
スペイン語の学習を始めてからなんと30年という年月が流れました。初めの10年間は、言うまでもなく挫折の連続でした。その理由は、語学の習得においては挫折は避けられないものであるからです。今の私のスキルが特別に高いわけではありませんが、学習の基盤はしっかりと築かれており、ライフワークとして毎日欠かさず学び続けることができています。もちろん、間違いを犯すことも多々ありますし、ネイティブスピーカーとの会話では通じないことも頻繁にありますが、以前のように過度に落ち込んだり、自己嫌悪に陥ったりすることはなくなりました。ある意味、開き直りというか、むしろスペイン語を学ぶことがとても楽しいと感じるようになっています。
学び始めたころはNHKのラジオ講座を通じて学習をスタートしましたが、その効果が定着するまでには何年もの時間がかかりました。聞いたり聞かなかったりと不規則な状態が続き、テキストも毎月定期的に購読していたにもかかわらず、聞かずに積み重なっていくこともありました。しかし、今では毎日しっかりと聴いており、特に難しい応用編については3回以上聴くよう心がけています。覚えたい部分はICレコーダーに録音し、それを繰り返し聴くことで理解を深めています。
NHKのシステムには受信料に関する問題や不祥事などもあり、好きになれない部分も存在しますが、語学番組に関しては本当に素晴らしいものがあります。世界中どの国を見渡しても、これほど質の高いプログラムは他にないと自信を持って言えます。その理由は、講師陣が語学大学の教授であり、必ずネイティブ講師が1人または2人参加しているからです。これらの高品質な内容がほぼ無料で提供されているというのは、驚くべき事実です。テキストも500円前後で手に入りますが、購入しなくても学習は可能です。このNHKの語学番組をうまく活用できない方は、たとえばNOVAのような高額なスクールに通ったとしても、結局は続かないのではないかと感じます。受け身の学習だけでは成り立ちません。
私はこれからスペイン語を学び始めようとする方に対して少しだけ無料で教えることがあります。これはスタート時のモチベーションを高める程度のサポートですが、その際にはNHKのラジオスペイン語のテキストを教材として推薦しています。その理由は、非常に安価であるからです。
NHKラジオスペイン語講座の活用法

ここでは私自身のNHKラジオスペイン語講座の活用法をご紹介させていただきます。参考になれば幸いですが、皆さんのスタイルに合った方法を見つけて取り入れてくださいね。
・テレビよりラジオを選択する。
・ICレコーダーを活用する。
・テキストは定期購読する。
・応用編も積極的に聴く。
■番組はスキマ時間を利用して聴くことをお勧めします。私は特にウォーキングをしている時に聴くことを決めています。テレビだと、視聴環境が必要になるため、学習ができない気持ちになってしまうこともあるし、音声だけを録音するのも煩わしいので、ラジオ講座を選んでいます。もちろん、テレビ講座も素晴らしい内容です。
■現在ではオンデマンドでインターネットやスマホを使って聴けるようになっていますが、私は昔ながらのラジオを使用し、タイマー機能を利用してICレコーダーに録音して聴いています。その理由は、ICレコーダーには編集機能があり、必要な部分だけを切り取って保存したり、何度も聴くことができるからです。
■テキストは定期購読を選択します。講座は毎年4月と9月に始まり、半年間のコースです。この時期にたくさんのテキストが印刷されるのですが、月が進むにつれて生産量が徐々に減少します。うっかりしていると手に入らなくなってしまうため、これが原因で学習の習慣が途絶えてしまうこともあります。また、本屋さんからの入荷連絡を受け取ることもあり、それが励みになることもあります。
■応用編もしっかり聴くようにしています。無料で提供されているので、聴かないのはもったいないです。もちろん初心者の方には、知らない単語が多くて戸惑う気持ちも理解できますが、そんな時はまず日本語の部分だけを聴くと良いでしょう。スペイン語に関連する話を聴くだけでもプラスになります。そして、「知っている単語を探す」という気持ちで聴くと良いでしょう。挨拶の言葉や知っている単語を確認することによって、実践ではなかなか言葉が出てこなかったりすることが多いのです。知らない単語を一度聴いただけで覚えるのは難しいですし、嫌になって離脱してしまうのがオチです。知っている単語の確認だけであれば、プラス思考、加点法の学習方法によって、むしろ気分が良くなり、学習を続けるための力となるでしょう。
NHKラジオスペイン語講座のデメリット
ここでは、私が感じるNHKラジオスペイン語講座のデメリットについてお話しします。このデメリットは特に初心者の方が離脱してしまう原因に繋がる部分です。
・進行が早すぎる。
・文法の内容が難解すぎる。
この2点に集約されると思います。
NHKラジオスペイン語講座は、前述のように6か月のクールで放送されています。この6か月という期間は非常に短いと言えるでしょう。講師やゲストも6か月ごとに交替するため、各先生には6か月の間に何とか進めなければならないというプレッシャーがかかっているようです。具体的には、6か月の間に接続法または接続法過去にまで到達しないと講座として不完全と見なされる、というような状況です。6か月で接続法まで到達するのは、誰が考えても無理があるため、そのために講座が始まった2、3回目にはすでにかなりの難しい文法事項が出てきてしまいます。これは嫌になるのが当然ではないでしょうか?
しかし、もし講座のクールを12か月に延長すると、今度は後半の方は誰も聞いていないという事態が起きる可能性が高いです。
このジレンマを解消するのは容易ではなく、非常に難しい問題です。
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