現在、スーパーマーケットに足を運ぶと、美味しそうなフルーツを手頃な価格で手に入れることができるという恵まれた時代に生きています。旬の時期でなくても、好みのフルーツをいつでも購入できるのは非常に便利であり、私たちの生活に彩りを添えてくれますね。
しかし、店内に並べられているフルーツの中には、国内で生産されたものに加え、輸入されたものも混在しています。
皆さんは、輸入された食材に対してどのような印象を持たれているでしょうか。興味深いことに、輸入されたフルーツには見えない危険が潜んでいる場合があります。この記事では、そのリスクに関して詳しくお伝えしていきます。
果物の輸入について
日本において海外のフルーツが流通する際には、主に2つの法律が重要な役割を果たしています。それは、「食品衛生法」と「植物防疫法」です。
食品衛生法は、食品の安全性を確保するために、飲食による衛生的な危害を未然に防ぐことを目的とした法律です。つまり、不衛生な食品の流通を防止するためのルールが厳格に設けられています。この法律は食品に限らず、食器や包装材などにも適用され、広範囲にわたって規制が行われています。
一方で、植物防疫法は主に植物に対する検疫を実施し、有害な動植物を排除することでその蔓延を防ぐための法律です。この法律には、有害な植物や病害虫が輸入されるのを防ぐための規則が含まれています。さらに、有害動植物が発生している国からのフルーツの輸入は原則として禁止されています。
このように厳しい規制が設けられているため、輸入されたフルーツを購入する際には安心感を抱く方も多いでしょう。しかし、少し立ち止まって考えてみる必要があります。実際には、注意が必要な点がいくつか存在しているのです。
防カビ剤の種類
日本では、年間約200万トンものフルーツが輸入されているとされています。その中でも特に多く輸入されているのはバナナで続いてパイナップルやキウイフルーツなどが続きます。このため、季節を問わず様々なフルーツがスーパーマーケットに並べられることが理解できます。
輸入元の国はアメリカ、フィリピン、オーストラリア、メキシコなど多岐にわたります。これらの国々から運ばれてくるフルーツは、輸送にかかる時間が長いため、カビの発生を防ぐ必要があります。
そこで使用されるのが防カビ剤です。特に船での輸送は長期間にわたるため、防カビ剤の使用はほぼ必須となっています。食品衛生法では、これらの防カビ剤が食品添加物として使用を認められており、使用量には規制が設けられています。
ここでは、代表的な防カビ剤の種類について詳しくご紹介します。
・イマザリル
イマザリルは、バナナやレモン、そして柑橘類(みかんを除く)に使用される防カビ剤です。この薬剤は、フルーツの表面にスプレーしたり、果物に浸けて用いることで、効果を発揮します。
イマザリルの使用量には最大値が設定されており、これはその毒性の強さを示す証拠でもあります。さらに、この物質は発がん性があることでも知られ、動物実験においても、行動発達や繁殖に悪影響を及ぼすことが確認されています。
・OPP
オルトフェニルフェノール、通称OPPと呼ばれる防カビ剤です。主に柑橘類に使用されており、日本ではかつて農薬として利用されていましたが、現在はその使用が禁止されています。
それにもかかわらず、輸入される柑橘類にはOPPが使用される理由があります。1970年代にアメリカから輸入されたフルーツの検査でOPPが検出され、当時の厚生省が廃棄を命じたことで、アメリカ側が激怒し、日本政府にOPPの認可を求めたという経緯があります。その結果、厚生省はアメリカの要求を受け入れ、OPPを認可することとなりました。
・TBZ
TBZ(チアベンダゾール)という防カビ剤は、主にバナナや柑橘類に使用されます。この薬剤は、ワックスと混ぜて塗布したり、溶液に浸すなどの方法で処理されます。他の防カビ剤と併用されることが多く、その理由は混ぜることで防カビ効果が高まるためです。
TBZには、染色体の異常を引き起こしたり、遺伝子を変異させる催奇形性があるとされ、その危険性が指摘されています。また、収穫後にフルーツに散布される防カビ剤は「ポストハーベスト農薬」と呼ばれ、イマザリル、OPP、TBZなどがその代表的な例として挙げられます。
防カビ剤の危険性
ポストハーベスト農薬には使用量に制限があり、健康に影響を及ぼすほどの量を摂取することはないとされていますが、本当にそれが真実なのでしょうか。
ここでは実際に行われた実験や、どの程度防カビ剤が果物に浸透するかについてまとめてみました。
・動物実験
東京都健康安全研究センターでは、毎年市販されているフルーツの安全性を確認するために検査を実施しています。その中で行われた動物実験では、驚くべき結果が報告されています。
具体的には、TBZをマウスに毎日投与する実験で、お腹にいる子供に骨格異常や外表奇形が確認されました。これは、TBZが催奇形性を持つ証拠と言えるでしょう。
さらに、OPPを含む餌を摂取させる実験では、約8割が膀胱ガンを発症しました。これはOPPが発がん性を持つことを示す結果です。
しかし、これらの結果はあまり注目されることなく、今なおポストハーベスト農薬が使用されたフルーツが輸入され続けています。
・果実浸透
ポストハーベスト農薬は、フルーツの皮だけでなく果肉にも微量ではありますが浸透しています。
多くの方がご存知の通り、カビは非常に奥深くまで侵入し、除去するのが難しいものです。そのため、防カビ剤も強力なものが求められます。
したがって、果実の表面だけでなく、果肉の部分にも防カビ剤が浸透しているのです。たとえ数%という微量であっても、私たちの体内に農薬を取り込むことになります。
このような微量であれば人体に影響はないとの意見も存在しますが、発がん性物質を摂取したからといって、すぐにがんを発症するわけではありません。
体内に蓄積された発がん性物質がどのように作用するかは、個々の体質や運に大きく依存します。つまり、「自分は大丈夫」と安心することはできないのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。防カビ剤の危険性を理解することは、自分自身の命を守るために非常に重要です。
健康を考慮するのであれば、外国産のフルーツや、その皮を使用した商品はできるだけ避けることが肝心です。可能な限り、防カビ剤を使用していない国内産の無農薬フルーツを選ぶことが推奨されます。
また、防カビ剤の表示があるかどうか、原産地はどこかなど、私たち消費者はその点をしっかりと見極め、賢い買い物を心がけるべきです。
コメント