起こすことがあり、風が吹いただけでも痛みが生じることから、「痛風」という名前が付けられています。

ビタミンA過剰症

先に説明した栄養素の中には過剰症を引き起こすものがいくつか存在しますが、特に注意すべきなのがビタミンAです。ビタミンAを過剰に摂取すると、頭蓋内圧亢進症や妊婦の過剰摂取によって胎児に奇形を引き起こす可能性があります。実際にレバーは、少量の摂取でもビタミンAの1日の適正摂取量を超えてしまうことがあるため、特に注意が必要です。

正しい食べ方

レバーの危険性について理解していただけたかと思います。安全にレバーを楽しむためには、次の2つのポイントに注意することが極めて重要です。

しっかり加熱する
食べる量は少なめに

しっかり加熱する

生でレバーを食べることが危険であることをご理解いただけたことでしょう。レアな状態で提供されるお店も存在しますが、内部まで細菌が感染している可能性があるため、特に注意が必要です。生焼けを避けるためにも、しっかりと加熱してから食べることが大切です。

食べる量は少なめに

適切な摂取量はどれくらいが望ましいのでしょうか。一度に食べる量は20〜30g程度が適切とされています。焼鳥の串に換算すると、約1本分の量に相当します。これは、ビタミンAやプリン体、さらにはコレステロールも多く含まれるためです。ただし、串焼き1〜2本というのは少量に感じるかもしれません。しかし、もしこれを超える量を食べてしまった場合でも、過度に心配する必要はありません。一度の過剰摂取があったとしても、大きな問題にはならないことが多いです。ただし、目安量を超えて食べることが日常的にならないように心掛けることが肝要です。