近年、資産運用というフレーズは、誰もが耳にするほどの注目を集めています。もはや、資産運用に関連する話題は、日常生活の中でも頻繁に見聞きすることが珍しくなくなりました。
資産運用と言っても、実際にはさまざまな手法が存在しています。具体的には、為替取引や不動産への投資、さらには暗号資産の取引など、選べる投資方法は非常に多岐にわたります。
野村総合研究所の調査によれば、日本国内で投資を行う人々の数は2015年以降、着実に増加しており、2021年には投資人口が21.1%を超えたとのことです。この傾向から判断すると、今後も投資を行う人々はますます増加することが予想されています。
その中でも特に注目すべきは、レバレッジを活用して元手の何倍ものリターンを狙うことができるCFD(Contract For Difference)です。レバレッジとは、てこの原理に基づく用語であり、少ない元手(小さな力)で大きな投資効果(大きな力)を得ることが可能な魅力的な投資手法です。
たとえば、5万円を元手に10倍のレバレッジをかけた場合、株価が2倍に上昇したときの利益は、レバレッジを使わない場合には5万円にとどまりますが、レバレッジを活用することで、5万円×10倍=50万円の利益を得ることが可能になります。
このように、CFDを通じて大きなリターンを狙うことができる点は、非常に魅力的な要素と言えるでしょう。
現代のテクノロジーの進化に伴い、従来のように銀行や証券会社に足を運ぶことなく、オンラインで簡単にCFDを始められるようになりました。特に初心者にとっては、手軽にアクセスできる点が大きな利点です。
しかし、CFDが投資対象として非常に高リスクであることをご存知でしょうか?
CFDについて正しく理解していないと、知らぬ間に大切な資産を失う危険性が高まることを忘れてはいけません。
このセクションでは、CFDの基本的な説明を行った後、特に購入を避けるべきCFDについても詳しく解説していきます。
CFDとは
CFDは「Contract For Difference」の略称で、日本語では「差金決済取引」と訳されます。
差金決済取引とは、実際の資産を保有することなく、価格の変動による差額だけをやり取りする取引スタイルを意味します。これが現物取引とは大きく異なる点です。
利益が出た場合には、その利益分だけを受け取り、逆に損失が発生した場合には、損失分のみを支払うことになります。CFDの中でも特に有名な例として、FX(外国為替証拠金取引)がありますが、これは株式と為替の違いがあるだけで、FXを思い描くと理解しやすいでしょう。
現物の株を購入する必要がないため、一定の資金を証券会社に担保として預けることで、大きな金額の取引が実現できるのがCFDの仕組みです。
次に、CFDの特徴について詳しくご説明いたします。
レバレッジで大きなリターンを狙える
レバレッジという用語は、てこの原理に由来し、少ない元手(小さな力)で大きな投資効果(大きな力)を得ることができる投資の方法を示します。
レバレッジを利用することで、元手を上回る取引が可能となり、資産を大幅に増やす機会が広がります。しかしながら、逆に予想が外れて損失を被った場合にも、レバレッジが影響するため、慎重な取り扱いが求められます。
また、レバレッジをかける際には証拠金が必要となります。
証拠金は、融資を受ける際の担保と同じような役割を果たし、その証拠金を担保にすることでレバレッジ取引に参加できるようになるのです。
売り注文から入れる
現物取引では、必ず買い注文からスタートしなければなりませんが、CFDの場合は現物取引を行う必要がなく、差額決済のため、売り注文から取引を始めることも可能です。
これにより、株価が上昇トレンドにあるか下降トレンドにあるかにかかわらず、いつでも取引に参加することができるのです。
売り注文から取引を開始できるという点は、CFDの大きな特徴の一つであり、非常に柔軟な投資方法と言えるでしょう。
配当金がもらえる
意外に思われるかもしれませんが、実際に現物取引を行っていなくても、買いポジションを保有している限り、配当金を受け取ることが可能です。
買ってはいけないCFD
ここでは、避けるべきCFDについて詳しく説明していきます。
リスクが最大化される
レバレッジを利用することで大きなリターンが期待できるCFDですが、損失が発生した場合にも同様のことが言えます。損失金額はレバレッジの影響を受けるため、リスクが最大化されることに注意が必要です。
そのため、CFDでの取引を行う際には、必ず自分のリスク許容範囲内で投資を行うことが非常に重要です。また、上昇トレンドや下降トレンドのような明確な流れが形成されているときに購入することが推奨されます。
追加証拠金を要求される
CFDで発生した損失は、証拠金から支払われます。この際、証拠金以上の損失が出る可能性がある場合、追加証拠金(追証)の要求通知が送られます。
通知を受けた場合、追証を支払うことで取引を続けることが可能ですが、再度損失が増加すると再び追証が求められる可能性があり、その回数に制限はありません。
追証を支払わない場合、あなたの意志とは関係なく、損失が証拠金額に達すると、強制的にポジションが解消され、損失が確定することになります。
さらに不運なことに、急激な価格変動が起きた場合、証拠金を超える損失が生じ、追証を支払う余裕もなく、損失が強制的に確定される事態も考えられます。その結果、証拠金と損失の差額を後日請求される事態も起こり得るのです。
長期運用には向かない
CFDはリスクを最大化した取引手法であり、まさに諸刃の剣と言えるでしょう。
そのため、長期間の運用には適しておらず、短期での運用を前提とし、少しでも利益が出た際にはこまめにポジションを解消することが賢明です。
まとめ
レバレッジを利用して元手の何倍もの大きなリターンを狙えるCFDは、初心者にとっても手軽に始められる投資手法です。短期間で大きな資産形成が可能になるため、非常に魅力的な選択肢です。
しかし、その一方で、リスクが最大化することや追証を求められる可能性があること、さらに長期運用には不向きであるといった多くの危険要因が存在します。正しい知識を身につけておかなければ、大切な資産を失うリスクが増大します。
レバレッジ取引という誘惑に安易に飛びつくのではなく、資産を守るためにも、しっかりとした知識を身につけることを心がけましょう。
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