買ってはいけない?!趣味で乗るオートバイ

最近、オートバイの人気が再び高まりを見せており、自動車教習所における自動二輪コースに申し込む人が増えてきています。かつては多くの人々がオートバイを利用していたものの、近年ではその数が減少しており、国内での生産量は1980年代をピークに、現在ではその約10分の1程度にまで落ち込んでいます。このような状況の影響から、新たにオートバイを購入しようとすると、特定の車種においては品薄状態であることが多く、中古車市場でも高価格で取引されることが一般的となっています。

感染症の心配が薄れている中で、爽快にオートバイを走行できる魅力が再評価されている昨今ですが、果たして購入を検討する価値があるのか、疑問に思う方も多いでしょう。オートバイと一口に言っても、排気量は50ccの原付から、1,000cc以上の大型バイクまで非常に多様です。ここでは、50ccから125ccの原付は除外し、普通自動二輪免許または大型二輪免許が必要とされる中型以上のバイクについて詳しく考察してみたいと思います。

オートバイは意外と高価

これまで述べてきたように、オートバイは中古市場でも価格があまり下がらず、高価格で取引されることが多いです。そのため、買い取り業者の広告を目にすることも多く、オートバイに関連する盗難事件も頻繁に発生しています。排気量や仕様によってオートバイごとの価格帯はさまざまですが、新車の場合はおおよそ50万円から200万円程度、中古車でも30万円から120万円程度というのが一般的な相場です。場合によっては、軽自動車と同じか、さらにはそれ以上の価格になることも少なくありません。

「ちょっと試しに乗ってみようかな」と思ったとしても、経済的に余裕がない場合には、気軽に手を出せるものではないという現実があります。

オートバイはさまざまな費用がかかる

オートバイを購入した後も、さまざまな費用が発生することを忘れてはいけません。具体的には、保険料、ガソリン代、オイル交換代、車検代、そしてその他のメンテナンス費用などが挙げられます。保険料は保険会社や契約内容によって異なりますが、新規加入の場合、一般的には月に約1万円程度が必要になります(車両保険の有無や年齢条件などによって、かなりの差が生じることもあります)。

ガソリン代については、乗る頻度や走行距離によって変わりますが、オートバイの一般的な燃費は約15km/L程度ですので、月に300km程度走行する場合、3,000円程度のガソリン代が必要となります。エンジンオイルについては、半年ごとの交換が必要で、標準的なオイルの場合、1回あたり約2,000円かかります。車検は2年ごとに必要で、その際の費用はおおむね50,000円から60,000円程度です。

また、タイヤ交換や消耗品の交換が頻繁に必要になることもあります。さらに、駐輪スペースの確保にも注意が必要です。一軒家に十分な駐輪スペースがある場合には問題ありませんが、オートバイは小型のものでも通常2m以上の長さがありますので、一般的な自転車置き場では置けないことが多いのです。このため、月極駐車場を別途探さなければならないという状況になることもあります。

バイク専用の月極駐車場は少ないため、自動車用の駐車場を借りざるを得ないこともあります。地域によって異なりますが、駐車場代は月に5,000円から20,000円程度かかることが多いです。一つ一つの費用はそれほど大きくないように感じられるかもしれませんが、これらを合算して考えると、かなりの金額になります。オートバイの購入を考えている方は、単に購入金額だけでなく、これらの諸費用も十分に考慮に入れた上で検討する必要があります。

オートバイは乗らないと痛む

せっかく購入したオートバイですが、忙しい仕事の合間や天候不良などの理由で、ついつい放置してしまうこともあります。その結果、バッテリーが上がってしまったり、パーツが錆びついたり、タンク内に残ったガソリンが酸化して部品が腐食するなど、さまざまな痛みが出てきます。高額な投資をしたにも関わらず、乗る機会が少なくて傷んでしまい、その間もさまざまな費用が発生し続けるのは、非常にもったいない状況と言えます。このような理由から、愛車を手放す人も意外と多いのが現実です。

オートバイは実用性が低い

「毎日の通勤や買い物に利用すれば良いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、残念ながらオートバイはその積載性が非常に悪いため、荷物をほとんど積むことができません。リアシートに大きなボックスを取り付けることで、その問題はある程度解決されますが、ボックスの容量はせいぜい30リットルから40リットル程度であり、中型のリュックサック一つ分の荷物しか入らないのが現実です。例えば、スーパーでエコバッグを両手に持つ程度の量を買った場合、その荷物がギリギリ収まるかどうかという大きさです。万が一、ボックスに入りきらないものが出てきた場合、自転車であればカゴに入らない分をぶら下げて運ぶことが可能ですが、オートバイの場合は片手で運転することができないため、荷物をぶら下げたり、どこかに載せておくことも構造的に難しいのが現実です。

どうしても対処する必要がある場合は、紐などでボックスの上に無理やり括り付けるか、別途リュックサックやポケットに荷物を詰め込むことしか方法がありません。また、自転車や自動車、そして原付に比べて、オートバイは出発するまでの準備が多いことにも留意が必要です。「ヘルメットをかぶってエンジンキーを回すだけではないの?」と思われるかもしれませんが、例えばスマートフォンでナビを設定したり、音楽を聴くために無線スピーカーを接続したりと、これらの準備をすべて乗る前に済ませなければなりません。一旦走り出してしまうと、運転中には何もできないのです。鼻がムズムズしてきた場合は、出発前に対処しておかないと、走行中は鼻に手をやることすら難しくなります。

オートバイは天候や気候の影響を受けやすい

さらに、オートバイは雨の日にはずぶ濡れになる可能性が高いです。オートバイ専用のレインスーツや防水カバーなどの装備はさまざまにありますが、それらを揃えても、雨の中でオートバイを運転することは非常に辛いものです。

また、冬は非常に寒く、冷たい風の中を最低でも数十キロの速度で走行するため、どんなに防寒対策をしても、30分も走行すれば顔や手、足が冷え切り、耐え難い状況に陥ることが多いです。逆に夏は非常に暑く、屋根のない状態で直射日光を浴びるだけでなく、コンクリートからの輻射熱も受けるため、まるで熱源でサンドイッチにされているかのような状況になります。オートバイに乗る際にはライダースーツやブーツを着用することが基本ですが、これらの装備自体が暑そうに見えるのも事実です。

オートバイを購入すべきではないのか?

ここまで多くのネガティブな情報を挙げてきましたが、「そうか、やっぱりオートバイは買ってはいけないのか」と思われるかもしれません。しかし、そんなことは決してありません!これらの不便さや面倒くささを乗り越えることで得られるのは、風を切る楽しさです。目の前の美しい風景の中に自分自身が飛び込んでいく爽快感もあります。日差しの変化を敏感に感じ取れる繊細さや、大きなパワーを巧みに操る快感も存在します。そして、少ない荷物をうまくマネジメントしながら旅を楽しむ喜びもあるのです。

オートバイに乗らない理由は確かに多く存在しますが、それ以上に乗る理由もたくさんあることを忘れないでください。

こんな選択肢もある

(1) 一度購入し、負担になったら手放す
思い切ってオートバイを購入し、その後楽しんだ後に売却するという選択肢もあります。事故で大きく損傷していない限り、丁寧に扱っていたオートバイであれば、それなりの価格で売れることが多いです。もちろん、購入費用や諸費用を完全に回収することは難しいかもしれませんが、その差額で一定期間楽しめたと割り切ることができます。

(2) レンタルを利用する
以前はバイクレンタルはあまり一般的ではありませんでしたが、最近ではサービスを提供する業者が増えてきました。バイクのレンタル料金は通常、1日あたり10,000円から20,000円程度しますので、自動車のレンタルに比べると高額に感じられることがあります。しかし、購入にかかる費用や保険料などを考慮すると、利用頻度によってはレンタルの方が経済的である場合もあります。例えば、月に1回しか乗らない場合、年間で12万円から24万円程度かかるため、購入した場合の保険料とあまり変わらない可能性もあります。

また、車検や整備、洗車などのメンテナンスに気を使わなくて済む点も大きなメリットです。もちろん、いつでもきちんと整備された状態のオートバイを借りることができます。さらに、レンタルを利用すれば、さまざまなオートバイに乗ることができるため、購入した場合とは異なり、毎回異なるバイクを楽しむことができるという魅力もあります。

業者によっては「年間会員制度」を導入しているところもあり、月々の会費を支払うことで月に3回までバイクを借りることが可能な場合もあります。ご自宅近くでそのような制度を提供しているバイクショップを探してみるのも良いかもしれません。レンタルを通じてライディングを経験し、その後「やっぱり購入しよう」と決断するのも一つの手です。

まとめ

以上で本記事を締めくくります。オートバイは多くの費用がかかり、さまざまな不便さを伴う乗り物です。しかし、それに勝る魅力もたくさん存在するため、もし購入をためらっているのであれば、レンタルなどの選択肢もぜひ検討してみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました