コショウ、クローブ、シナモンと並んで、世界四大スパイスの一つとして非常に有名な「ナツメグ」。

多くの家庭では、調味料の棚に一瓶は常備されていることでしょう。
私の実家でも、いつもナツメグがストックされていました。
肉料理やハンバーグ、さらには乳製品を多く使ったお菓子など、さまざまな料理において頻繁に使われていることが多いです。
しかし、私たちにとって身近な存在であるこの「ナツメグ」には、実は注意が必要な点が存在するのです。

これまで特に問題を感じていなかった方も多いかもしれませんが、その気持ちもよく理解できます。
さて、ではなぜ「ナツメグ」が危険視されるのか、その理由を詳しく見ていきましょう。
この記事を通じて、以下の情報を理解していただけるようになるでしょう。
・ナツメグの危険性についての詳細
・安全な摂取量はどのくらいなのか?
それでは、よろしくお願いいたします。
ナツメグの危険性とは?
まず最初に結論から申し上げますと、「ナツメグ」を過剰に摂取することによって、見当識障害や幻覚、さらには精神的な障害を引き起こす危険性があるとされています。
では、具体的に「ナツメグ」とはどのような調味料であるのか、詳しくお話ししましょう。
ナツメグの和名は「ニクズク(肉荳蔲)」で、原産地は東インド諸島やモルッカ諸島、さらにはスリランカに位置しています。
この木は、なんと高さが20メートルに達することもあるのです。
また、ナツメグの木からは「メース」と呼ばれる別のスパイスも収穫することが可能です。
ナツメグの実を割ると内部には種子があり、そこから取り出した「仮種皮」と呼ばれる網目状の皮が乾燥されることでメースが作られます。
このメースとナツメグは香りが似ており、ほろ苦い風味も感じられるため、異なる香辛料として多くの料理に利用されています。
メースを取り除いた後の部分を乾燥させて、殻と内部の「仁」と呼ばれる部分を分け、殻を割って取り除いたものがナツメグとなります。
では、ナツメグには具体的にどのような毒性があるのでしょうか?
その毒性成分として広く知られているのが、「ミリスチシン」や「エレミシン」という化合物です。
これらの成分を過剰に摂取することで、以下のような向精神作用を引き起こし、抗コリン性の症状が現れることがあるとされています。
・頻脈、胸部の圧痛、低血圧、ショック症状
・不規則な呼吸
・長時間にわたるめまいや興奮、不安、頭痛、幻覚、多幸感、四肢の脱力感

ただし、ナツメグは単なる毒物というわけではなく、あくまで過剰摂取による副作用として理解するべきです。
実際、ナツメグは12世紀ごろまでは“ドラッグ”として利用されていた歴史もあるのです。
これは非常に興味深い事実ですね。
2007年に発表された「国際化学物質安全性計画」に関する論文によると、「ナツメグによる中毒は、大量の発汗、顔のほてり、麻痺、のどの渇きなどを引き起こし、さらには幻覚、錯乱、切迫した破滅感といった過換気症候群が観察される」と報告されています。
この論文では、「1〜3個のナツメグ(重さにして5〜15g、小さじ1〜3杯に相当)が有毒とされる摂取量」とされています。
このように、科学的な視点からも「ナツメグ」の危険性は明らかにされています。
さらに、「日本中毒情報センター」の報告によれば、ナツメグの過剰摂取による死亡例は過去に1件(8歳の男児)が確認されています。
また、大人でも5g以上の摂取を行った場合、精神的な症状を引き起こす可能性があるとされています。
もし万が一、大量に摂取して身体に異変を感じた場合は、速やかに医療機関に相談する必要があるかもしれません。
安全な摂取量はどのくらいか?
それでは、具体的にどの程度の量の摂取が安全とされているのかについて説明します。
通常の料理において使用する際には、一人前につき一つまみ程度(1g以下)であれば、特に問題はないとされています。

ただし、お鍋料理などで大量の食材を一度に調理する場合には、その使用量には少し注意を払った方が良いかもしれません。
まとめ
世界中で広く利用されているスパイス「ナツメグ」も、大量に摂取することによって体調に異変を引き起こす可能性があることが明らかになりました。
とはいえ、日常の料理において適切に使用する限り、特に問題はありません。
適量を守ることで、以下のように多くの良い効果も期待できます。
・鎮静効果
ラットを対象にしたナツメグの精油の吸入実験において、運動抑制が確認されたという報告があります。
また、ナツメグの抽出物が抗うつ作用を示すことも次第に明らかになってきています。
・抗肥満効果
血糖値の上昇を抑える「インスリン抵抗性」を改善する成分が含まれており、この成分が肥満の抑制に寄与することが示されています。
・抗菌効果
ナツメグには強い抗菌作用があることが知られており、体内の浄化に役立つとされています。
・抗酸化効果
抗酸化作用を持つ成分が豊富に含まれており、これによって酸化ストレスから肝臓を守るという研究結果も得られています。
このように、日々の食事において適切にナツメグを利用することで、身体に良い影響を与えてくれるスパイスですので、
毎日少し気を付けて使っていきたいですね。
最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。



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