一戸建てを所有している場合、その維持管理やメンテナンスについては基本的に自分自身で行うことが求められます。
「古くなって汚れていても、屋根や壁に穴が開いていても、全く気にしない!」という方でない限り、住んでいる以上は何らかの補修や塗装、部品の交換などが必要になってくるのは避けられません。しかし、マンションとは異なり、誰かがその作業を代わりに手配してくれることはありません。
このようなリフォームには当然、費用がかかります。そのため、住宅リフォームについては、本当に購入して良いのか、それとも避けるべきなのか、じっくりと考える必要があるのです。
無料点検業者のリフォームは買ってはいけない
実際、リフォーム詐欺という危険な手法が存在しています。
その手法は多岐にわたりますが、特に代表的なものは「住宅の無料点検に伺いました」という形で訪問してくるものです。
無料だからと軽い気持ちで依頼すると、「シロアリが発生して土台が腐っている」と告げられ、実際には問題のない土台に対して業者が持参した傷んだ木片を見せられることがあります。この木片は事前に業者が用意したもので、実際には土台には何の問題もないのです。
その後、「土台の補強工事」と称して無意味な金具を取り付け、工事費用として数十万円もの高額な請求をしてきます。「割引価格です」と親切を装って言われ、騙されてしまう人も少なくありません。
シロアリの問題以外にも、「台風の影響で屋根の一部が破損しており、このままだと雨漏りが発生します」「地震の影響で外壁にヒビが入っており、これを放置すると内壁も傷む恐れがあります」といったパターンも見られます。
いずれも「無料点検」や「災害の被害調査」などを巧みに利用しています。
しかし実際には、適切な点検や調査が行われることはなく、素人では確認できないような場所の劣化や破損を作り上げて不安を煽り、補修や修理を急かすのです。ひどい場合には、点検するふりをしながら故意に破損させ、その部分の写真を見せて信頼を勝ち取ろうとする業者も存在します。
モニター価格だというリフォームは買ってはいけない
また、外壁塗装や太陽光発電パネルの設置、キッチンリフォームなどに関して、「モニター価格でご契約いただけるチャンスです」といった形で勧誘されることもあります。
この場合、リフォーム詐欺よりも一応はまともに施工されるケースが多いですが、問題となるのは「モニター価格」という言葉の意味です。モニターとは何をするのか、業者に尋ねてみると、「施工してもらうことでご近所への宣伝になりますので、何もしていただかなくて大丈夫です」「使用してみた感想をお聞かせいただければ幸いです」といった返答が返ってきますが、そのために特別な価格が設定されているとは考えにくいのです。
実際には、この「モニター価格」とされるものは、通常の価格よりもかなり高く設定されていることが多いのです。リフォーム工事を高く売るために、あり得ないほど高額な標準価格を示し、実際には割高な「モニター価格」をお得に見せるという仕組みが存在しています。
もし「モニター価格」でのリフォーム工事を検討する場合は、必ず他の業者から同様の工事の見積もりを取得し、相場に対する妥当性を確認することが重要です。
手抜き業者や素人業者のリフォームは買ってはいけない
リフォーム業界では、塗装や内装などの軽作業に関しては、開業の際に特に免許や認可が必要ありません。極端な話、素人でもホームセンターで最低限の道具や材料を揃えれば、リフォーム業を始めることができてしまいます。
このように低価格を謳っている業者の中には、素人の業者である可能性も十分に考えられます。たとえば、壁紙を新しく貼る際に、元の壁紙を剥がさずにその上から新しい壁紙を直接貼り付けるという行為は、非常に手抜きの業者か、まったくの素人によるものです。
当然、仕上がりも悪く、すぐに剥がれてしまうため、結果的にやり直しが必要になり、「安物買いの銭失い」となってしまうのです</span。他にも、外壁塗装において必要以上に塗料を薄めて使用したために、施工後すぐに剥がれてしまったという事例も見受けられます。
信用できる工務店とお付き合いしておく
冒頭で述べたように、一戸建てを所有していると、さまざまな場面でメンテナンスが求められることになります。
その都度、あちこちに相談するのではなく、信頼できる工務店をあらかじめ決めておき、必要な時には毎回その工務店を通じて手配してもらうようにすると良いでしょう。
たとえば、その家を建てた工務店や近隣で事務所を構えている工務店などが考えられます。近隣であれば、詐欺まがいの行為を行う業者がいればすぐに噂が広がるため、当然無茶なことはしないでしょう。正式な事務所を持たない業者は避けるべきです。詐欺的な行為を行った後、連絡が取れなくなる可能性があるからです。
工務店は、ガラスや建具、外構工事、外壁塗装、造園など、住宅に関わる様々な業者と密接な関係を持っていますので、相談内容に応じて適切な業者を紹介してくれることでしょう。
まとめ
以上が本記事のポイントです。一戸建てには経年劣化と共にリフォームが必要不可欠ですが、リフォーム詐欺やモニター価格といった手口に引っかからないように注意し、信頼できる工務店と普段から良好な関係を築いておくことが大切です。
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