毎日繰り返される家事の中でも、特に食器洗いは手間のかかる作業として知られています。そのため、多くの方が少しでもこの負担を軽減したいと考えているのではないでしょうか。私自身も、そのような気持ちから食洗機を積極的に利用しています。
ただし、食洗機がすべての食器を完璧に洗えるわけではないということを忘れてはいけません。安心して洗える食器もあれば、使用する際には特別な注意が必要な食器も存在します。
「この食器を食洗機に入れても大丈夫だろうか?」と迷った経験がある方も少なくないでしょう。思い切って試してみた結果、「割れてしまった!」や「変形してしまった!」といった不運なトラブルに見舞われたことがあるかもしれません。私もいくつかの失敗を経験しています。そのため、食器を購入する際にはデザインや見た目だけに気を配るのではなく、「食洗機に対応しているか、対応していないか」をしっかりと確認するよう心掛けています。
快適に食洗機を活用するために、ここでは食洗機の特性を詳しく解説し、食洗機に不向きな食器についてまとめます。また、食洗機ユーザーにおすすめの食器もご紹介します。
食洗機を賢く使って、家事を少しでも楽にしたいと考えているあなたの参考になれば幸いです。
食洗機と手洗いの違い
最初に、食洗機の特徴を整理し、手洗いと具体的にどのように異なるのか見ていきましょう。
1.温度の違い
食洗機では、手洗いに比べて高温の湯が使用されます。
通常、手洗いでは使用する水は常温、または40度前後のお湯になります。この温度帯は人の手が触れられる範囲であり、食器に対して優しいと言えるでしょう。
一方で、食洗機はヒーターによって温められた60度以上のお湯を使用します。この高温は脂肪を効果的に溶かし、汚れをしっかりと落とすのに適しています。
しかし、高温が食器にダメージを与えることもあるため注意が必要です。さらに、ヒーター部分はさらに高温で、耐熱温度が低い素材の食器が触れると、溶けたり変形したりするリスクがあります。
2.洗剤の違い
手洗い用の食器洗剤には含まれていない成分が、食洗機専用の洗剤には含まれています。
一般に、手洗い用洗剤は主成分が界面活性剤で構成されていますが、食洗機用洗剤はより強力な洗浄成分を含んでおり、「漂白成分」や「タンパク質分解酵素」、「デンプン分解酵素」などが含まれています。
加えて、手洗い用洗剤は多くが弱酸性や中性ですが、食洗機用洗剤はアルカリ性です。
では、食洗機に手洗い用洗剤を使用するのは適切なのか?というと、決してそうではありません。食洗機内で泡立つことで故障の原因になる可能性があるため、使用は避けるべきです。
3.水圧の違い
手洗いの場合、特別な水栓蛇口を使用しない限り、あまり強い水圧はかかりません。しかし、食洗機では強力な水流が噴射されます。
この強力な水流により、食器の隅々まで徹底的に洗浄することが可能ですが、食器の材質によっては割れやヒビの原因となることもあるため、十分な注意が必要です。
手洗いと食洗機の違い まとめ
以上のように、食洗機と手洗いにはさまざまな相違点があります。
これらの違いにより、食洗機は家事の手間を軽減するだけでなく、節水や、ガス代・電気代の節約にも寄与します。この点は非常に嬉しいメリットと言えます。
しかし、手洗いとは異なる力を持つため、どんな食器でも洗えるわけではありません。次のセクションでは、食洗機を使用する際に、購入を避けるべき食器について詳しく解説します。
買ってはいけない食器
1.木製の食器、まな板など
ひびが入ったり、膨張したりする可能性があるため、注意が必要です。木の素材に水分が浸透した後に高温乾燥を行うと、ひび割れや歪み、膨張を引き起こすことがあります。
温もりのある木製の食器は私自身も好きですが、手洗いする時間がある休日だけに使用するよう心掛けています。
2.カットグラスなどのデリケートなガラス食器、強化ガラス製品
食洗機は高温のお湯を使用するため、急激な温度変化によってひびが入ったり、割れてしまう危険性があります。
また、強い水流は、汚れを効果的に落とす一方で、衝撃に弱いガラスにとっては大敵です。
さらに、食洗機専用の洗剤に含まれるアルカリ性成分が反応し、白くくもってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
意外かもしれませんが、強化ガラス製品の中でも、使用を避けるべきものがあります。小さな傷や内部に異物がある場合、温度変化によって割れることがあるのです。
食洗機内で割れてしまった場合、食器だけでなく、その破片が食洗機全体の故障の原因になる危険性もあります。
実際に私も食洗機の故障を経験し、修理を依頼したことがあります。その際、割れたガラスが原因ではなく、魚の骨が詰まっていたのですが、修理費用が非常に高額だったため、皆さんも十分に気を付けていただきたいです。
もちろん、「食洗機可」と明記されているガラス製品は問題ありませんので、購入時にはシールや取扱説明書を捨てる前に、必ず食洗機の利用可否を確認しておくことが重要です。
食洗機OKのグラスとしては、デュラレックスが飲食店でよく見かけるもので、私自身も東洋佐々木ガラスの口部強化加工のグラスを愛用しています。数年にわたり、毎日食洗機で使用していますが、全く問題ありません。
3.銀・アルミ・錫・銅・鉄製の食器や調理器具
これらの金属製品は、変色したり、鉄製のものは錆びてしまうことがあります。食洗機専用洗剤がアルカリ性であるため、酸化が進むのです。さらに、高温のお湯も酸化を促進してしまいます。
同じ金属であっても、ステンレスは比較的安全とされるものが多いです。
包丁を食洗機で洗いたい場合、私はオールステンレス製のものを選んでいます。前述の通り、取っ手が木製のものは食洗機に入れることができないため、選択には注意が必要です。
ザルやバットなども、ステンレス製であれば食洗機に入れられるものが多いです。
4.漆器や、上絵の陶器・磁器、金彩・銀彩の施された食器
これらの食器は、変色や剥がれの恐れがあります。食洗機の強力な水流は、繊細な作りの食器にとって大きな敵です。
少し手間がかかりますが、お重箱などは丁寧に手洗いすることが重要です。ズボラな私はお正月の時期だけ漆器を使用しますが、その際はしっかりと手洗いに取り組んでいます。
5.耐熱温度90度以下のもの、軽いもの、小さいもの
食洗機の熱湯によって、熱に弱いプラスチックや樹脂製品には注意が必要です。これらは変形や変色を引き起こすことがあります。
私が愛用している保存容器は、イワキのパックアンドレンジですが、蓋の素材には十分注意が必要です。蓋がポリプロピレンであれば、蓋も本体も食洗機に対応しています。しかし、蓋がポリカーボネートの場合、蓋は食洗機「不可」となりますので、購入時にはしっかり確認することが重要です。蓋だけを手洗いするのは面倒ですから。
さらに、軽いタッパーや子ども用食器、小さなパーツは、食洗機可と明記されていても、強い水圧で飛ばされてしまうことがあります。
カゴにセットしていても、飛ばされてヒーターの上に落ちると、変形してしまう恐れがあるため、注意が必要です。また、食洗機本体の故障にもつながる可能性があるため、十分に気を付けましょう。
小物類を洗う際は、食洗機用の小物ネットを利用すると安心です。
まとめ
このように、食洗機には手洗いとは異なる特性が多く存在し、それに伴って洗える食器も変わってきます。
食洗機を効果的に活用したいと考えるのであれば、購入を避けるべき食器を除外しながら選ぶことが重要です。食洗機によっても異なる点があるため、少し手間かもしれませんが、取扱説明書を時間があるときに確認しておくことをお勧めします。
食事の準備や、それに伴う食器洗いは、毎日欠かせない家事であり、時には大変な作業となります。しかし、食器の選び方を工夫することで、少しでも楽にすることができるはずです。
この記事が、食器選びの際に皆様のお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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